「デスクトップパソコンの電源ボタンを押したのに、画面が真っ暗なまま…」
「ファンは回るしアクセスランプも点くけれど、画面だけがつかない。故障?」
大切な作業の前や急いでいる時にこのトラブルが起きると、パニックになってしまいますよね。しかし、「電源は入るのに画面がつかない」症状の多くは、実は故障ではなく一時的な不具合です。
この記事では、PC初心者でも3分で試せる「魔法のショートカット」から、プロが実践する対処法まで、復旧のための手順をどこよりも詳しく解説します。
※2025年11月25日 記事の内容を最新の情報に更新しました。
まず試すべき!3分で終わる初期対応4選
ドライバーを使ったり、ケースを開けたりする前に、まずは誰でもすぐにできる初期対応を行います。これだけで解決するケースが全体の約半数を占めます。
1. グラフィックドライバーを再起動する(ショートカット)
Windowsが起動しているものの、画面出力のシステムだけが固まっている場合、キーボード操作だけで復旧できる可能性があります。
「Ctrl」+「Shift」+「Windows」+「B」 の4つのキーを同時に押してください。
「ピピッ」という音が鳴り、画面が一瞬点滅して復帰すれば成功です。これが最も手軽でリスクのない方法です。
2. モニターの電源とケーブル接続を再確認
デスクトップパソコン特有のトラブルとして、意外と多いのが「モニター側の問題」です。
- モニターの電源ランプ:点灯していますか?オレンジ色(待機状態)になっていませんか?
- ケーブルの抜け:掃除の際に足が当たって、ケーブルが抜けかけていませんか?一度抜いて「カチッ」と音がするまで差し直してください。
- 接続ポートの間違い:グラフィックボード搭載PCの場合、マザーボード側(縦の端子)ではなく、グラフィックボード側(横の端子)に接続する必要があります。
3. 入力切替(SOURCE)の設定ミス
画面に「NO SIGNAL」や「信号がありません」と出る場合、PCとモニターの通信ができていません。
モニター本体のボタンを操作し、「入力切替」が正しい端子(HDMI 1、DisplayPortなど)になっているか確認してください。特にゲーム機などを繋いだ後に設定が戻っていないケースが多発しています。
4. スリープからの復帰失敗
パソコンが深いスリープ状態からうまく復帰できていない可能性があります。
- マウスを大きく動かす
- 「Enter」キーや「Space」キーを連打する
- 電源ボタンを「短く」1回押す
上記のアクションで画面が点灯しないか確認しましょう。
効果絶大!パソコンの放電で電気を逃がす
初期対応で直らない場合、最も有効な手段が「放電(ほうでん)」です。パソコン内部に溜まった不要な静電気(帯電)を取り除くことで、誤作動を解消します。
デスクトップPCの完全放電手順
- パソコンの電源を長押しして強制終了します。
- 電源ケーブルをコンセントから抜きます。
- モニター、マウス、キーボード、LANケーブルなど、接続されている全てのケーブル・周辺機器を取り外します。
- その状態で90秒以上(できれば5分程度)放置します。
- 必要最低限の構成(電源ケーブル、モニターケーブル、マウス、キーボード)だけを戻します。
- 電源を入れ、正常に画面が映るか確認します。

原因の切り分け:PCかモニターか?
放電しても画面がつかない場合、「パソコン本体が壊れている」のか「モニターが壊れている」のかを特定する必要があります。
HDDアクセスランプを確認する
パソコン本体にある「ドラム缶のようなマーク」のランプ(アクセスランプ)の動きに注目してください。
- ランプが不規則に点滅している:
HDD/SSDは動いており、Windowsは裏で起動している可能性が高いです。
→ 原因は「モニター」か「映像ケーブル」か「グラフィックボード」です。 - ランプが消灯・または点灯しっぱなし:
HDD/SSDが読み込まれていません。
→ 原因は「マザーボード」「メモリ」「電源ユニット」などのPC本体です。
別のモニター・テレビに接続する
自宅にある液晶テレビとHDMIケーブルで接続してみましょう。もしテレビに画面が映るなら、PC本体は正常で、元のモニターが故障していると断定できます。
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中級編:PC内部パーツの接触不良を直す
ここまでの対処法で改善せず、アクセスランプも動かない場合は、内部パーツの接触不良が疑われます。ケースを開ける作業になるため、必ず電源プラグを抜いてから行ってください。
メモリの抜き差し(効果大)
メモリは非常にデリケートで、わずかな衝撃や温度変化で接触不良を起こします。これが原因で起動しないケースは非常に多いです。
- PCケースの側面パネルを開けます。
- マザーボードに刺さっているメモリのロック(両端のツメ)を外側に倒し、メモリを引き抜きます。
- 端子部分のホコリをエアダスターで飛ばします(端子を指で触らないこと)。
- 再度スロットに「カチッ」と音がするまで強く押し込みます。
メモリが複数枚ある場合は、1枚だけ刺して起動確認を行い、問題のあるメモリを特定する方法も有効です。
CMOSクリア(BIOS初期化)
マザーボード上の設定保存用電池(ボタン電池)を一度取り外すことで、BIOSの設定を工場出荷時にリセットします。
- マザーボードにあるボタン電池(CR2032)を探します。
- 電池を取り外し、1分〜5分ほど放置します。
- 電池を元に戻し、電源を入れます。
※グラフィックボードの下に隠れている場合もあります。無理な分解は避けましょう。
それでも直らない場合の最終手段
CMOSクリアやメモリの挿し直しをしても画面がつかない場合、パーツの物理的な故障(寿命)の可能性が高まります。
ビープ音で故障箇所を特定
電源投入時に「ピー、ピー」といった電子音(ビープ音)が鳴る場合、その回数や長さがエラーコードになっています。
- Dell:2回(メモリ検知なし)、5回(CMOS電池切れ)など
- HP:赤ランプ点滅とビープ音の組み合わせで通知
「メーカー名 + ビープ音」で検索し、マニュアルと照らし合わせてください。
プロの修理業者に依頼する
マザーボードや電源ユニットの故障は、個人での特定と交換が困難です。
特に「HDD/SSDの中に大切なデータが入っている」場合は、あれこれ触りすぎるとデータを消失させるリスクがあります。メーカー修理はデータが消去されることが前提のため、データを守りたい場合は「データ保護」に対応した専門業者への依頼を強くおすすめします。
よくある質問(Q&A)
A. これは「Windowsの起動プロセスが途中で止まっている」状態です。PCハードウェアは故障していない可能性が高いです。まずは強制終了して再起動を試してください。改善しない場合は、トラブルシューティングから「セーフモード」での起動や、「システムの復元」を行う必要があります。
A. 「カコン、カコン」や「ジージー」という異音がする場合、冷却ファンへの異物混入か、HDDの物理故障の危険性が高いです。すぐに電源を切り、通電を控えてください。無理に動かすとデータを完全に失います。
A. 長期間放置していたPCは、マザーボードのボタン電池(CMOS電池)が切れていることが多いです。数百円で交換できるので、まずは電池交換を試してみてください。
まとめ:焦らず一つずつ原因を潰そう
デスクトップパソコンの画面がつかないトラブルは、深刻な故障に見えて、実は単純な原因であることが多々あります。
- まずはケーブル接続とモニターの入力設定を確認
- 「Ctrl+Shift+Win+B」と「放電」を試す
- アクセスランプを見て、PC側かモニター側かを判断する
- メモリの抜き差しやCMOSクリアを行う
これらの手順を踏めば、多くのケースで復旧可能です。
しかし、どうしても直らない場合や、自分で分解するのが怖い場合は、無理をせずプロに頼るのが賢明です。最優先すべきは「あなたの時間」と「大切なデータ」であることを忘れないでくださいね。
