「誰も触っていないのにマウスカーソルが動く…」
「カメラのランプが勝手に点灯している…」
「身代金を要求する画面が出た…」
今、まさにこのような恐怖を感じて検索されたのではないでしょうか。
結論から申し上げます。パソコンが乗っ取られた場合、「初期化(リカバリー)」は最も確実で強力な解決策です。
しかし、ただ初期化ボタンを押すだけでは不十分です。手順を間違えると、一度消したはずのウイルスが復活したり、二度とデータが戻らなかったりする最悪の事態を招きかねません。
この記事では、乗っ取り被害を完全に断ち切るための「正しい初期化の手順」と、再感染を防ぐ「バックアップの鉄則」を、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
※2025年11月25日 記事の内容を最新の情報に更新しました。
本当に乗っ取り?初期化が必要な危険なサイン
初期化はパソコン内の全データを消去する「最終手段」です。実行する前に、ご自身のパソコンが本当に乗っ取り被害(遠隔操作)に遭っているのか、以下の症状と照らし合わせて確認しましょう。
- マウスカーソルが勝手に動く:物理的な故障の可能性もありますが、特定のファイルを開こうとする動きなら乗っ取りです。
- 未知のアプリ・ファイルがある:インストールした覚えのないソフトがある場合、遠隔操作ツールの可能性があります。
- ログイン履歴に不審な点がある:GoogleやMicrosoftのアカウント設定から、身に覚えのない場所(海外など)からのアクセスがないか確認してください。
- パソコンが異常に重い・熱い:裏で仮想通貨のマイニングなどに利用されている可能性があります。
- セキュリティソフトが無効化されている:ウイルスが防御壁を勝手にオフにしている状態です。非常に危険です。
これらの症状が複数当てはまる場合、ウイルススキャンだけでは対処しきれない可能性が高いため、初期化による完全なクリーンアップを推奨します。
なぜ初期化なら乗っ取りを解決できるのか
「ウイルス対策ソフトで駆除するだけではダメなの?」と思われるかもしれません。
しかし、近年の高度なマルウェア(悪意あるプログラム)に対しては、初期化こそが最も有効な理由があります。
1. 深層に潜むウイルスも根こそぎ消去できる
最近のウイルスには、パソコンのシステム深部(レジストリやシステムファイル)に寄生し、表面的なスキャンを逃れるタイプが存在します。
初期化(リカバリー)を行えば、WindowsやmacOSといったOSそのものを再構築するため、隠れているウイルスも含めて強制的に消去することができます。
2. バックドア(侵入口)を塞げる
乗っ取られたパソコンには、攻撃者がいつでも再侵入できるように「バックドア(裏口)」が設置されていることが多いです。これも初期化によって設定ごと消滅するため、安全な状態を取り戻せます。
実行前に!被害拡大を防ぐ3つの緊急対処法
初期化を決断したら、準備に取り掛かります。ここでの行動が、その後の明暗を分けます。
STEP1:ネットワークを物理的に遮断する
攻撃者からの通信を断つことが最優先です。これ以上、情報を盗まれたり操作されたりするのを防ぎます。
- 有線LANの方:パソコンからLANケーブルを抜いてください。
- 無線LAN(Wi-Fi)の方:パソコンのWi-Fi機能をオフにするか、ルーターの電源を切ってください。
(参照:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:パソコンのウイルス感染や不正アクセス被害への対策)
STEP2:感染していない端末でパスワード変更
乗っ取られたパソコンでパスワードを変更するのは厳禁です。キーボードの入力内容を記録するウイルス(キーロガー)により、新しいパスワードまで盗まれるからです。
必ずスマートフォンや別の安全なパソコンを使って、以下の重要パスワードを変更してください。
- Google / Microsoft / Apple ID
- ネットバンキング・クレジットカードサイト
- Amazon・楽天などのECサイト
- SNSアカウント(LINE, Instagram, Xなど)
STEP3:バックアップデータの選別
初期化するとデータは全て消えますが、「とりあえず丸ごとバックアップ」は絶対にNGです。
バックアップデータの中にウイルスが紛れ込んでいると、初期化後にデータを戻した瞬間、ウイルスも復活(再感染)してしまいます。

USBメモリ等にデータを移す際は、できれば他のパソコンでウイルススキャンを行ってから保存するのが理想です。
Windows・Mac別:パソコン初期化の完全手順
準備ができたら、初期化を実行します。乗っ取り対策として重要なのは、「データを残さず、完全に削除する設定」を選ぶことです。
Windows 11 / 10 の初期化手順
- スタートボタン → 「設定(歯車アイコン)」をクリック。
- Windows 11は「システム」、Windows 10は「更新とセキュリティ」を選択。
- 「回復」をクリックし、「このPCを初期状態に戻す」の「PCをリセットする(開始する)」ボタンを押す。
- オプション選択画面で、必ず「すべて削除する」を選択してください。
※「個人用ファイルを保持する」ではウイルスが残るリスクがあります。 - クラウドからダウンロード(推奨)かローカル再インストールを選び、初期化を開始します。
Mac の初期化手順(macOS復旧)
- Macの電源を完全に切ります。
- 電源ボタンを押し、直後に「Command + R」キーを長押しします(Appleロゴが出るまで)。
- 「macOSユーティリティ」が表示されたら「ディスクユーティリティ」を選択。
- 左側のメニューで「Macintosh HD(内蔵ディスク)」を選び、「消去」をクリック。
- フォーマット形式(APFS等)を選んで消去を実行します。
- ディスクユーティリティを終了し、「macOSを再インストール」を選択してインストールを進めます。
初期化が終わったら?再発を防ぐセキュリティ対策
初期化が完了し、パソコンが起動しても油断はできません。インターネットに繋ぐ前に、必ず以下のセキュリティ対策を行ってください。
1. OSとソフトウェアのアップデート
初期化直後のパソコンは、OSのバージョンが古い場合があります。Windows UpdateやmacOSアップデートを実行し、セキュリティの穴(脆弱性)を塞いでください。
2. 信頼できるセキュリティソフトの導入
Windows標準のDefenderも優秀ですが、未知の脅威やフィッシング詐欺への対策を強化するには、有料のセキュリティソフトの導入が安心です。
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3. ルーターのパスワード変更
パソコンだけでなく、Wi-Fiルーターの管理画面パスワードも初期設定のままになっていませんか?ここが弱点となって侵入されるケースも多いため、複雑なパスワードに変更しておきましょう。
自分では解決できない!専門家に頼るべきケース
以下のようなケースでは、個人の力で解決しようとせず、専門機関や業者への相談を強くおすすめします。
- 金銭的被害(不正送金・クレカ利用)が出ている
- 顧客情報や機密データが漏洩した可能性がある
- 初期化の手順に自信がなく、失敗したくない
- 「犯人を特定したい」「証拠を残したい」場合
特に「何が盗まれたか調査したい」場合は、フォレンジック調査(デジタル鑑識)の専門業者に依頼する必要があります。警察への相談前に証拠を保全してもらうことも可能です。
よくある質問(Q&A)
残念ながら、一度外部に送信されてしまったデータを取り戻すことは初期化ではできません。初期化はあくまで「手元のパソコンを安全な状態に戻す」作業です。流出した可能性がある情報の悪用を防ぐため、パスワード変更やカード停止の手続きを優先してください。
多くの場合、特定の個人を狙ったわけではなく、セキュリティの甘いパソコンを無差別に攻撃しています。目的は「クレジットカード情報の盗取」「踏み台(サイバー攻撃の中継地点)にする」「ランサムウェアによる身代金要求」などが一般的です。
初期化(ドライブの完全消去)を行えば、基本的には買い替えなくても安全に使用できます。ただし、パソコン自体が古く、最新のOS(Windows 11など)に対応していない場合は、セキュリティリスクが高まるため買い替えを検討しても良いでしょう。
まとめ:恐怖に打ち勝ち、安全なPC環境を取り戻そう
パソコンの乗っ取りは誰にでも起こりうる事故です。しかし、正しい知識を持って対処すれば、必ず安全な状態を取り戻すことができます。
最後に、本記事の重要ポイントを振り返ります。
- 乗っ取りには「初期化」が最も確実な解決策。
- 作業前に必ず「ネットワーク遮断」と「他端末でのパスワード変更」を行う。
- バックアップは「文書・画像」のみに絞り、再感染を防ぐ。
- 不安な場合や被害調査が必要な場合は、迷わず専門家へ。
初期化は少し手間がかかりますが、不安な日々を終わらせるための最良のステップです。この記事を参考に、焦らず一つずつ作業を進めてください。


