久しぶりに愛用のカメラを取り出したら、グリップ部分がなんだかベタベタに…。そんな経験はありませんか?
大切に保管していたはずなのに、触るたびに不快な感触がすると、せっかくの撮影気分も台無しですよね。
実はそのベタベタ、ゴムの「加水分解」という現象が原因で、誰のカメラにも起こりうる一般的な症状なんです。
でも、ご安心ください。この記事では、カメラのゴム部分のベタベタを取る方法を原因から詳しく解説し、ご家庭にあるものを使った簡単な方法から、より本格的な対処法まで、選りすぐりの5つの方法をご紹介します。正しいケアで、あなたのカメラを快適な状態に復活させましょう!
なぜ?カメラのゴムがベタベタになる根本的な原因
まず、問題を解決するためには原因を知ることが大切です。なぜ、あれほどサラサラだったカメラのゴムが、時間と共にベタベタになってしまうのでしょうか。
原因は「加水分解」という化学反応
カメラのゴム部分がベタベタになる主な原因は「加水分解(かすいぶんかい)」という化学反応です。
これは、ゴムやプラスチックといった素材が、空気中の水分(湿気)と結びつくことで分解され、表面にベタベタした物質を生成してしまう現象です。日本の高温多湿な環境は、特にこの加水分解を進めやすいと言えます。
長期間ケースに入れっぱなしにしたり、クローゼットの奥にしまい込んだりしていると、湿気がこもり、この化学反応が促進されてしまうのです。
【豆知識】よく使うカメラほどベタつきにくい?
不思議なことに、日常的に使っているカメラはベタつきにくい傾向があります。これは、手で触れることで、加水分解によって発生したごく微量の分解物が自然と拭き取られているため。つまり、定期的に使ってあげることが、一番の予防策になるのかもしれませんね。
【即実践OK】カメラのゴムのベタベタを取る方法【決定版5選】
それでは、いよいよ本題です。カメラのゴムのベタベタを除去する具体的な方法を見ていきましょう。軽度のものから頑固なベタつきに対応する方法まで、5つを厳選してご紹介します。
方法1:無水エタノールで拭き取る(最もおすすめ)
カメラのような精密機器の清掃に最もおすすめなのが「無水エタノール」を使用する方法です。
無水エタノールは、その名の通り水分をほとんど含まない高純度のアルコール。揮発性が非常に高いため、電子部品にかかってもすぐに蒸発し、故障のリスクを最小限に抑えられます。
- ステップ1:柔らかい布やマイクロファイバークロスに、無水エタノールを少量染み込ませます。
- ステップ2:ベタついているゴム部分を、優しく拭き上げます。
- ステップ3:ベタつきが布に移り、ゴム表面がサラサラになれば完了です。
【注意】無水エタノール使用時の注意点
無水エタノールは引火性が高い液体です。必ず火の気のない、風通しの良い場所で使用してください。また、作業中は窓を開けるなどして、しっかりと換気を行いましょう。
方法2:シール剥がし&シリコンスプレーで根本解決
「無水エタノールでも落ちない…」そんな頑固なベタつきには、少し上級者向けのこの方法が効果的です。これは、劣化したゴムの表面を一度除去し、新たにコーティングすることでサラサラの状態を取り戻すという考え方です。
- ステップ1:市販の「シール剥がし」を布に取り、ベタつく部分を拭いて劣化したゴム表面を除去します。
- ステップ2:劣化した部分が除去できたら、別のきれいな布で乾拭きします。
- ステップ3:仕上げに「シリコンスプレー」を薄く吹き付けた布で拭き上げ、表面を保護します。
この方法で、驚くほどスベスベのグリップが蘇ることがありますよ。
ホームセンターやカー用品店で手に入る「ラバープロテクタント」をシリコンスプレーの前に塗布すると、ゴムの保護効果がさらに高まり、劣化の進行を遅らせることができます。
方法3:消しゴムで軽くこする(軽度のベタつきに)
「ほんの少しベタつくかな?」という程度の軽い症状であれば、文房具の「消しゴム」が役立ちます。
ベタついている部分を優しくこすると、ベタつきが消しカスを巻き込みながらポロポロと取れていきます。非常に手軽で安全な方法なので、まず最初に試してみる価値はあります。
方法4:【注意】重曹やキッチンハイターはカメラには不向き
他のゴム製品のベタつき取りとして、重曹水やキッチンハイター(塩素系漂白剤)が紹介されることがあります。これらはアルカリ性で、ベタつきの原因物質を中和分解する効果があるためです。
しかし、これらの方法は水分を多く使用するため、カメラのような精密機器には絶対におすすめできません。
内部に水分が侵入して故障するリスクや、ゴム素材自体を傷めてしまう(溶かしてしまう)可能性があるため、避けるのが賢明です。
方法5:やってはいけないNGな方法
良かれと思ってやったことが、逆に状況を悪化させてしまうことも。以下の方法は避けましょう。
- 除菌用ウェットティッシュで拭く:多くの製品にはアルコール以外の保湿成分や水分が含まれており、拭いた直後は良くても、乾いた後さらにベタつきが悪化することがあります。
- 中性洗剤で洗う:効果がほとんどないばかりか、水分による故障リスクを高めるだけです。
もうベタベタさせない!今日からできる予防法
一度キレイにしたら、もうあの不快なベタベタとはお別れしたいですよね。日常の保管方法を少し工夫するだけで、加水分解の進行を大幅に遅らせることができます。
乾燥剤と一緒に密閉保管する
加水分解の最大の原因は「湿気」です。そのため、カメラを湿気から守ることが最も効果的な予防法になります。
- 防湿庫(ドライボックス):最も理想的な保管場所です。湿度を一定に保ち、カビやベタつきから機材を守ります。
- 密閉容器+乾燥剤:食料保存用のタッパーやチャック付きのポリ袋に、カメラとシリカゲルなどの乾燥剤を一緒に入れて保管するだけでも、大きな効果があります。
風通しの良い場所に置く
密閉容器が用意できない場合は、なるべく風通しの良い場所に置いておくだけでも違います。湿気が一か所に留まるのを防ぎ、加水分解のリスクを軽減できます。
それでもダメなら…最終手段を検討しよう
様々な方法を試しても改善しない場合や、ゴムがボロボロと崩れてきてしまった場合は、他の選択肢を考えましょう。
メーカーに修理・交換を依頼する
根本的な解決策は、メーカーに依頼してグリップのゴム部分を交換してもらうことです。費用はかかりますが、新品同様のコンディションに戻ります。まずはメーカーのサポートセンターに問い合わせてみましょう。
カメラの買い替えも選択肢に
カメラが古くなってきた、修理費用が高額になる、という場合は、思い切って新しいカメラに買い替えるのも一つの手です。最新のカメラは性能も向上しており、新しい撮影の楽しみが広がるかもしれません。



また、古いカメラは専門の業者に買い取ってもらうことで、新しいカメラの購入資金に充てることもできますよ。

カメラのゴム部分のベタベタに関するよくある質問(Q&A)
A. 「加水分解」という化学反応が原因です。ゴムの素材が空気中の水分と反応し、表面が分解されて粘着性のある物質に変化してしまうために起こります。
A. 表面に発生した分解物が、使っていれば自然と手で拭き取られますが、放置しているとどんどん蓄積してしまうためです。また、しまい込むことで湿気がこもりやすいのも一因です。
A. カメラは精密機器なので、水分を使わない「無水エタノール」での拭き取りが最も安全で効果も高いためおすすめです。
A. 消毒用アルコールは水分を多く含んでいるため、カメラへの使用は推奨されません。必ず「無水」と表記のあるエタノールを使用してください。
A. シール剥がしは、すでに劣化したゴムの表層を取り除くために使用します。健康なゴム部分まで溶かすことは少ないですが、心配な場合は、まず目立たない部分で試してから作業してください。
A. 残念ながら、放置して自然に治ることはありません。加水分解は時間と共に進行するため、症状は悪化していく可能性が高いです。気づいた時点で早めに対処することをおすすめします。
A. 機種やメーカー、交換するパーツの範囲によって大きく異なりますが、数千円から一万円以上かかるケースが一般的です。まずは公式サイトから修理費用の見積もりを確認してみましょう。
A. 湿度を管理できる「防湿庫」や「ドライボックス」で保管するのが最も効果的です。
A. はい、ベタつきの原因は同じ加水分解ですので、基本的には今回ご紹介した方法で対処可能です。ただし、非常に古いモデルや希少なカメラの場合は、専門家に相談することも検討してください。
A. 「シリコンスプレー」や「ラバープロテクタント」で表面をコーティングしておくと、サラサラな状態が長持ちし、再発防止にも繋がります。
まとめ:正しいケアで愛用のカメラを長く使おう
今回は、カメラのゴム部分のベタベタを取る方法について、原因から具体的な対処法、そして予防策まで詳しくご紹介しました。
最後に、この記事のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- ベタベタの主な原因は、湿気による「加水分解」。
- 精密機器であるカメラには、水分を含まない「無水エタノール」で拭くのが最も安全で効果的。
- 頑固なベタつきには「シール剥がし+シリコンスプレー」という裏ワザも有効。
- 予防の鍵は「湿気対策」。防湿庫や乾燥剤を活用しよう!
あの不快なベタベタが解消されるだけで、カメラへの愛着も一層深まるはずです。正しい知識でしっかりケアして、これからも大切なカメラで素敵な写真をたくさん撮ってくださいね。
あなたのカメラのベタベタ撃退体験談も、ぜひコメントで教えていただけると嬉しいです!


