「あれ?パソコンのカーソルが勝手に動いている…」
「身に覚えのないアプリがインストールされている…」
「急にパソコンの動作が異常に重くなった…」
もし、このような症状に心当たりがあるなら、あなたのパソコンは第三者に乗っ取られている(遠隔操作されている)かもしれません。
パソコンの乗っ取りを放置すると、クレジットカード情報やSNSアカウントなどの個人情報が盗まれたり、あなたのパソコンが犯罪の踏み台にされたりする可能性があります。考えただけでも恐ろしいですよね?
でも、安心してください。この記事を読めば、パソコンが乗っ取られているかどうかの確認方法から、今すぐやるべき緊急対処法、そして最終手段である「初期化」の正しい手順まで、すべてを網羅的に理解できます。
結論から言うと、パソコンがウイルスによって乗っ取られた場合、初期化は非常に有効な解決策です。しかし、その前にやるべきことや、初期化の注意点もたくさんあります。
この記事が、あなたの不安を解消し、大切なパソコンとデータを守るための一助となれば幸いです。それでは、一緒に解決していきましょう。
もしかして乗っ取り?パソコンが遠隔操作されているか確認する方法
「本当に自分のパソコンが乗っ取られているの?」と不安に思いますよね。まずは、遠隔操作されている時に現れる代表的な症状をチェックしてみましょう。一つでも当てはまれば、注意が必要です。

症状でチェックする!乗っ取りのサインを見逃すな
パソコンは、時に不調をサインとして発してくれます。以下のリストを確認し、ご自身のパソコンの状態と照らし合わせてみてください。
- カーソルが勝手に動く: 誰も操作していないのに、マウスポインターが画面上を動き回る。
- パソコンの動作が極端に遅い: アプリの起動やファイルの展開に異常に時間がかかる。
- 身に覚えのない操作履歴がある: 自分で開いた覚えのないファイルやウェブサイトの履歴が残っている。
- 勝手にアプリが起動・インストールされる: 見たことのないアプリが勝手にインストールされていたり、起動したりする。
- ファイル名や場所が変更されている: 自分で変更していないのに、ファイルやフォルダの名前、保存場所が変わっている。
- 勝手にインターネットに接続される: ネットワークを切断したはずなのに、いつの間にか接続されている。
- セキュリティソフトが勝手に無効になる: 設定を変更していないのに、ウイルス対策ソフトが機能しなくなっている。
- ウェブカメラのランプが勝手につく: ウェブカメラを使用していないのに、作動ランプが点灯している。
これらの症状は、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)がバックグラウンドで活動している可能性を示唆しています。
ツールを使って技術的に確認する
症状だけでなく、より技術的な側面からも確認することで、乗っ取りの確証を得られる場合があります。少し専門的になりますが、手順通りに行えば誰でも確認できます。
マウスとキーボードを外してみる
最も簡単な確認方法です。まず、パソコンに接続されているマウスとキーボード(有線ならケーブルを抜く、無線なら電源を切る)をすべて取り外します。この状態で、画面上のカーソルが動いたり、何らかの操作が行われたりすれば、外部から遠隔操作されている可能性が極めて高いと言えます。
タスクマネージャーで不審なプロセスを確認する (Windows)
タスクマネージャーは、パソコン内で動いているプログラムを確認できるツールです。ここに見慣れないプログラムがいないか確認しましょう。
- 「Ctrl」+「Shift」+「Esc」キーを同時に押して、タスクマネージャーを起動します。
- 左下の「詳細」をクリックして詳細表示に切り替えます。
- 「プロセス」タブを確認し、「CPU」や「メモリ」の列をクリックして使用率が高い順に並べ替えます。
- 何も操作していないのに、CPUやメモリを異常に消費している、見慣れない名前のプロセスがないか確認します。
- 怪しいプロセスを見つけたら、その名前をインターネットで検索してみましょう。マルウェアとして報告されている場合があります。
リソースモニターでネットワーク活動を確認する (Windows)
タスクマネージャーからさらに詳しく、どのプログラムがどこに通信しているかを確認できます。
- タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブを開きます。
- 下部にある「リソースモニターを開く」をクリックします。
- 「ネットワーク」タブを開き、「ネットワーク活動」の項目を確認します。
- 見慣れないプロセスが、不審なIPアドレス(特に海外のサーバーなど)と頻繁に通信していないかチェックします。
アクティビティモニタで確認する (Mac)
Macユーザーの方は、アクティビティモニタを使いましょう。
- 「アプリケーション」フォルダ内の「ユーティリティ」フォルダにある「アクティビティモニタ」を起動します。
- 「CPU」や「ネットワーク」タブを確認し、Windowsのタスクマネージャーと同様に、不審なプロセスがないか、意図しない通信が行われていないかを確認します。

パソコンが乗っ取られるとどうなる?放置する5つの危険性
「ちょっと動作が重いだけかもしれないし…」と、見て見ぬふりをしていると、取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。パソコンを乗っ取られると、具体的にどのような危険があるのかを理解しておきましょう。
1. 個人情報が根こそぎ盗まれる
パソコンの中は、個人情報の宝庫です。攻撃者は遠隔操作によって、あなたのパソコン内にあるあらゆる情報を盗み出します。
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
- ネットバンキングのID・パスワード
- クレジットカード情報
- 各種ウェブサイトのログイン情報(SNS、ショッピングサイトなど)
- 写真、プライベートな文書
- ウェブカメラによる盗撮、マイクによる盗聴
これらの情報が盗まれると、金銭的な被害はもちろん、ストーカー被害やなりすまし被害につながる恐れがあります。
2. 犯罪の踏み台にされ、加害者に仕立て上げられる
乗っ取られたパソコンは、攻撃者にとって便利な道具です。あなたのパソコンを中継して、他のコンピューターへ攻撃を仕掛けたり、スパムメールを大量に送信したりします。
この場合、表面的な発信源はあなたのパソコンになるため、あなたが犯罪者として疑われ、警察の捜査対象になってしまう可能性があります。いわゆる「なりすまし」によるサイバー犯罪です。身に覚えのないことで、ある日突然、警察が家に来る…という悪夢のような事態も実際に起こっています。
3. 保存しているデータを人質に取られる(ランサムウェア)
パソコン内の重要なファイルを勝手に暗号化し、元に戻すことと引き換えに金銭(身代金)を要求する「ランサムウェア」というウイルスの被害にあう可能性もあります。大切な仕事のデータや、家族との思い出の写真をすべて失ってしまうかもしれません。身代金を支払っても、データが元に戻る保証はどこにもありません。
4. パソコンのリソースを勝手に利用される
あなたのパソコンの計算能力(CPUパワー)を、攻撃者の目的のために勝手に利用されることもあります。代表的なのが、仮想通貨のマイニング(採掘)です。パソコンは常にフルパワーで稼働させられるため、動作が極端に遅くなるだけでなく、電気代が跳ね上がったり、パソコンの寿命を縮めたりする原因になります。
5. 周囲の人にも被害が拡大する
乗っ取られたパソコンから、あなたのメールアカウントを使って、友人や同僚にウイルス付きのメールが送信されることがあります。あなたが送信元になっているため、受信者は疑いなくファイルを開いてしまい、ウイルス感染が連鎖的に広がってしまうのです。あなた一人の問題では済まされず、人間関係にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
パソコンが乗っ取られた!今すぐやるべき緊急対処法
乗っ取りの可能性が高いと判断した場合、被害を最小限に食い止めるために、迅速な対処が求められます。パニックにならず、以下の手順を順番に実行してください。
【STEP1】ネットワークから切断する(最優先)
何よりも先に、パソコンをインターネットから切り離してください。これにより、攻撃者からの遠隔操作を遮断し、さらなる情報漏洩や不正操作を防ぎます。
- 有線LANの場合: パソコンに接続されているLANケーブルを抜きます。
- 無線LAN(Wi-Fi)の場合: パソコンのWi-Fi機能をオフにするか、Wi-Fiルーターの電源を切ります。
物理的に接続を断つことが最も確実です。これで攻撃者は、あなたのパソコンに手出しできなくなります。
【STEP2】各種パスワードを変更する
ネットワークを切断した状態ではパスワード変更はできませんが、安全が確認されている別の端末(スマートフォンや他のパソコン)を使って、乗っ取られたパソコンで使用していた重要なアカウントのパスワードをすべて変更してください。攻撃者にパスワードが知られている可能性が高いからです。
優先的に変更すべきパスワードは以下の通りです。
- パソコンのログインパスワード
- メールアカウント(Gmail、Outlookなど)
- ネットバンキングやクレジットカードのアカウント
- Apple IDやGoogleアカウント
- SNSアカウント(X, Instagram, Facebookなど)
- Amazonや楽天などのECサイトのアカウント
新しいパスワードは、使い回しをせず、英字(大文字・小文字)、数字、記号を組み合わせた複雑なものに設定しましょう。
【STEP3】セキュリティソフトでフルスキャンする
ネットワークから切断した状態で、インストールされているセキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)を起動し、「フルスキャン」または「完全スキャン」を実行します。これにより、パソコン内に潜んでいるウイルスやマルウェアを検出し、駆除できる可能性があります。
ポイント:
- スキャンを実行する前に、ウイルス定義ファイル(パターンファイル)を最新の状態に更新しておくことが理想です。一度だけ安全なネットワークに短時間接続して更新するか、別のPCで更新ファイルをダウンロードしてUSBメモリで移すなどの方法があります。
- セキュリティソフトを導入していない場合は、この段階での対処は難しくなります。
【STEP4】不審なプログラムを削除する
セキュリティソフトで検知されなかった場合でも、自分でインストールした覚えのない不審なプログラムがないか確認し、あればアンインストール(削除)します。
- Windowsの場合: 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」の一覧を確認します。
- Macの場合: 「アプリケーション」フォルダ内を確認します。
ただし、システムに必要なファイルを誤って削除してしまうリスクもあるため、少しでも判断に迷う場合は無理に削除せず、専門家に相談することをおすすめします。

【最終手段】パソコンを遠隔操作されたら初期化(リカバリー)は有効?
ウイルススキャンや不審なプログラムの削除を行っても、本当に脅威が去ったのか確信が持てないことも多いでしょう。そんな時、最も確実で強力な対処法が「パソコンの初期化(リカバリー)」です。
なぜパソコンの初期化が有効なのか?
パソコンの初期化とは、パソコンを工場から出荷された時点の状態に戻すことを指します。これにより、OS(WindowsやMac)やプリインストールされていたソフト以外の、後から追加されたデータやプログラムはすべて消去されます。
つまり、パソコン内に潜んでいたウイルスやマルウェアも、データごと根こそぎ削除することができるのです。隠れた場所に潜んでいるウイルスや、見つけ出すのが困難な種類のマルウェアも一掃できるため、最も確実な対処法とされています。
初期化するメリットとデメリット
初期化を検討する際は、メリットとデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。
メリット | デメリット |
---|---|
ウイルスやマルウェアを完全に除去できる可能性が非常に高い。 | 保存されているデータ(写真、書類、音楽など)がすべて消える。 |
パソコンの動作が不安定だった場合、改善することがある。 | 自分でインストールしたソフト(Officeなど)もすべて消えるため、再インストールが必要。 |
精神的な安心感が得られる。 | 再設定(インターネット接続、メール設定など)に手間と時間がかかる。 |
バックアップしたデータにウイルスが潜んでいる可能性があり、復元時に再感染するリスクがある。 |
初期化する前に必ずやるべきこと:バックアップ
初期化の最大のデメリットは「データがすべて消える」ことです。そのため、初期化を実行する前には、必ず必要なデータのバックアップを取っておかなければなりません。

バックアップ時の最重要注意事項:
バックアップしたデータの中にウイルスが紛れ込んでいると、初期化後にデータを戻した際に、ウイルスも一緒に復活してしまいます。これを「再感染」と言います。
再感染のリスクを最小限に抑えるために、以下の点に注意してください。
- バックアップするのは必要最低限のデータのみにする: 写真、動画、自分で作成した文書ファイルなど、再入手が不可能なデータに限定しましょう。プログラムファイル(.exeなど)は絶対にバックアップしないでください。
- バックアップ前にウイルススキャンを行う: バックアップ対象のファイルを、最新の状態のセキュリティソフトでスキャンします。
- 外付けHDDやUSBメモリを使用する: バックアップには、外付けの記録媒体を使用します。バックアップが完了したら、すぐにパソコンから取り外してください。
Windows・Mac別!パソコンを初期化する具体的な手順
バックアップの準備が整ったら、いよいよ初期化を実行します。ここでは、Windows 11/10とMacの基本的な初期化手順を解説します。機種やバージョンによって画面が多少異なる場合がありますので、ご注意ください。
Windows 11 / 10 の初期化手順
Windowsには、データを残すオプションもありますが、乗っ取り(ウイルス感染)が目的の場合は、必ず「すべて削除する」を選択してください。
- 「スタート」メニューから「設定」(歯車アイコン)をクリックします。
- 【Windows 11の場合】左側のメニューで「システム」を選択し、右側の画面で「回復」をクリックします。
【Windows 10の場合】「更新とセキュリティ」をクリックし、左側のメニューで「回復」を選択します。 - 「このPCを初期状態に戻す」または「このPCをリセット」の項目にある「開始する」または「PCをリセットする」ボタンをクリックします。
- 「オプションを選択してください」という画面が表示されたら、必ず「すべて削除する」を選択します。
- 次の画面で、OSの再インストール方法を選択します。「クラウドからダウンロード」か「ローカル再インストール」を選べますが、通常はどちらでも問題ありません。
- 設定内容の確認画面が表示されます。内容を確認し、問題がなければ「リセット」または「次へ」をクリックして初期化を開始します。
初期化には数時間かかる場合があります。処理が完了するまで、電源を切らずに待ちましょう。完了すると、Windowsの初期設定画面が表示されます。
Mac の初期化手順
Macの初期化は「macOS復旧」という機能を使って行います。始める前に、Apple IDからサインアウトしておくとスムーズです。
- iTunes、iCloud、iMessageからサインアウトしておきます。
- Macの電源を完全に落とします。
- 電源ボタンを押し、すぐに「command (⌘) + R」キーを押し続けます。Appleロゴが表示されたらキーを離します。
- 「macOSユーティリティ」のウインドウが表示されます。
- 「ディスクユーティリティ」を選択し、「続ける」をクリックします。
- 内蔵ディスク(通常は “Macintosh HD”)を選択し、上部の「消去」ボタンをクリックします。
- フォーマットを選択する画面になるので、名前はそのまま、フォーマットは「APFS」または「Mac OS拡張(ジャーナリング)」を選択して「消去」をクリックします。(データの消去が始まります)
- 消去が完了したら、ディスクユーティリティを終了します。
- macOSユーティリティの画面に戻るので、「macOSを再インストール」を選択し、画面の指示に従ってインストールを進めます。
こちらも完了まで時間がかかります。インストールが終わると、新品のMacを購入した時と同じ初期設定画面から始まります。

初期化しても不安…警察や専門業者に相談すべき?
「自分で初期化までやったけど、本当に大丈夫だろうか…」「情報が盗まれていないか心配…」そんな不安が残る場合や、そもそも自分での対処が難しい場合は、専門家を頼ることを検討しましょう。
警察(サイバー犯罪相談窓口)に相談するケース
金銭的な被害が発生した場合や、犯罪に巻き込まれた可能性がある場合は、警察への相談が必要です。各都道府県警には「サイバー犯罪相談窓口」が設置されています。
相談すべきケースの例:
- ネットバンキングから不正にお金が送金された。
- クレジットカードを不正利用された。
- SNSアカウントを乗っ取られ、なりすまし投稿をされた。
- ランサムウェアに感染し、身代金を要求されている。
相談する際は、被害の状況を時系列でまとめ、エラーメッセージのスクリーンショットなどの証拠があれば準備しておくとスムーズです。ただし、警察は犯罪捜査を目的としており、パソコンの復旧やウイルスの駆除を行ってくれるわけではないので注意が必要です。
専門のフォレンジック調査会社に依頼するメリット
「どんな情報が盗まれたのか」「侵入経路は何だったのか」といった原因を徹底的に調査したい場合は、「フォレンジック調査」の専門会社に依頼するのが最も確実です。
フォレンジック調査とは、デジタル機器に残された証拠を収集・分析する科学的な調査手法です。専門家に依頼することで、以下のようなことが明らかになります。
- 侵入経路の特定: どこから、どのようにして侵入されたのかを解明します。
- 被害範囲の特定: どのファイルが盗まれたのか、どのような不正操作が行われたのかを調査します。
- 情報漏洩の有無: 個人情報や機密情報が外部に流出したかどうかを確認します。
- 法的な証拠の確保: 調査結果は、法的な手続きで有効な証拠として提出できる報告書にまとめてもらえます。
個人での依頼は費用が高額になる場合もありますが、法人や個人事業主で顧客情報などが漏洩した可能性がある場合は、被害の全容を把握し、再発防止策を講じるために非常に重要です。

自分で対処するのが不安な場合は、PCホスピタルのようなパソコン修理業者に相談するのも一つの手です。ウイルスの診断・駆除から初期化の代行、セキュリティ設定まで幅広く対応してくれます。
二度と乗っ取られない!今日からできる5つの予防策
無事にパソコンを初期化できても、以前と同じ使い方をしていては、また同じ被害に遭う可能性があります。この機会にセキュリティ意識を高め、二度と乗っ取られないための対策を徹底しましょう。
1. 強力なパスワードの設定と管理
基本中の基本ですが、最も重要な対策です。単純なパスワードは、攻撃者にとって格好の的です。
- 複雑にする: 英字(大文字・小文字)、数字、記号を組み合わせ、12文字以上の長さにしましょう。
- 使い回さない: サービスごとに異なるパスワードを設定してください。一つが破られても、被害の連鎖を防げます。
- 二段階認証を有効にする: 対応しているサービスは、必ず二段階認証を設定しましょう。パスワードが破られても、不正ログインを防止できます。
2. OS・ソフトウェアを常に最新の状態に保つ
WindowsやMac、ブラウザや各種ソフトウェアは、セキュリティ上の弱点(脆弱性)を修正するためのアップデートを定期的に配信しています。アップデートの通知が来たら、後回しにせず、すぐに適用する癖をつけましょう。古いバージョンのまま放置することは、玄関の鍵を開けっ放しにしているのと同じくらい危険です。
3. 信頼できるセキュリティソフトの導入
OS標準のセキュリティ機能も年々向上していますが、より高度な脅威から身を守るためには、信頼できる有料のセキュリティソフトを導入することをおすすめします。ウイルス検知だけでなく、危険なサイトへのアクセスをブロックしたり、フィッシング詐欺を警告してくれたりする機能も備わっています。導入後は、常に自動更新を有効にしておきましょう。
4. 不審なメールやサイトを開かない
ウイルスの主な感染経路は、メールの添付ファイルや本文中のリンクです。
- 宅配業者や金融機関を装ったメールでも、送信元のアドレスが怪しい場合は、絶対にリンクや添付ファイルを開かないでください。
- SNSのDMなどで送られてくるURLも安易にクリックしないようにしましょう。
- 無料のソフトウェアをダウンロードする際は、信頼できる公式サイトから行うようにしてください。
5. 無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティ設定を見直す
自宅のWi-Fiルーターの設定が甘いと、そこから侵入される可能性もあります。
- 暗号化方式を確認する: 「WPA3」や「WPA2」といった安全性の高い暗号化方式を使用しましょう。「WEP」は解読されやすいため危険です。
- パスワードを複雑にする: ルーターのログインパスワードやWi-Fiのパスワードを、初期設定のまま使わず、推測されにくい複雑なものに変更しましょう。
- 公共のフリーWi-Fiは慎重に利用する: 暗号化されていないフリーWi-Fiでは、通信内容を盗み見られる危険があります。個人情報やパスワードの入力は避けましょう。
パソコンの乗っ取りと初期化に関するQ&A
ここでは、パソコンの乗っ取りや初期化に関してよくある質問にお答えします。
A. 100%とは断言できませんが、限りなく安全な状態に戻せます。
ごく稀に、パソコンの根幹部分(BIOS/UEFI)に感染する特殊なマルウェアも存在しますが、一般的な乗っ取り被害の場合、OSの初期化でウイルスはほぼ一掃できます。ただし、前述の通り、バックアップデータからの再感染には十分な注意が必要です。初期化後はすぐにセキュリティソフトを導入し、OSやソフトを最新の状態にしてからデータを戻すようにしてください。
A. ルーターの対策は非常に重要です。
パソコンが乗っ取られたということは、ネットワークのセキュリティが甘かった可能性も考えられます。この機会に、Wi-Fiルーターの管理画面にログインするためのパスワードと、Wi-Fiに接続するためのパスワード(暗号化キー)を、より複雑なものに変更することをおすすめします。また、ルーターのファームウェアが古い場合は、最新版にアップデートしましょう。光回線自体に何か対策が必要になることは通常ありません。
A. はい、あります。
乗っ取りを疑う前に、物理的な原因も考えられます。例えば、ワイヤレスマウスの電池が切れかけていたり、マウスの裏のセンサーにホコリがついていたりすると、カーソルが飛ぶことがあります。また、近くにある他の電子機器との電波干渉や、パソコンに接続している他の周辺機器(ペンタブレットなど)の誤作動が原因のケースもあります。一度、周辺機器をすべて外して現象が再現するか確認してみるのも有効な切り分け方法です。
A. 業者や作業内容によって異なりますが、目安として1万円~3万円程度です。
ウイルスの駆除作業は8,000円~18,000円、パソコンの初期化と初期設定の代行は1万円~2万円程度が相場です。これに出張費などが加わる場合もあります。複数の業者から見積もりを取って比較検討するとよいでしょう。
まとめ:冷静な対処と万全の予防でパソコンを守り抜こう
今回は、パソコンが乗っ取られた際の確認方法から、最終手段である初期化の手順、そして今後のための予防策までを網羅的に解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ってみましょう。
- 乗っ取りのサイン: カーソルが勝手に動く、動作が重い、見知らぬファイルがあるなどの症状に注意する。
- 緊急対処法: まずはネットワークを切断!その後、安全な端末でパスワードを変更し、セキュリティソフトでスキャンする。
- 初期化は有効な手段: ウイルスごと根こそぎ削除できる最も確実な方法。ただし、データは全て消えるため、バックアップは必須。
- バックアップの注意点: ウイルスごとバックアップしないよう、必要最低限のデータのみを対象にし、スキャンを行ってから保存する。
- 予防が最も重要: 「強力なパスワード」「アップデートの徹底」「セキュリティソフト導入」「不審なメールは開かない」「Wi-Fi設定の見直し」を習慣づける。
パソコンの乗っ取りは、誰の身にも起こりうる非常に身近な脅威です。しかし、正しい知識を持って冷静に対処し、日頃からセキュリティ対策を徹底していれば、被害を未然に防いだり、最小限に抑えたりすることができます。
もしもの時は、この記事をもう一度読み返して、落ち着いて行動してください。そして、今日からできる予防策を一つでも多く実践し、あなたの大切なパソコンと情報を守り抜きましょう。安全で快適なデジタルライフを取り戻すために、この記事が少しでもお役に立てたなら幸いです。