「ホームベーカリーで、あのパン屋さんのような外はパリッ、中はもちもちのフランスパンが焼きたい!」
この記事では、ホームベーカリーのフランスパンコースと他のコースの具体的な違いを、材料の配合から焼き上げの工程まで徹底的に比較・解説します。
さらに、メーカーごとの特徴や、なぜか上手く焼けない原因と対策、プロのような本格的な味に近づけるための裏ワザまで、あなたが抱える疑問をすべて解決します。
この記事を読み終える頃には、フランスパンコースの違いを深く理解し、次こそは理想のフランスパンを焼き上げられる自信がついているはずです。さあ、一緒に美味しいパン作りの扉を開きましょう!
- そもそもホームベーカリーのフランスパンコースとは?
- 【徹底比較】フランスパンコースと食パンコースの5つの違い
- ホームベーカリーのメーカー別フランスパンコースの特徴
- フランスパンコースで焼けるパンの種類とアレンジレシピ
- なぜ?ホームベーカリーのフランスパンが固くならない原因と対策
- プロ級の味に!フランスパンを美味しく焼くための裏ワザ5選
- ホームベーカリー選びの新常識!フランスパンコース搭載モデルの選び方
- フランスパンコースの意外な活用法!パン以外にも使える?
- ホームベーカリーのフランスパン作りであると便利な道具
- よくある質問(Q&A)|フランスパンコースの疑問を解決
- まとめ:違いを理解して、理想のフランスパンを焼き上げよう!
そもそもホームベーカリーのフランスパンコースとは?
多くのホームベーカリーに搭載されている「フランスパンコース」。まずは、このコースが一体どのようなもので、なぜ食パンコースとは別に存在するのか、その基本的な役割と必要性から見ていきましょう。
フランスパンコースの基本的な役割
ホームベーカリーのフランスパンコースの最も重要な役割は、「リーンなパン」であるフランスパン特有の食感と風味を再現することです。
フランスパンは、小麦粉、水、塩、イーストという非常にシンプルな材料(リーンな配合)で作られます。バターや砂糖、牛乳といった副材料(リッチな配合)をほとんど使わないため、小麦本来の風味をダイレクトに感じられるのが特徴です。
このシンプルな材料から、外側の皮(クラスト)はパリッと香ばしく、内側の生地(クラム)は気泡が多くもちもちとした食感に仕上げるには、特別な製造工程が必要不可欠。フランスパンコースは、その複雑な工程をボタン一つで自動的に行ってくれる、まさにパン職人の技を詰め込んだプログラムなのです。

そうなんです!リーンなパンはごまかしが効かない分、工程の一つひとつが焼き上がりに大きく影響するんですよ。だからこそ専用コースが必要になるんですね。
普通のパン(食パン)コースとの根本的な違い
では、食パンコースとは具体的に何が違うのでしょうか?最大のポイントは、「こね」「発酵」「焼き」の各工程における時間と温度のコントロールです。
- こね:フランスパンはグルテンを過剰に形成させないよう、比較的ゆっくり、短時間でこね上げます。これにより、軽やかで引きのあるクラムが生まれます。一方、食パンはしっかりこねて、きめ細かくふっくらとした食感を目指します。
- 発酵:低温でじっくりと時間をかけて発酵させるのがフランスパンの特徴です。これにより、小麦のうま味と豊かな風味が引き出されます。食パンコースは比較的高温で短時間の発酵が一般的です。
- 焼き:高温で一気に焼き上げることで、皮はパリッと薄く、中はしっとりとした焼き上がりになります。焼き時間も食パンに比べて短い傾向にあります。
このように、目指すパンのゴールが違うため、そこに至るまでのアプローチ(工程)も全く異なっているのです。
なぜフランスパン専用コースが必要なのか?
もし食パンコースでフランスパンの材料を投入したらどうなるでしょうか?
おそらく、食パンのようにしっかりとこねられ、高温で発酵・焼成されるため、フランスパン特有のパリッとしたクラストや、大小の気泡があるクラムにはなりません。どちらかというと、砂糖やバターの入っていない、少し味気ない食パンのような焼き上がりになってしまうでしょう。
フランスパンならではの美味しさを家庭で手軽に実現するために、専用のプログラムが不可欠なのです。リーンな配合の生地を最適な工程で管理し、本格的な味わいを引き出す。これこそが、フランスパンコースが存在する最大の理由と言えるでしょう。
【徹底比較】フランスパンコースと食パンコースの5つの違い
フランスパンコースと食パンコースの違いを、さらに具体的に5つのポイントに分けて比較してみましょう。この違いを理解することで、なぜ焼き上がりに差が出るのかが明確になります。
違い①:材料の配合(粉・水・塩・イースト)
すべてのパン作りの基本となるのが材料です。フランスパンと食パンでは、推奨される材料の配合が大きく異なります。
- フランスパン:小麦粉、水、塩、イーストのみ。砂糖や油脂(バターなど)をほとんど、あるいは全く使用しません。そのため、小麦粉本来の風味が際立ちます。使用する小麦粉も、タンパク質の含有量が比較的少ない「準強力粉(フランスパン専用粉)」が推奨されます。
- 食パン:小麦粉、水、塩、イーストに加え、砂糖、バター、牛乳(スキムミルク)などの副材料を多く使います。これらはパンに柔らかさ、甘み、風味、そして老化を遅らせる効果を与えます。小麦粉はタンパク質量の多い「強力粉」が一般的です。
この配合の違いが、味わいはもちろん、後の工程にも大きく影響してきます。
違い②:こね時間と方法
生地の骨格を作る「こね」の工程も、両者でアプローチが異なります。
- フランスパンコース:グルテンを過度に作りすぎないよう、比較的ゆっくりとした速度で、短時間こねるようにプログラムされています。これにより、不均一で大きな気泡(内相)が生まれやすくなり、フランスパンらしい食感につながります。
- 食パンコース:生地をしっかり叩きつけ、力強くこねることで、グルテンの膜を強靭に形成します。こね時間も長く、きめ細やかで均一な内相の、ふっくらとしたパンを目指します。
違い③:発酵時間と温度
パンの風味と膨らみを左右する「発酵」は、最も大きな違いが現れるポイントかもしれません。
- フランスパンコース:低温(比較的低い温度)で長時間かけて発酵させます。低温長時間発酵により、イーストの活動が穏やかになり、その間に小麦の酵素が働いて、うま味成分や豊かな風味(熟成香)が生まれます。
- 食パンコース:イーストの活動が活発になる比較的高温で、短時間で発酵を完了させます。これにより、効率よく生地を膨らませ、柔らかくボリュームのあるパンに仕上げます。
違い④:焼き時間と温度
最終的な食感を決定づける「焼き」の工程も、全く違います。
- フランスパンコース:短時間かつ高温で一気に焼き上げます。高温で焼くことで、表面の水分がすぐに蒸発し、薄くてパリッとした香ばしいクラストが形成されます。中の水分は保たれるため、クラムはしっとり・もっちりとした仕上がりになります。
- 食パンコース:フランスパンコースよりもやや低い温度で、じっくりと時間をかけて焼き上げます。これにより、中まで均一に火が通り、耳まで柔らかく、しっとりとした食パンが焼き上がります。
違い⑤:焼き上がりの特徴(クラストとクラム)
これら4つの違いが組み合わさることで、焼き上がりのパンに明確な差が生まれます。
比較表:フランスパン vs 食パン
項目 | フランスパン | 食パン |
---|---|---|
クラスト(皮) | 薄くて硬く、パリッとしている | 比較的厚く、柔らかい |
クラム(中身) | 大小不均一な気泡があり、もちもち・しっとり | 気泡が細かく均一で、ふんわり・しっとり |
味わい | 小麦本来の風味と塩味。あっさりしている。 | 砂糖やバターの甘みとコクがある。 |
香り | 香ばしい焼き色と、熟成された小麦の香り | 甘く、バターやミルクの芳醇な香り |
いかがでしたか?このように、目指すパンが違うからこそ、材料から焼き上げまでの全工程で、全く異なるアプローチが取られているのです。この違いを理解することが、美味しいフランスパンを焼くための第一歩となります。
ホームベーカリーのメーカー別フランスパンコースの特徴
「フランスパンコース」と一括りに言っても、実はメーカーや機種によって少しずつ特徴が異なります。ここでは、人気の主要メーカーであるパナソニック、シロカ、MK精工のフランスパンコースの特徴について、公式サイトの情報をもとにご紹介します。
パナソニック製品のフランスパンコースの特徴
ホームベーカリーの王道ともいえるパナソニック。そのフランスパンコースは、安定した美味しさと、初心者でも失敗しにくいプログラムが魅力です。
- パリッとしたクラストの再現性:多くのモデルで、フタの天面IHと底面のヒーターで釜を包み込むように加熱する「Wおどり炊き」ならぬ「Wセンシング」技術などを応用し、オーブンのような高温焼成を再現。これにより、皮は薄くパリッと、中はしっとりとした本格的な食感に近づけます。
- メニューの豊富さ:上位モデルでは、「パン・ド・カンパーニュ」や「ごはんフランスパン」など、フランスパンから派生した様々なハード系パンの専用コースが搭載されていることもあります。
- 静音性:「インバーターモーター」を搭載したモデルが多く、こねの工程が比較的静かなのも嬉しいポイント。早朝や夜でも気兼ねなくパン作りを楽しめます。
初めてホームベーカリーでフランスパン作りに挑戦する方や、安定したクオリティを求める方には、パナソニックの製品は非常に心強い味方となるでしょう。

パナソニックの取扱説明書はレシピも丁寧で分かりやすいので、初心者の方でも安心して始められますよ。まずは説明書通りに作ってみるのが成功への近道です!
シロカ製品のフランスパンコースの特徴
コストパフォーマンスの高さで人気のシロカ。そのフランスパンコースは、手軽さと、コンパクトながらも本格的な焼き上がりを両立させているのが特徴です。
- 独自の発酵プログラム:シロカのホームベーカリーは、季節や室温の変化に対応できるよう、巧みな温度管理プログラムが組まれています。フランスパン作りで重要な発酵の工程を、機械がしっかりとサポートしてくれます。
- 焼き色調整機能:多くのモデルで「うすい」「ふつう」「こい」の3段階から焼き色が選べます。香ばしい焼き色をつけたいフランスパンでは、「こい」を選択することで、より本格的な見た目と食感に近づけることができます。
- シンプルな操作性:複雑な機能は削ぎ落とし、誰でも直感的に操作できるシンプルなパネル設計が魅力。気軽にフランスパン作りに挑戦できます。
「まずは手頃な価格のモデルでフランスパンを試してみたい」という方や、「置き場所に困らないコンパクトなものが良い」という方に、シロカはぴったりの選択肢です。
MK精工製品のフランスパンコースの特徴
パン作りにこだわる人たちから根強い支持を得ているのがMK精工です。「パンのプロ」が開発に携わっていることもあり、そのフランスパンコースは職人の技を追求した、こだわりのプログラムが特徴です。
- 巧みな「ねり」技術:MK精工のホームベーカリーは、力強い「ねり」に定評があります。フランスパンコースでは、生地を傷めずに優しく、しかし確実に混ぜ合わせる絶妙なプログラムで、理想的な生地状態を作り出します。
- 低温長時間発酵の徹底:フランスパンのうま味を最大限に引き出すため、低温でじっくりと時間をかける発酵プログラムが組まれています。これにより、小麦の甘みと香りが豊かなパンが焼き上がります。
- 豊富なメニューと自由度:「フランスパン風」だけでなく、本格的なフランスパンコースを搭載。また、ねり、発酵、焼きの時間を個別に設定できる「手作りコース」が充実しているモデルも多く、自分好みのフランスパンを追求したい上級者にも満足のいく仕様です。
より本格的なフランスパンを焼きたい、将来的には自分で工程をカスタマイズしてみたい、というこだわり派の方には、MK精工の製品がおすすめです。
フランスパンコースで焼けるパンの種類とアレンジレシピ
ホームベーカリーのフランスパンコースは、基本のフランスパンを焼くだけでなく、少しのアレンジで様々なバリエーションのパンを楽しむことができます。ここでは、フランスパンコースを活用して作れるパンの種類と、簡単なアレンジレシピをご紹介します。
基本のフランスパン
まずは王道、基本のフランスパンです。材料は準強力粉、水、塩、ドライイーストだけ。シンプルだからこそ、焼き立ての香ばしさと小麦の味を存分に楽しめます。
ポイントは、焼きあがった後の「蒸らし」時間です。すぐに取り出さず、焼き上がり後5分ほど釜の中(電源は切る)で待つと、余熱で表面の水分が飛び、よりパリッとした食感になります。スライスしてそのまま食べたり、バターやオリーブオイルをつけたり、スープに添えたりと、楽しみ方は無限大です。
ベーコンエピやチーズフランスへの応用
フランスパンコースの「生地作り」までをホームベーカリーに任せれば、成形パンも簡単に作れます。特に人気なのがベーコンエピやチーズフランスです。
簡単ベーコンエピの作り方
- ホームベーカリーのフランスパン生地コースで生地を作る。
- 生地を取り出し、ガス抜きをしてから細長く伸ばす。
- 生地の上にベーコンを乗せ、しっかりと包み込む。
- 綴じ目を下にして、ハサミで斜めに深い切り込みを入れ、左右交互に倒して麦の穂の形にする。
- 二次発酵させた後、霧吹きで水をかけ、200〜220℃のオーブンで15〜20分焼く。
成形する際に、粒マスタードや黒胡椒を一緒に巻き込むと、より風味豊かな仕上がりになりますよ。
全粒粉やライ麦を使ったヘルシーフランスパン
健康志向の方には、全粒粉やライ麦を配合したフランスパンもおすすめです。食物繊維やミネラルが豊富で、独特の香ばしさと深い味わいが楽しめます。
アレンジのコツ:
- 配合割合:初めて作る場合は、準強力粉の10%〜20%程度を全粒粉やライ麦に置き換えるところから始めてみましょう。割合を増やすほど、ずっしりと重たいパンになります。
- 水分量の調整:全粒粉やライ麦は準強力粉よりも水分を多く吸うため、レシピの水分量を5%〜10%程度増やすと、パサつきにくくなります。
クリームチーズやナッツ、ドライフルーツとの相性も抜群。サンドイッチにしても、普通のフランスパンとは一味違った美味しさを発見できます。
ナッツやドライフルーツを入れたアレンジ
クルミやレーズン、クランベリーなどを加えると、おやつや朝食にぴったりのデザートパンになります。多くのホームベーカリーには「具材自動投入機能」がついていますが、フランスパンコースでは手動で投入するタイミングを教えてくれる機種が多いです。ブザーが鳴ったら、指定の具材を加えましょう。
ポイント:
- ナッツ類は、あらかじめローストしておくと香ばしさが格段にアップします。
- ドライフルーツは、硬い場合はぬるま湯で少し戻し、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってから使うと、生地がべたつきにくくなります。
このように、フランスパンコースを使いこなせば、日々のパンライフがより一層豊かになります。ぜひ色々なアレンジに挑戦してみてくださいね。
なぜ?ホームベーカリーのフランスパンが固くならない原因と対策
「フランスパンコースで焼いたのに、お店たいなパリッとした固さにならない…」「なんだか食パンみたいにフワフワしてしまう」というのは、非常によくあるお悩みです。その原因は、いくつかのポイントに隠されています。ここでは主な原因とその対策を詳しく解説します。
原因①:水分量が多すぎる・少なすぎる
パン作りにおいて、水分量は焼き上がりの食感を決定づける最も重要な要素の一つです。
- 水分が多すぎる場合:生地がべたつき、グルテンの形成が弱くなります。その結果、釜の中で生地が横にだれてしまい、高さが出ず、目が詰まった重たいパンになります。クラストも湿っぽくなり、パリッとした食感が生まれません。
- 水分が少なすぎる場合:生地が硬くなりすぎて、発酵がスムーズに進みません。膨らみが悪く、パサパサとした食感のパンになってしまいます。
【対策】
0.1g単位で計れるデジタルスケールで、水と粉を正確に計量することが絶対条件です。特に、季節(湿度)や使う粉の種類によって吸水率は微妙に変わります。もしレシピ通りでうまくいかない場合は、次回から水を±5g程度で調整してみましょう。「こね」の段階で、生地がひとまとまりになり、ケースの内側が少し汚れるくらいの硬さが目安です。

計量カップは意外と誤差が大きいんですよ。パン作りを成功させたいなら、まずはデジタルスケールの導入をおすすめします!
原因②:粉の種類が合っていない
フランスパンには、フランスパンに適した粉があります。食パン作りで使う強力粉を代用すると、理想の食感にはなりにくいです。
- 強力粉を使った場合:強力粉はグルテンを形成するタンパク質の量が多いのが特徴です。そのため、生地が力強く膨らみすぎてしまい、フランスパン特有のもっちりとした引きのあるクラムではなく、ふんわり・もっちりとした食パンのような食感になりがちです。
【対策】
「フランスパン専用粉」または「準強力粉」を使用しましょう。これらはタンパク質の含有量が強力粉と薄力粉の中間くらいで、フランスパンに最適な粉です。スーパーの製菓材料コーナーや、ネット通販で手軽に購入できます。代表的な銘柄としては「リスドォル」などが有名です。この粉に変えるだけで、焼き上がりが劇的に変わることもあります。
原因③:イーストの活性が悪い
イーストは生き物です。その働きが鈍いと、パンは十分に膨らんでくれません。
- 古いイースト:開封してから時間が経ったドライイーストは、発酵力が落ちています。
- イーストと塩が直接触れた:塩にはイーストの働きを阻害する性質があります。材料を釜に入れる際に、イーストと塩が直接触れると、発酵力が弱まってしまいます。
- 水の温度が高すぎる:40℃以上のお湯を使うと、イーストが死滅してしまい、全く膨らみません。
【対策】
ドライイーストは開封後は密閉して冷蔵庫で保存し、1〜2ヶ月を目安に使い切りましょう。材料を投入する際は、粉で壁を作るようにして、塩とイーストが直接触れないように離して入れるのが基本です。水の温度もレシピの指示を守りましょう。(特に夏場は冷水を使うのが基本です)
原因④:過発酵または発酵不足
発酵の見極めはパン作りの要ですが、ホームベーカリー任せでも室温などの環境によって発酵具合が左右されることがあります。
- 過発酵:特に夏場に起こりやすい失敗です。生地が発酵しすぎると、グルテンが劣化してガスを保持できなくなり、焼いている途中で生地がしぼんでしまいます。焼き上がったパンは酸っぱい匂いがすることがあります。
- 発酵不足:冬場など室温が低い場合に起こりがちです。十分に発酵できなかったパンは、ずっしりと重く、目が詰まった焼き上がりになります。
【対策】
夏場はレシピの指示よりも冷たい水を使う、冬場は少しぬるま湯(30℃以下)を使うなど、水温で生地の温度を調整するのが効果的です。また、ホームベーカリーを直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所に置かないようにすることも大切です。
これらの原因と対策を知っておけば、失敗した時も冷静に対処できます。ぜひ次のパン作りに活かしてみてください。
プロ級の味に!フランスパンを美味しく焼くための裏ワザ5選
ホームベーカリーのフランスパンコースでも、ほんの少しの工夫で、焼き上がりを格段にレベルアップさせることができます。ここでは、誰でも試せる簡単なものから、一歩進んだテクニックまで、美味しく焼くための5つの裏ワザをご紹介します。
裏ワザ①:材料の正確な計量
これは基本中の基本ですが、最も重要な裏ワザです。先述の失敗の原因でも触れましたが、特にリーンな配合のフランスパンでは、材料のわずかな誤差が食感に大きく影響します。
小麦粉、水、塩、イーストのすべてを、0.1g単位で表示されるデジタルスケールで計量しましょう。特に塩とイーストは微量なので、正確な計量が不可欠です。「小さじ1杯」などの体積で計る方法は、誤差が大きいためパン作りには向きません。この一手間をかけるだけで、毎回安定した品質のパンが焼けるようになります。
裏ワザ②:水温を季節に合わせて調整する
パン生地の温度(こね上げ温度)を一定に保つことは、安定した発酵の鍵です。しかし、室温は季節によって大きく変動します。そこで重要になるのが「水温」のコントロールです。
- 夏場(室温25℃以上):生地温度が上がりすぎないよう、5℃程度の冷水を使いましょう。冷蔵庫で冷やしておいた水を使うと簡単です。
- 冬場(室温10℃以下):生地温度が低くなりすぎないよう、20〜25℃程度のぬるま湯を使いましょう。ただし、熱すぎるとイーストが死んでしまうので注意してください。
- 春・秋(室温15〜20℃):常温の水で問題ありません。
この水温調整を意識するだけで、発酵が安定し、失敗がぐっと減ります。
裏ワザ③:フランスパン専用粉を使う
これも重要なポイントです。強力粉でもパンは焼けますが、フランスパンらしい「外はパリッ、中はもっちり」という食感を出すなら、やはり「準強力粉(フランスパン専用粉)」が最適です。タンパク質の含有量が絶妙で、軽やかで引きのあるクラムと、薄くてもろいクラストを作り出してくれます。
一度、強力粉で焼いたものと、フランスパン専用粉で焼いたものを食べ比べてみてください。その違いにきっと驚くはずです。
裏ワザ④:「追い焼き」でクラストをパリッとさせる
ホームベーカリーの焼き上がりは、機種によっては少ししっとり目に仕上がることがあります。もっとパリッとさせたい!という場合は、「追い焼き」が効果的です。
焼き上がり直後の熱々のパンをパンケースから取り出し、200〜230℃に予熱したオーブンで5〜7分ほど追加で焼きます。こうすることで、表面の水分が飛んで、クラストがカリッ、パリッと香ばしく仕上がります。見た目の焼き色も濃くなり、より本格的な雰囲気になりますよ。
裏ワザ⑤:クープ(切り込み)を上手に入れるコツ
フランスパンの象徴でもある表面の割れ目「クープ」。これは見た目の美しさだけでなく、焼成時に生地がスムーズに膨らむための「逃げ道」を作る重要な役割があります。ホームベーカリーでは自動で焼くのでクープは入れられませんが、「生地作りコース」を活用すれば、クープ入りのフランスパンも作れます。
クープを入れるタイミング:
二次発酵が終わって、オーブンに入れる直前がベストタイミングです。
コツ:
- よく切れるカミソリの刃や、専用のクープナイフを使います。
- ためらわず、スッと一気に引くのが最大のコツです。深さは5mm程度を目安に。
- 刃を少し斜めに寝かせて入れると、焼いた時にクープが「エッジが立つ」ように美しく開きます。
最初は難しいかもしれませんが、何度か挑戦するうちにコツが掴めてきます。クープが綺麗に開いた時の感動は格別ですよ!
ホームベーカリー選びの新常識!フランスパンコース搭載モデルの選び方
これからホームベーカリーの購入を検討している方や、買い替えを考えている方へ。美味しいフランスパンを焼くために、ぜひチェックしておきたい選び方のポイントをご紹介します。
チェックポイント①:焼き色調整機能の有無
フランスパンの魅力の一つは、何と言ってもその香ばしい焼き色ですよね。焼き色を自分の好みに調整できる機能は、フランスパン作りにおいて非常に重要です。
多くのホームベーカリーには、「うすい」「ふつう」「こい」といったように、焼き色を2〜3段階で設定できる機能が搭載されています。フランスパンを焼く際は、基本的に「こい」に設定するのがおすすめです。しっかりと焼き込むことで、クラストはよりパリッと香ばしくなり、本格的な見た目と食感に近づきます。
購入を検討する際は、この焼き色調整機能が搭載されているか、そして何段階で調整できるのかを必ず確認しましょう。
チェックポイント②:具材自動投入機能と手動投入のブザー
ナッツやドライフルーツ、ベーコンなどを入れたアレンジフランスパンを楽しみたいなら、具材を入れるタイミングを知らせてくれる機能が便利です。これには2つのタイプがあります。
- 具材自動投入機能:専用の容器に具材をセットしておくと、最適なタイミングで自動的に生地に混ぜ込んでくれる機能です。手を煩わせることなく、均一に具材を混ぜられるのがメリットです。
- 手動投入ブザー:具材を入れるタイミングになると、ブザー(音)で知らせてくれる機能です。自分でフタを開けて投入する必要がありますが、チョコレートチップなど溶けやすい具材や、形を崩したくない大きな具材を入れる際に便利です。
フランスパンコースの場合、自動投入に対応しておらず、ブザーでのお知らせのみ、という機種も多いです。どちらの機能(あるいは両方)が搭載されているかを確認しておくと、アレンジの幅が広がります。
チェックポイント③:独立モード(こね・発酵・焼き)の充実度
基本のフランスパンに慣れてきたら、次は自分だけのオリジナルパンを焼いてみたくなるもの。そんな時に役立つのが、「こね」「発酵」「焼き」の各工程を個別に設定・実行できる「独立モード」や「手作りコース」です。
この機能が充実しているモデルなら、
- 「こね時間だけを少し短くしてみよう」
- 「発酵時間を長くして、もっと熟成させてみよう」
- 「生地作りだけをホームベーカリーに任せて、成形と焼成はオーブンで」
といったように、パン作りの工程を自由にカスタマイズできます。特に、クープを入れたフランスパンやバゲットなど、成形が必要なパンに挑戦したい方には必須の機能と言えるでしょう。上級者を目指すなら、ぜひこの独立モードの有無と自由度をチェックしてください。
フランスパンコースの意外な活用法!パン以外にも使える?
ホームベーカリーのフランスパンコースは、実はフランスパンを焼くだけではありません。その特性を理解すれば、他の料理にも応用が可能です。ここでは、知っていると料理の幅が広がる、意外な活用法をご紹介します。
ピザ生地作りへの応用
もちもちとした食感の本格的なピザ生地を作りたい時、フランスパンコースの「生地作り」機能が非常に役立ちます。
ピザ生地も、フランスパンと同じく比較的リーンな配合(粉、水、塩、イースト、少量のオリーブオイル)で作られます。食パンコースの生地作り機能を使うと、こねが強すぎて少し重たい食感になりがちですが、フランスパンコースの優しく短時間な「こね」は、ピザ生地に最適な、軽やかで歯切れの良い食感を生み出します。
作り方は簡単。ピザ生地の材料をパンケースに入れ、フランスパンの「生地作りコース」をスタートさせるだけ。出来上がった生地を伸ばし、お好みの具材をトッピングしてオーブンで焼けば、お店のようなクリスピーピザの完成です。

週末のランチなどに、手作りピザは盛り上がりますよね!生地作りをホームベーカリーに任せれば、お子さんと一緒にトッピングを楽しむ時間も作れますよ。
うどんやパスタの生地作り
機種によっては「うどん・パスタ生地コース」が搭載されていますが、もし搭載されていない場合でも、フランスパンコースの「こね」機能で代用できることがあります。
うどんやパスタの生地は、イーストを使わず、粉と塩水(と卵)だけで作ります。そして、グルテンを適度に引き出す必要があります。食パンコースの「こね」では強すぎ、生地が硬くなりすぎてしまうことがあります。一方、フランスパンコースの比較的穏やかな「こね」は、うどんやパスタに必要な「コシ」を生み出すのに適している場合があります。
活用する際の注意点
- 水分量を厳密に:水分が多すぎるとべたつき、少なすぎるとまとまりません。レシピを正確に守りましょう。
- 「こね」工程のみ使用:発酵や焼きは不要なので、「こね」が終わった段階で必ず生地を取り出してください。独立した「こね」モードがあれば、そちらを使いましょう。
- 取扱説明書を確認:すべての機種で推奨されているわけではありません。故障の原因にならないよう、必ずご自身のホームベーカリーの取扱説明書を確認してから試してください。
このように、フランスパンコースの「ゆっくり、優しくこねる」という特性を活かせば、パン以外のメニューにも応用が可能です。ぜひ、お持ちのホームベーカリーの可能性を広げてみてください。
ホームベーカリーのフランスパン作りであると便利な道具
ホームベーカリーがあれば、基本的には材料さえあればフランスパンは焼けます。しかし、さらに一歩進んだ美味しさや、作業のしやすさを追求するなら、いくつか揃えておくと便利な道具があります。ここでは、パン作りのクオリティを上げてくれる、おすすめのアイテムをご紹介します。
正確な計量のためのデジタルスケール
これは「便利」というより、もはや「必須」のアイテムです。特に、0.1g単位まで計れるものが理想です。フランスパンのリーンな配合では、塩やイーストのわずか0.5gの違いが、発酵や味に大きく影響します。また、粉や水の計量も、カップで計るのとは比べ物にならないほど正確になります。
「毎回味が安定しない」という悩みを抱えている方は、まずデジタルスケールを導入することで、その原因が計量にあったと気づくことも少なくありません。手頃な価格のものも多いので、ぜひ用意しましょう。
生地を扱うためのスケッパー(カード)
「生地作りコース」を使って成形パンに挑戦する際に、非常に役立つのがスケッパー(カード)です。
- 生地の分割:パンケースから取り出した生地を、希望の数に切り分ける際に使います。包丁と違って生地を傷つけにくいのが特徴です。
- 生地集め:打ち粉をした台の上で、べたつく生地をまとめたり、移動させたりするのに便利です。
- パンケースの掃除:パンケースの隅に残った生地をかき集めるのにも使えます。
プラスチック製やステンレス製など様々な素材がありますが、最初はしなやかで扱いやすいプラスチック製のものがおすすめです。これ一つあるだけで、生地を扱うストレスが大幅に軽減されます。
美しいクープを入れるためのクープナイフ
オーブンで焼くフランスパンの、あの美しい割れ目「クープ」に憧れるなら、専用のナイフを手に入れましょう。カミソリの刃を柄に取り付けたような形状で、非常に鋭い切れ味が特徴です。
普通の包丁では、刃が生地に引っかかってしまい、うまく切れません。クープナイフを使えば、生地の表面をスムーズに切り裂くことができ、焼成時にクープが綺麗に開きます(窯伸びします)。
見た目の美しさだけでなく、パンの膨らみを助けるという重要な役割もあるため、成形パンを極めたい方はぜひ持っておきたい道具です。
焼き上がったパンを冷ますクーラー
焼き上がったパンを美味しく食べるためには、冷まし方も重要です。焼き立てのパンの底には蒸気がこもっており、そのまま台の上などに置いておくと、底面が湿ってべちゃっとしてしまいます。
ケーキクーラー(網)の上に乗せて冷ますことで、パンの底からも熱と蒸気が抜けていきます。これにより、クラストのパリッとした食感を長く保つことができます。パン作りだけでなく、お菓子作りや揚げ物の油切りにも使えるので、一つあると重宝しますよ。
よくある質問(Q&A)|フランスパンコースの疑問を解決
ここでは、ホームベーカリーのフランスパンコースに関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
A. 初心者の方や、手軽に作りたい方には非常におすすめです。
フランスパンミックス粉には、準強力粉や塩、砂糖、脱脂粉乳など、美味しく作るための材料が絶妙なバランスで配合されています。水とイーストを用意するだけで、計量の手間が省け、失敗も少なく安定したフランスパンが焼けるのが最大のメリットです。
一方で、自分で粉から配合する場合は、塩の種類にこだわったり、全粒粉を混ぜたりと、自分好みの味を追求できる楽しさがあります。手軽さを求めるならミックス粉、こだわりを追求したいなら粉から、と使い分けるのが良いでしょう。
A. 保存方法によって、美味しさを保てる期間が変わります。
- 常温保存(1〜2日):焼き立ての風味を楽しむなら常温保存が基本です。乾燥しないように、紙袋に入れるか、布巾で包んで保存します。ビニール袋に入れると蒸気で湿気てしまい、クラストのパリッと感が失われるので避けましょう。
- 冷凍保存(2週間〜1ヶ月):食べきれない場合は、スライスしてから1枚ずつラップでぴったりと包み、さらに冷凍用保存袋に入れて冷凍します。食べる際は、凍ったままトースターで焼くと、焼きたてに近いパリッとした食感が蘇ります。冷蔵保存はパンのデンプンが最も劣化しやすい温度帯なので、おすすめしません。
A. 少し固くなったフランスパンは、アレンジ次第で絶品料理に生まれ変わります。
- フレンチトースト:卵液が染み込みやすく、絶品のフレンチトーストが作れます。
- クルトン:サイコロ状にカットして、オリーブオイルと塩胡椒で炒めれば、シーザーサラダなどにぴったりの自家製クルトンになります。
- パン粉:フードプロセッサーにかければ、香りの良い自家製パン粉になります。揚げ物が格段に美味しくなりますよ。
- パングラタン:ちぎったパンを耐熱皿に入れ、ミートソースやホワイトソース、チーズをかけて焼けば、ボリューム満点の一品になります。
A. 残念ながら、完全に同じように焼くのは難しいですが、「パン生地コース」とオーブンを組み合わせる方法があります。
お持ちのホームベーカリーにフランスパンコースがない場合でも、諦める必要はありません。パン生地(またはピザ生地)コースで生地を作り、取り出して自分で成形し、オーブンで焼くことでフランスパンを作ることが可能です。
この方法であれば、ホームベーカリーを「こね」と「一次発酵」のための機械として活用できます。オーブンでの焼成は、高温で予熱し、焼く前にパン生地に霧吹きで水をかけると、パリッとしたクラストになりやすいです。少し手間はかかりますが、焼きたてのフランスパンを楽しむことはできますよ。
まとめ:違いを理解して、理想のフランスパンを焼き上げよう!
今回は、ホームベーカリーのフランスパンコースと食パンコースの違いについて、材料から工程、焼き上がりの特徴まで、徹底的に解説しました。
この記事の重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- フランスパンコースは、リーンな配合(砂糖・油脂が少ない)の生地を、「優しくこね」「低温で長時間発酵させ」「高温短時間で焼く」ための専用プログラムです。
- 食パンコースとの違いは、材料配合、こね、発酵、焼きのすべての工程に明確な目的の違いがあります。
- 上手く焼けない原因は、計量、粉の種類、水温管理など、基本的なポイントにあることが多いです。
- メーカーごとに特徴があり、独立モードなどを活用すれば、アレンジやこだわりのパン作りも可能です。
フランスパンコースの違いを深く理解することで、なぜ今までうまくいかなかったのか、次は何を試すべきかが見えてきたのではないでしょうか。
最初は難しく感じるかもしれませんが、この記事で紹介した対策や裏ワザを一つずつ試していけば、あなたの焼くフランスパンは着実にプロの味に近づいていきます。失敗さえも、次の成功への大切なステップです。
さあ、違いをマスターしたあなたなら、きっと理想の「外はパリッ、中はもちもち」のフランスパンを焼けるはずです。ぜひ、ご家庭で焼きたてのパンが香る、豊かな毎日を楽しんでくださいね。
これからホームベーカリーの購入や買い替えを検討している方は、以下の記事であなたにぴったりの一台を見つけるお手伝いをしています。ぜひご覧ください。

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