「エアコンからポタポタと水が落ちてきたと思ったら、色が茶色い…!」
透明な水ならまだしも、茶色く濁った水が出てくると「故障かな?」「有害な水かも?」と不安になりますよね。
実はその茶色い水、エアコン内部で繁殖した「カビ」や「汚れ」が溶け出した危険な水である可能性が高いです。
この記事では、エアコンから茶色い水が出る原因を特定し、誰でもすぐにできる応急処置から、根本的な解決方法、さらに業者に依頼した場合の費用相場までを網羅的に解説します。放置すると健康被害や火災のリスクもあるため、今すぐ対策を確認しましょう。
エアコンから茶色い水が出てくる4つの原因
エアコンの水漏れ、それも「茶色い水」が出る場合、原因は以下の4つに分類されます。まずはご自宅の状況がどれに当てはまるか確認しましょう。
内部のカビやホコリが溶け出している
最も一般的な原因です。冷房使用時に発生する結露水が、内部に溜まった「黒カビ」や「ホコリ」を洗い流す形でドレンパン(水受け皿)に溜まり、それが溢れ出ています。
水が黒や濃い茶色の場合は、カビ汚れがかなり蓄積している証拠です。
タバコのヤニや料理の油汚れ
リビングや喫煙可能な部屋のエアコンでよく見られるケースです。
空気中に漂うタバコのヤニや料理の油煙をエアコンが吸い込み、内部で粘着質の汚れとなります。これが水に溶けると、黄色〜茶褐色の水が発生します。油汚れは粘度が高いため、排水ホースを詰まらせる原因にもなります。
ドレンホースの詰まり(虫・ゴミ)
屋外に排出されるはずの水が、ホースの詰まりによって逆流しているパターンです。
- ホースの中にカナブンやクモなどの虫が巣を作っている
- 土や枯れ葉が排出口を塞いでいる
- 内部のヘドロ状の汚れがホース内で固まっている
逆流する際にドレンパンの汚水を巻き込むため、室内に漏れてくる水は茶色くなります。
熱交換器などの金属部品のサビ
古いエアコンに見られる原因です。エアコン内部の「熱交換器」や「配管」が経年劣化で腐食し、発生したサビが結露水に混ざって流れ出ます。赤茶色の水が出る場合は、このサビが原因の可能性が高いです。
応急処置:茶色い水が出た時に今すぐやるべきこと
水漏れを発見したら、被害を広げないために以下の手順で対応してください。
すぐに運転を停止し、コンセントを抜く
電気部品に水がかかると、漏電やショートによる火災の恐れがあります。リモコンで停止した後、必ず電源プラグを抜いてください。
水滴を拭き取り、部屋を保護する
茶色い水は壁紙やカーテン、畳に付着するとシミになって落ちなくなります。
- エアコンの下にビニールシートや新聞紙を敷く
- バケツを置いて水を受ける
- 壁についた水はすぐに固く絞った雑巾で拭き取る

自分でできる詰まりを解消する掃除機テクニック
「業者を呼ぶ前に自分でなんとかしたい」という方におすすめなのが、掃除機を使ってドレンホースの詰まりを解消する方法です。
準備するもの
- 掃除機
- タオルまたは手ぬぐい(薄手の布)
- 輪ゴム
手順1:室外機のドレンホースを探す
ベランダや屋外にある室外機の近くに、水を排出する細いホース(ドレンホース)があります。出口が土に埋もれていたり、植木鉢の下敷きになっていないか確認し、開放してください。
手順2:掃除機と布をセットする
掃除機のノズルを外し、ホースの吸い込み口にタオル等の布を被せます。その上からドレンホースの先端をあてがい、手で隙間ができないようにしっかりと握ります。
※布を挟むのは、汚水が掃除機内部に入り込むのを防ぐためです。
手順3:数秒間だけ吸引する
掃除機のスイッチを「強」にし、2〜3秒間だけ吸引します。
※注意:絶対に水を吸い込むまで吸引し続けないでください。「ズボボッ」という音がしたら、すぐに離してください。掃除機が故障する原因になります。
これで詰まっていたヘドロやゴミが抜け、溜まっていた汚水がドレンホースからドバっと排出されれば成功です。
放置は危険!茶色い水が引き起こす3つのリスク
「少量だし、乾けばいいや」と放置するのは非常に危険です。
アレルギーや肺炎などの健康被害
茶色い水が出るということは、エアコン内部がカビだらけの状態です。その状態で運転を続けると、カビの胞子を部屋中に撒き散らすことになります。
これを吸い込むと、「夏型過敏性肺炎」や「気管支喘息」、「アレルギー性鼻炎」を引き起こす可能性があります。特に抵抗力の弱い赤ちゃんや高齢者がいるご家庭は厳重な注意が必要です。
壁紙や家財の汚損・腐食
一度ついた茶色いシミは、簡単には落ちません。また、壁の内部に水が浸透すると、断熱材や柱を腐らせたり、カビを増殖させたりして、家の寿命を縮めることになります。
トラッキング現象による火災
最も怖いのが火災です。漏れた水がコンセント部分やエアコン内部の基盤にかかると、ホコリと水分が結合して発火する「トラッキング現象」を引き起こす恐れがあります。
業者に依頼する場合の費用相場と選び方
自分で詰まりを解消できない場合や、内部の汚れがひどい場合は、プロによるクリーニングが必要です。
エアコンクリーニングの料金相場
一般的な壁掛けエアコンのクリーニング費用の目安は以下の通りです。
| エアコンの種類 | 費用相場 |
|---|---|
| 通常タイプ(お掃除機能なし) | 8,000円 〜 12,000円 |
| お掃除機能付き | 15,000円 〜 20,000円 |
| ドレンホース洗浄(オプション) | 2,000円 〜 3,000円 |
※茶色い水が出る場合は、オプションの「ドレンホース洗浄」や「防カビコーティング」を合わせて依頼することをおすすめします。
信頼できる業者の選び方
安さだけで選ぶと、汚れが落ちきっていなかったり、逆に故障させられたりするトラブルもあります。「損害賠償保険に加入しているか」「口コミの評価は具体的か」「追加料金の説明が明確か」を確認して選びましょう。
よくある質問(Q&A)
最後に、エアコンの茶色い水に関するよくある疑問をまとめました。
基本的には、エアコンは設備の一部であるため、経年劣化や故障の場合は「大家さん(貸主)」の負担となります。しかし、「フィルター掃除を全くしていなかった」など、入居者の管理不足(善管注意義務違反)が原因と判断された場合は、入居者負担になることがあります。 自分で修理を依頼する前に、必ず管理会社へ連絡しましょう。
おすすめしません。市販のスプレーは洗浄液を完全に洗い流すのが難しく、残った洗剤がカビの栄養分となり、余計に状況を悪化させることがあります。また、電装部品にかかって故障するリスクも高いため、水漏れが起きているレベルの汚れならプロに任せるのが確実です。
購入から10年以上経過しているエアコンの場合、部品の保有期間が過ぎていて修理できないことがあります。また、最新機種は省エネ性能が高く、電気代が安くなるため、10年選手なら買い替えの方がトータルでお得になるケースが多いです。
まとめ:早めの対処で健康と家を守ろう
エアコンから出る茶色い水は、エアコンからのSOSサインです。
- 原因:カビ、ホコリ、詰まりによる逆流が主な原因。
- 対処法:まずは運転停止。掃除機での吸引(ドレンホース掃除)を試す。
- 解決策:改善しない場合や汚れがひどい場合は、プロのクリーニングを依頼する。
「たかが水漏れ」と放置せず、早めに対処することで、家族の健康と大切な家を守りましょう。きれいなエアコンで迎える夏・冬は、空気も美味しく快適ですよ。
