「自宅のエアコン、もう何年も使っているけど、いつまで持つのだろう?」
「急に壊れたら困るけど、買い替えのタイミングがわからない…」
そんな疑問をお持ちではありませんか?エアコンは生活に欠かせない家電だからこそ、寿命の目安はしっかり把握しておきたいですよね。
この記事では、エアコンが何年持つのかという平均寿命や、寿命10年と言われる根拠、買い替えを検討すべき7つのサインを徹底解説します。さらに、エアコンを長持ちさせるコツや、修理と買い替えの賢い判断基準、メーカーによる違いまで網羅的にご紹介。
この記事を読めば、あなたのエアコンの「今」の状態を把握し、最適な買い替え時期を見極めることができます。
エアコンの寿命、本当は何年?
エアコンの寿命について、「10年」という数字と「13年」という数字を聞くことがあります。どちらが正しいのでしょうか?結論から言うと、どちらも正しい側面があります。3つの側面から本当の寿命を見ていきましょう。
目安は10年!2つの根拠
一般的に「エアコンの寿命の目安は10年」とされています。これには、メーカー側が定めた2つの明確な理由があります。
- 設計上の標準使用期間が10年
多くのメーカーが、製品を安全に使用できる標準的な期間として「設計上の標準使用期間」を「10年」と定めています。これは、標準的な使い方をした場合に、経年劣化による発火・けがなどの事故に至るおそれが少ない期間を示しています。(参照:日本冷凍空調工業会) - 補修用性能部品の保有期間が9年〜10年
メーカーは、製品の修理に必要な部品を、その製品の製造打ち切り後から一定期間保有する義務があります。エアコンの場合、この期間が「9年」または「10年」(メーカーによる)です。(参照:全国家庭電気製品公正取引協議会)
つまり、製造終了から10年以上経つと、故障しても部品がなく修理できない可能性が非常に高くなるのです。
実際の平均使用年数は約13年
では、実際にはどのくらい使われているのでしょうか。内閣府の「消費動向調査(令和6年3月実施分)」によると、二人以上の世帯におけるルームエアコンの平均使用年数は13.6年というデータがあります。
買い替え理由の第1位は「故障(60.5%)」であり、多くの方が「壊れるまで使う」傾向にあるようです。しかし、前述の通り10年を超えると修理できないリスクが高まるため、注意が必要です。
法定耐用年数「6年」との違い
「法定耐用年数」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは会計処理(減価償却)のために国が定めた資産価値の基準で、エアコンは「6年」(※条件による)とされています。(参照:国税庁)
これはあくまで税務上の数字であり、製品が「6年で壊れる」という意味では全くありません。
寿命が近いエアコンの7つのサイン
使用年数が10年に近づいていなくても、以下のような症状が現れたらエアコンの寿命が近いサインかもしれません。本格的に故障する前に、早めに点検・検討しましょう。
1. 冷えない・暖まらない
エアコンの最も基本的な機能の低下です。設定温度にしてもなかなか快適にならないのは、以下のような原因が考えられます。
- フィルターの深刻な目詰まり
- 内部の熱交換器やファンの汚れ
- 冷媒(れいばい)ガスの漏れ
- 心臓部であるコンプレッサー(圧縮機)の劣化
掃除をしても改善しない場合、内部部品の劣化や故障の可能性が高いでしょう。
2. 異音や異臭がする
運転中に聞き慣れない音やニオイがしたら注意が必要です。
- 異音の例:
「ガタガタ」「カタカタ」(内部部品の緩み、破損、ファンの不具合)
「ポコポコ」(ドレンホースから外気が入る音 ※故障ではない場合も有)
「シュー」(冷媒ガスが流れる音 ※正常な場合も有) - 異臭の例:
「カビ臭い」「酸っぱいニオイ」(内部に発生したカビや雑菌)
「焦げ臭い」(電子部品やモーターの異常 ※危険!)
特に焦げ臭いニオイがした場合は、火災の危険があるため、直ちに使用を中止し、コンセントを抜いて専門業者に連絡してください。
3. 室内機から水漏れする
室内機の吹き出し口などから水が垂れてくる症状です。結露水を排出する「ドレンホース」の詰まりが主な原因ですが、内部の部品の破損や、熱交換器の汚れが原因で発生することもあります。
4. 電気代が急に高くなった
同じような使い方をしているのに、明らかに電気代が高くなった場合は要注意です。内部部品の劣化により、設定温度にするためにコンプレッサーが過剰に動き、余計な電力を消費している(=運転効率が低下している)可能性があります。
5. 運転中に停止する
運転を開始してもすぐに止まってしまう、または運転中に勝手に停止する症状が頻発する場合。内部のセンサーや電子基板に問題が発生している可能性が高いです。
6. リモコン操作がきかない
リモコンの電池を交換しても本体が反応しない場合、リモコン自体の故障か、エアコン本体の受信部が故障している可能性があります。本体側の故障の場合、修理費用が高額になるケースもあります。
7. 20年・30年使用している
「うちは20年使えている」というケースもありますが、設計上の標準使用期間(10年)を大幅に超えた製品の使用は、経年劣化による発火などの重大事故のリスクが格段に高まります。(参照:NITE 独立行政法人製品評価技術基盤機構)
問題なく動いているように見えても、安全のために買い替えを強く推奨します。
メーカーによって寿命は違う?
「ダイキンは丈夫?」「パナソニックや三菱は長持ちする?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、主要な国内メーカー(ダイキン、パナソニック、三菱電機、日立、富士通ゼネラルなど)であれば、基本的な寿命(10年)に大きな差はありません。
どのメーカーも「設計上の標準使用期間10年」を基準に設計しており、部品保有期間もほぼ横並びです。メーカーによる差よりも、以下の要因の方が寿命に大きく影響します。
- 使用頻度: リビングで毎日長時間使うエアコンと、寝室で夏場だけ使うエアコンでは、前者の方が早く寿命を迎えます。
- 設置環境: 室外機が直射日光にさらされ続ける、海に近い(塩害地域)などは劣化を早めます。
- メンテナンス頻度: フィルター掃除の頻度が最も重要です。

ポイントは「自動お掃除機能」の有無です。
自動お掃除機能付きエアコンは、フィルター掃除の手間が省けますが、内部構造が複雑なため、万が一故障した際の修理費用がやや高くなる傾向があります。どちらが良いかはライフスタイルによりますね。
修理と買い替え、どっちがお得?判断基準を解説
エアコンが故障した場合、「修理」か「買い替え」か、迷いますよね。判断の基準は「使用年数」「保証期間」「修理費用」の3点です。
保証期間内なら迷わず修理
購入から1年間のメーカー保証や、家電量販店の長期保証(5年・10年など)の期間内であれば、迷わず修理を依頼しましょう。多くの場合、無料で修理が可能です。まずは保証書を確認してください。
使用10年未満は費用次第
保証期間が切れており、使用年数が10年未満の場合は、修理の見積もりを取って判断します。修理費用が3万円を超えるようであれば、買い替えも視野に入れましょう。一度高額な修理をしても、数年後に別の部品が故障する可能性があるためです。
使用10年以上は買い替え推奨
使用年数が10年を超えている場合は、買い替えを強く推奨します。
理由は以下の通りです。
- 修理部品がない: 部品保有期間(9〜10年)を過ぎ、修理不可の可能性が高い
- 修理の連鎖: 仮に修理できても、すぐに別の場所が故障するリスクがある
- 省エネ性能の差: 最新モデルは10年前の機種と比べて電気代が大幅に安い

10年前のエアコンと最新の省エネモデルを比較すると、年間の電気代が数千円〜1万円以上安くなることも珍しくありません。
修理費用が高額になるなら、その分を頭金にして、将来の電気代を節約できる最新機種に買い替える方が、トータルで「お得」になるケースが多いですよ。
主な修理内容と費用相場
修理を検討する際の、おおよその費用相場です。※あくまで目安であり、メーカーや機種、業者によって変動します。
| 修理内容 | 費用相場(目安) |
|---|---|
| フィルターやルーバー(羽根)の交換 | 8,000円 〜 15,000円 |
| ドレンホースの詰まり解消・交換 | 10,000円 〜 20,000円 |
| 冷媒ガスの補充・修理 | 15,000円 〜 40,000円 |
| 室内機の電子基板の交換 | 25,000円 〜 45,000円 |
| コンプレッサー(圧縮機)の交換 | 50,000円 〜 100,000円以上 |
特に「ガス補充」や「基板交換」以上になると高額です。使用年数が7〜8年を超えてこれらの修理が必要になった場合は、買い替えを検討する良い機会と言えます。
エアコンを長持ちさせる5つのコツ
エアコンは高価な家電ですから、できるだけ長く使いたいですよね。日頃の簡単なメンテナンスで、エアコンの寿命を延ばすことができます。
1. フィルターをこまめに掃除する
最も重要で簡単なメンテナンスです。2週間に1回程度を目安にフィルターのホコリを掃除機で吸い取りましょう。汚れがひどい場合は水洗いします。(※自動お掃除機能付きの場合は取扱説明書に従ってください)
フィルターが目詰まりすると、空気を吸い込む力が弱まり、冷暖房効率が低下します。結果、エアコンに余計な負荷がかかり寿命を縮める原因になります。
2. 室外機の周辺環境を整える
室外機は、部屋の熱を外に逃がす(または外の熱を取り込む)重要な役割を担っています。室外機の吹き出し口の前に物を置いたり、雑草が覆いかぶさったりしていると、熱交換の効率が著しく低下します。
室外機の周りは常に整理整頓し、風通しを良くしておきましょう。
3. 無理のない温度設定を心がける
夏場の極端な冷房設定や、冬場の極端な暖房設定は、コンプレッサーに常に高い負荷をかけることになり、寿命を縮める原因となります。
環境省は、夏の冷房時の室温を28℃、冬の暖房時の室温を20℃にすることを推奨しています。体に負担のない範囲で、無理のない温度設定を心がけましょう。
4. シーズンオフの適切な手入れ
冷房シーズンが終わった秋口などに、フィルター掃除に加えて、内部の乾燥運転(送風運転)を数時間行いましょう。冷房使用後は内部が湿っており、カビが繁殖しやすいためです。内部をしっかり乾燥させることが、カビやニオイの防止につながります。
5. 専門業者によるクリーニング
フィルターより奥にある熱交換器(フィン)や送風ファンの汚れは、自分では掃除できません。2〜3年に1回程度は専門業者による内部クリーニングを依頼すると、カビやホコリが一掃され、効率の良い運転が維持できます。(※喫煙される方やペットを飼っているご家庭は1〜2年に1回がおすすめです)

ご自身でエアコン内部に洗浄スプレーなどを使うのは、あまりおすすめしません。
内部の電子部品にかかって故障の原因になったり、洗い流しきれなかった洗剤がカビの栄養源になったりすることがあるためです。内部洗浄はプロに任せるのが安心ですよ。
買い替えのおすすめ時期はいつ?
どうせ買い替えるなら、お得な時期に購入したいもの。エアコンの買い替えに最適なシーズンをご紹介します。
本体が安い「モデルチェンジ期」
エアコンの買い替え時期として最もおすすめなのが、新モデルが発売される直前の「型落ち」狙いです。
多くのメーカーが秋〜冬(10月〜2月頃)に新しいモデルを発売します。そのため、その直前である夏(7〜8月)や冬(11〜12月)は、旧モデルの在庫処分セールが行われ、安く購入できるチャンスです。
工事が空いている「オフシーズン」
エアコンの購入・設置工事が最も混み合うのは、言うまでもなく真夏(7〜8月)です。この時期は工事費が高めに設定されているうえ、予約が殺到し、購入から設置まで2〜3週間待たされることも。
比較的工事が空いている春(4〜5月)や秋(9〜10月)は、工事日程の融通が利きやすく、落ち着いて買い替えができます。
結論:壊れる前の計画的な買い替えが最強
最も避けたいのは、真夏や真冬にエアコンが突然壊れることです。 価格交渉もできず、工事も待たされ、暑い(寒い)部屋で何週間も過ごすことになりかねません。
「効きが悪いな」「もう10年使ったな」と感じたら、本格的なシーズンに入る前の「春」や「秋」に、計画的に買い替えるのが最も賢く、快適な選択です。
よくある質問(Q&A)
最後に、エアコンの寿命に関してよく寄せられる質問にお答えします。
賃貸のエアコンが壊れたら?
賃貸物件に最初から設置されていたエアコン(備え付け)が故障した場合、その修理や交換の費用は大家さん(貸主)が負担するのが一般的です。(経年劣化の場合)
自分で業者を呼ぶ前に、必ず大家さんや管理会社に連絡して指示を仰ぎましょう。
※自分(借主)が入居時に設置したエアコンの場合は、自己負担となります。
24時間つけっぱなしは寿命に影響する?
エアコンは、電源を入れた直後(室温を設定温度に近づけるまで)に最も電力を消費し、負荷がかかります。
そのため、30分〜1時間程度の外出であれば消さない方が経済的であり、頻繁なオン・オフを繰り返すよりも、つけっぱなしの方が機器への負荷は少ないと言われています。
ただし、つけっぱなしは総運転時間が長くなるため、その分、部品の劣化は早まる可能性があります。一概にどちらが寿命に良いとは言えませんが、頻繁すぎるオン・オフは避けた方が賢明です。
エアコンを使わない時期の注意点は?
長期間使わない場合は、シーズン終わりにフィルター掃除と内部乾燥運転を行った後、コンセントを抜いておくことをおすすめします。待機電力を節約できるだけでなく、落雷などによる故障リスク(サージ電流)を避けることができます。
また、室外機のドレンホースの先端に防虫キャップなどを付けておくと、虫が侵入してホースが詰まるのを防げます。
まとめ:エアコンの寿命は10年!サインを見逃さず計画的に
いかがでしたか?エアコンが何年持つのか、その寿命について網羅的に解説しました。
【記事の重要ポイント】
- エアコンの寿命目安は「10年」(設計上の標準使用期間や部品保有期間が根拠)
- 実際の平均使用年数は約13.6年だが、10年超えは修理不可のリスク増
- メーカーによる寿命の大きな差はなく、使い方とメンテナンスが重要
- 「効きが悪い」「異音・異臭」「水漏れ」「電気代の高騰」は買い替えのサイン
- 寿命を延ばすには「フィルター掃除」と「室外機の環境整備」が最重要
- 10年以上使用しているエアコンが故障したら、修理より買い替えが断然お得
エアコンは、壊れてからでは遅い家電です。特に真夏や真冬に故障すると、快適に過ごせないだけでなく、熱中症などの健康被害にもつながりかねません。
ぜひこの機会に、ご自宅のエアコンの「製造年」や「状態」をチェックしてみてください。そして、寿命のサインが見られたり、10年近く使用していたりする場合は、本格的なシーズンが来る前に、計画的な買い替えを検討しましょう。
