「パナソニックのホームベーカリーで、健康のために無塩パンを焼いているけど、なぜか上手く膨らまない…」
塩分制限があって無塩パンに挑戦しているのに、理想の「軽くてふわふわ、耳が薄いパン」にならないと、がっかりしてしまいますよね。
ご安心ください!そのお悩み、この記事で解決できます。
実は、無塩パンが膨らまないのには明確な理由があります。そして、その原因さえ分かれば、パナソニックのホームベーカリーが持つ高性能な機能を最大限に活かし、誰でも美味しい無塩パンを焼くことが可能です。
この記事では、家電の専門家である私たちが、以下の内容を徹底解説します。
- 無塩パンが膨らまない5つの科学的な原因
- 塩がパン作りで果たす驚きの役割
- パナソニック製ホームベーカリーのための「無塩食パン黄金比率レシピ」
- 材料選びから焼き上がりのケアまで、プロが教えるコツのすべて
- 無塩でも飽きさせない、絶品アレンジレシピ
この記事を最後まで読めば、あなたはもう無塩パン作りで失敗しません。今日から、お店で売っているような、ふわふわで美味しい無塩パンをご家庭で楽しめるようになります。さあ、一緒に無塩パン作りの悩みを解決し、最高のパンを焼き上げましょう!
【悩み解決】パナソニック製ホームベーカリーで無塩パンが膨らまない!5つの原因
早速ですが、なぜパナソニックのホームベーカリーを使っても無塩パンが膨らみにくいのでしょうか。その原因は、機械の故障ではなく、「塩を抜いたこと」による生地の変化にあります。ここでは、ありがちな失敗例とその原因を5つのポイントに絞って詳しく解説します。

相談が寄せられた「強力粉250g、三温糖15g、オリーブオイル40g、牛乳170cc、ドライイースト3g」を例に見ていきましょう。このレシピには、膨らまなくなる原因がいくつか隠れているんですよ。
原因1:油脂の種類と量が不適切だった
ご相談者様のレシピでは「オリーブオイル40g」を使用しています。オリーブオイルは風味豊かで健康的な油ですが、パン作り、特に無塩パンにおいては注意が必要です。
液状のオイル(オリーブオイル、サラダ油など)は、パン生地の骨格となるグルテンの膜を壊しやすく、生地の伸びを阻害してしまう性質があります。その結果、パンがうまく膨らまず、小さく焼き上がってしまうのです。特に無塩パンは後述する理由でグルテンが弱くなりがちなので、この影響をより強く受けてしまいます。
【解決策】
パン作りには、バターやショートニングなどの「固形油脂」を使うのがおすすめです。固形油脂はグルテンの膜をコーティングするように広がり、生地の伸展性を助け、きめ細かく柔らかなパンに仕上げてくれます。もし無塩バターが手に入らない場合は、トランスファットフリーのショートニングなどを検討するのも良いでしょう。量も強力粉250gに対して15g~20g程度が一般的で、40gは少し多すぎる可能性があります。
原因2:水分量が不足している
レシピでは「牛乳170cc」を使用しています。ここで重要なのは、牛乳と水は同じ水分量として扱えないという点です。牛乳には乳固形分(タンパク質や脂肪など)が含まれているため、実際の水分量は少なくなります。
一般的に、牛乳の水分量は約88~90%と言われています。つまり、牛乳170ccは、水に換算すると約150g~153g程度にしかなりません。データベースの専門家の回答にもある通り、パナソニックのホームベーカリーは強力粉に対して約72%の水分量(ベーカーズパーセント)を標準として設計されていることが多いです。
強力粉250gに対して72%の水分量は「250g × 0.72 = 180g」です。現在のレシピでは約30gも水分が不足している計算になり、これが生地を硬くし、膨らみを悪くする大きな原因となっています。
原因3:牛乳の使いすぎで生地がダレている
水分不足とは逆に、牛乳に含まれる成分がグルテンに影響を与えることもあります。牛乳に含まれる乳タンパク質は、グルテンの形成をやや弱める働きがあります。また、焼き色を濃くし、耳を硬くする傾向もあります。
「軽くてふわっと、耳が薄いパン」を目指す場合、牛乳の全量を水に置き換えたり、量を減らしたりする(例:牛乳80g+水100g)ことで、より軽やかな食感に近づけることができます。
原因4:塩がないためグルテンが弱くなっている
これが無塩パン作りの最も根本的で難しい点です。塩には、パン生地の「グルテン」を引き締める重要な役割があります。グルテンとは、強力粉に水を加えてこねることでできる、網目状の弾力ある組織のこと。このグルテンがイーストの出す炭酸ガスをしっかり抱え込むことで、パンはふっくらと膨らみます。
塩がないと、このグルテンの網目が緩んでしまい、生地がベタベタとだらしなくなり、ガスを保持する力が弱まります。結果として、キメが粗く、高さの出ないパンになってしまうのです。この点については、次の章でさらに詳しく解説します。
原因5:過発酵になっている
塩には、イーストの活動を穏やかにコントロールする働きもあります。塩がないと、イーストが活発になりすぎてしまい、生地の力がピークに達する前にガスを出し切ってしまいます。これを「過発酵」と呼びます。
過発酵になった生地は、焼き上げの段階でさらに膨らむ力(オーブン・スプリング)がなく、逆にしぼんでしまうことがあります。また、アルコール臭が強くなることも特徴です。ご相談者様のレシピではドライイーストが3gと標準的ですが、塩がないことで発酵が進みすぎている可能性が考えられます。
塩がパン作りで果たす4つの重要な役割とは?
前の章で、無塩パンが膨らまない原因の多くは「塩を抜いたこと」にあると解説しました。では、なぜたった数グラムの塩が、パンの出来栄えにこれほど大きな影響を与えるのでしょうか。ここでは、パン作りにおける塩の4つの重要な役割を、科学的な視点から詳しく解説します。この仕組みを理解することが、美味しい無塩パン作りへの一番の近道です。
役割1:グルテンを強化し、生地を引き締める
パンの骨格を作る「グルテン」。これは、小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンという2つのタンパク質が、水を吸収して絡み合うことで生まれます。
- グルテニン:弾力が強く、生地にコシを与える。
- グリアジン:粘性が強く、生地に伸びを与える。
塩(塩化ナトリウム)は、水に溶けるとナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl-)に分かれます。このイオンがタンパク質の周りに集まり、タンパク質同士の結びつきを強くする働きをします。これにより、グルテンの網目構造が強化され、生地にハリとコシが生まれるのです。
塩が入っていない生地は、この引き締め効果が得られないため、グルテンが緩んでベタつきやすくなります。ベタついた生地は扱いにくいだけでなく、次の「ガス保持力」も弱まってしまいます。
役割2:ガス保持力を高め、ふっくら膨らませる
強化されたグルテンは、まるで風船のように、イーストが生み出す炭酸ガスをしっかりと閉じ込めることができます。これを「ガス保持力」と呼びます。
塩によって引き締められた丈夫なグルテン膜は、たくさんのガスを抱え込んでも破れにくいため、生地は上へ上へと大きく膨らむことができます。焼き上がったパンの断面に見える、きめ細かな気泡は、このガス保持力が高い証拠です。
一方、塩のない生地はグルテン膜が弱いため、発生したガスがすぐに抜けてしまいます。そのため、気泡が大きく不均一になったり、そもそも高さが出なかったりするのです。「目が詰まったパン」になるのは、このガス保持力の低さが大きな原因です。
役割3:発酵をコントロールし、味と香りを深める
イーストは糖を分解して、炭酸ガスとアルコールを生成することで生地を発酵させます。塩には浸透圧によってイースト菌の細胞から水分を奪い、その活動を穏やかにする働きがあります。
もし塩がないと、イーストは必要以上に活発化し、一気に発酵が進んでしまいます(過発酵)。過発酵になると、生地が持つ風味やうま味成分が十分に生成される前にガスを出し切ってしまい、味気なく、アルコール臭の強いパンになってしまいます。
塩は、発酵のペースを適切にコントロールする「指揮者」のような役割を担い、小麦本来の甘みやうま味を引き出し、パンに豊かな風味を与えてくれるのです。
役割4:雑菌の繁殖を抑え、生地を安定させる
塩には、食品の腐敗を防ぐ効果があることはよく知られていますよね。パン生地においても同様で、塩は雑菌の繁殖を抑え、生地を衛生的に保つ役割を果たします。
特に夏場など気温が高い時期は、雑菌が繁殖しやすく、生地が傷んでしまうことがあります。塩を入れることで、生地の安定性が高まり、最後まで安心してパン作りを進めることができます。
このように、塩は単に味付けのためだけでなく、パンの構造、風味、安定性を司る非常に重要な役割を担っているのです。だからこそ、無塩パン作りでは、塩が担っていたこれらの役割を、他の材料や作り方の工夫で補ってあげる必要があるわけですね。
【基本レシピ】パナソニックで成功!無塩食パンの黄金比率
お待たせしました!ここからは、これまでの原因と対策を踏まえた上で、パナソニックのホームベーカリーで美味しく焼ける「無塩食パン」の基本レシピをご紹介します。塩の役割を他の材料で補い、理想のふわふわ食感を目指しましょう。

このレシピのポイントは「水分量」「油脂の種類」「砂糖の量」です。失敗レシピと乃が美監修レシピの良いところを取り入れ、無塩パン用に最適化しました!
無塩ふわふわ食パン(1斤分)
材料 | 分量 | ポイント |
---|---|---|
強力粉 | 250g | カメリアやイーグルなど、一般的なものでOK。 |
砂糖(三温糖や上白糖) | 20g | 少し多めにして保湿効果と風味をアップ。イーストの栄養にも。 |
無塩バター | 15g | 必ず固形油脂を使用。室温に戻しておく。 |
スキムミルク | 6g (大さじ1) | 風味と焼き色を良くし、生地を安定させます。 |
水 | 180g (180ml) | パナソニック標準の水分率72%に設定。夏場は5℃の冷水を使う。 |
ドライイースト | 2.8g | 過発酵を防ぐため、標準的な量(3g)より少しだけ減らす。 |
作り方の手順とポイント
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- パン羽根をセットする
パンケースに、パンの羽根をしっかりと取り付けます。 - 材料を入れる(イースト以外)
最初に強力粉を入れ、中央にくぼみを作ります。くぼみに砂糖、スキムミルク、室温に戻した無塩バターを入れます。粉の周りに水を静かに回し入れます。
- パン羽根をセットする
-
- パンケースを本体にセットし、イーストを投入
パンケースをホームベーカリー本体にセットします。パナソニックの機種の多くはイースト自動投入機能が付いていますので、イースト容器にドライイーストを正確に計って入れます。 - コースを選んでスタート!
ここが最も重要なポイントです。選ぶべきコースは「パン・ド・ミ」コースです。なぜ「パン・ド・ミ」コースなのか?
パン・ド・ミは、皮(クラスト)が薄く、中身(クラム)のしっとり感を味わうパンです。その製法は、低温でじっくり長時間発酵させるのが特徴。この製法が、グルテンが弱くデリケートな無塩パン生地と非常に相性が良いのです。- 低温長時間発酵:生地への負担が少なく、ゆっくりと熟成させることで、小麦のうま味と風味を引き出します。
- 優しいねり:グルテンを過度に傷つけず、きめ細かな生地を作ります。
メニューで「パン・ド・ミ」を選び、焼き色は「淡」に設定します。準備ができたらスタートボタンを押してください。
- 焼きあがったらすぐに取り出す
ピッピッと音が鳴ったら、すぐに「取消」ボタンを押してパンケースを取り出します。火傷に注意しながら、2分ほど置いてからパンケースを逆さにしてパンを取り出しましょう。網の上で粗熱を取ります。
- パンケースを本体にセットし、イーストを投入
材料選びの極意!無塩パンを美味しくする5つのポイント
基本のレシピがわかったところで、次は材料一つ一つにこだわってみませんか?材料の選び方やちょっとした知識が、無塩パンの味を格段にレベルアップさせます。ここでは、より美味しく、理想のパンに近づけるための5つのポイントを深掘りして解説します。
ポイント1:強力粉は「タンパク質量」で選ぶ
パンの骨格となるグルテンは、小麦粉のタンパク質から作られます。つまり、タンパク質の量が多いほど、力強くよく膨らむパンになります。
- カメリア(タンパク質約12.0%):最も標準的で扱いやすい粉。ふんわりとバランスの取れた食感になります。まずはこの粉で試すのがおすすめです。
- ゴールデンヨット(タンパク質約13.5%):非常にタンパク質量が多く、窯伸び(焼成中に膨らむ力)が強いのが特徴です。高さのある、もっちりとしたパンに仕上がります。無塩パンで膨らみに悩む場合は、この粉を試す価値ありです。
- はるゆたかブレンド(タンパク質約12.5%):国産小麦の代表格。豊かな風味と、しっとり・もっちりとした食感が人気です。少し扱いにくい面もありますが、味は格別です。
無塩パンはグルテンが弱くなりがちなので、最初は「カメリア」で基本を押さえ、慣れてきたら「ゴールデンヨット」のようなタンパク質の多い粉を使ってみると、驚くほどボリュームが出るかもしれません。
ポイント2:油脂は「無塩バター」がベスト!風味と食感を両立
原因の章でも触れましたが、油脂は「固形」のものを選びましょう。その中でも特におすすめなのが「無塩バター」です。
- 無塩バター:豊かな乳風味とコクを与え、パンの味を格上げしてくれます。また、生地の伸展性を助け、しっとりとした食感と老化を防ぐ効果(パサつきにくくする)があります。
- ショートニング:バターのような風味はありませんが、パンをサクッと軽く仕上げる効果(ショートネス性)に優れています。より軽やかな食感を求める場合におすすめです。トランスファットフリーのものを選ぶと良いでしょう。
- オリーブオイルなど液状油:もし風味付けで使いたい場合は、全体の油脂の1/4程度を置き換える程度に留めましょう。入れすぎは膨らみを阻害します。
ポイント3:砂糖は「保湿効果」と「風味」で選ぶ
砂糖は単に甘みを加えるだけでなく、イーストの栄養源となり、パンの保湿効果を高めてしっとりさせる重要な役割があります。
- 上白糖:しっとりとした焼き上がりになります。日本で最も一般的な砂糖です。
- 三温糖:カラメル化した独特のコクと風味があり、焼き色も濃くつきます。乃が美のレシピでも使用されていますね。
- はちみつ・水あめ:保湿効果が非常に高く、しっとり感が長持ちします。砂糖の一部を置き換えて使うのがおすすめです。(※1歳未満の乳児にはちみつは与えないでください)
無塩パンは味が淡白になりがちなので、三温糖やはちみつなど、風味の強い甘味料を使うと、味に深みが出て美味しくなります。
ポイント4:水分は「硬度」を意識すると変わる
パン作りに使う水は「軟水」が適しているとされています。日本の水道水はほとんどが軟水なので、そのままで問題ありません。ミネラルウォーターを使う場合は、硬度の低い軟水を選びましょう。
硬水(ミネラル分が多い水)を使うと、ミネラルがグルテンを過度に引き締めてしまい、生地が硬く、膨らみにくいパンになることがあります。
また、前の章で解説した通り、夏場は5℃程度の冷水を使うのが鉄則です。ホームベーカリーはこねる際にモーターの熱で生地の温度が上がりやすいため、仕込み水の温度を低くすることで、発酵の暴走を防ぎます。
ポイント5:「スキムミルク」は縁の下の力持ち
スキムミルク(脱脂粉乳)は、少量加えるだけでパンの品質を向上させる優れた材料です。
- 風味とコクの向上:ほのかな乳風味を加えます。
- 焼き色の改善:乳糖が美しい焼き色をつけます。
- 生地の安定化:生地の保水性を高め、老化を遅らせます。
- 栄養価アップ:カルシウムなどの栄養を補給できます。
牛乳の代わりに水とスキムミルクを使うことで、水分量を正確にコントロールしつつ、乳製品のメリットを享受できます。無塩パン作りにはぜひ取り入れたい材料の一つです。
パナソニックの機能を使いこなす!無塩パン成功テクニック
パナソニックのホームベーカリーは、ただ材料を入れてボタンを押すだけでなく、その高性能な機能を理解して使いこなすことで、パン作りはさらにレベルアップします。特にデリケートな無塩パン作りにおいては、機種の特性を活かすことが成功への大きな鍵となります。

「ビストロ SD-MDX4」などの最新機種には、プロ級のパンを焼くための素晴らしい機能が満載です。これらの機能を無塩パン作りに応用してみましょう!
テクニック1:「3D匠ねり」で理想のグルテン膜を作る
パナソニックの上位機種に搭載されている「3D匠ねり」は、プロのパン職人の手ごねを再現した技術です。パンケースの突起(リブ)と独自の羽根形状で、生地を「たたく」「伸ばす」動きを立体的に行います。これにより、グルテンがしっかりと、しかし過度に傷つくことなく形成されます。
【無塩パンへの応用】
塩がなくてグルテンが作られにくい無塩パン生地にとって、この効率的で力強い「ねり」は非常に有効です。手ごねでは難しい、均一で強いグルテン膜を機械が自動で作ってくれるため、失敗のリスクが大幅に減少します。特別な操作は不要で、コースを選択すれば自動で最適な「ねり」を行ってくれます。
テクニック2:「Wセンシング発酵」で季節を問わず安定
パン作りは、室温や湿度に大きく影響されます。「Wセンシング発酵」は、「室温センサー」と「庫内温度センサー」の2つで環境を検知し、ねりあがった生地の温度に合わせて発酵時間を自動で調整してくれる画期的な機能です。
【無塩パンへの応用】
塩による発酵コントロールが効かない無塩パンは、特に温度管理が重要になります。夏は発酵しすぎ、冬は発酵不足になりがちです。しかし、「Wセンシング発酵」があれば、機械が自動で最適な発酵状態を見極めてくれるため、一年中安定してふっくらとしたパンを焼くことができます。これは、無塩パン作りにおける大きなアドバンテージと言えるでしょう。
テクニック3:コースを使い分ける!「パン・ド・ミ」と「リッチ パン・ド・ミ」
基本レシピでは「パン・ド・ミ」コースをおすすめしましたが、パナソニックのホームベーカリーには他にも魅力的なコースがあります。
- パン・ド・ミコース:皮はパリッと薄く、中はしっとりソフト。無塩パンの基本に最適。
- リッチ パン・ド・ミコース:乃が美監修「おうち乃が美」で使われるコース。バターや生クリームなど副材料が多めのリッチな生地に適しています。低温でじっくり焼き上げ、よりきめ細かく、口どけの良い食感になります。
- ソフト食パンコース:こちらも比較的耳が柔らかく、ふんわりとした食感に焼き上がります。「パン・ド・ミ」コースがない機種の場合は、こちらを試してみるのがおすすめです。
無塩パンに慣れてきて、バターや砂糖を多めにしたリッチな配合で作る場合は、「リッチ パン・ド・ミ」コースを選ぶと、さらに口どけの良いパンに仕上がります。
テクニック4:上級者向け「マニュアル機能」で無塩パンを極める
「ビストロ SD-MDX4」などには、「ねり」「発酵」「焼き」の各工程を自分で細かく設定できる「マニュアル機能」が搭載されています。
【無塩パンへの応用】
例えば、「グルテンが弱いから、ねりの時間を少し長めに設定しよう」「過発酵が心配だから、一次発酵の時間を少し短めにしてみよう」といった調整が可能になります。自分のレシピやその日の環境に合わせて最適なプログラムを組むことで、まさに”自分だけの最高の無塩パン”を追求することができます。これはパン作り上級者にとって、非常に魅力的な機能です。
【アレンジ無限大】無塩でも美味しい!アレンジレシピ5選
基本の無塩食パンが上手に焼けるようになったら、次はアレンジに挑戦してみませんか?無塩パンは味がシンプルだからこそ、様々な食材との相性が抜群です。ここでは、塩気がなくても満足感があり、毎日食べても飽きない美味しいアレンジレシピを5つご紹介します。
アレンジ1:ハーブ&ブラックペッパーで大人の風味
ハーブの香りとブラックペッパーのスパイシーさが、塩味の代わりに見事なアクセントになります。お食事系のパンとして、スープやシチューとの相性も抜群です。
- 追加材料:お好みのドライハーブ(ローズマリー、オレガノ、バジルなど)小さじ1、粗挽きブラックペッパー 小さじ1/2
- 作り方:基本レシピの材料と一緒に、最初からパンケースに投入するだけ。具材自動投入機能がある機種なら、そちらを利用するとハーブの香りがより引き立ちます。
アレンジ2:くるみ&レーズンで自然な甘みと食感
パンの定番アレンジ。くるみの香ばしさとレーズンの凝縮された甘みが、無塩パンの素朴な味わいによく合います。食感のアクセントも楽しめます。
- 追加材料:ローストくるみ 30g、レーズン 30g
- 作り方:具材自動投入機能を使ってください。ない場合は、ねりが終わった後のブザーが鳴るタイミングで手動で投入します。レーズンはぬるま湯で軽く戻し、キッチンペーパーで水気をしっかり拭いておくと生地が水っぽくなりません。

「おうち乃が美アレンジレシピ」のアイデアも参考になりますね!和風の「ほうじ茶&黒豆」や、爽やかな「レモン&オレンジピール」なども、無塩パンに応用できそうです。
アレンジ3:チーズ&コーンでやみつきの味
チーズには塩分が含まれますが、減塩タイプのチーズを選んだり、量を調整したりすることで楽しめます。コーンの甘みとチーズのコクは、お子様にも大人気の組み合わせです。
- 追加材料:プロセスチーズ(1cm角にカット)40g、ホールコーン(水気を切る)40g
- 作り方:具材自動投入機能で投入します。チーズが溶けてパン全体に広がり、風味豊かになります。
アレンジ4:ココア&チョコチップで贅沢おやつパン
甘いものが食べたくなったらこちら。ココアのほろ苦さとチョコチップの甘さが、デザートのような満足感を与えてくれます。
- 追加材料:純ココアパウダー 10g、チョコチップ 40g
- 作り方:ココアパウダーは強力粉と一緒にふるってからパンケースに入れます。チョコチップは具材自動投入で。焼き立ては中のチョコがとろりとして絶品です。
アレンジ5:全粒粉をプラスして香ばしくヘルシーに
全粒粉は、小麦を丸ごと粉にしたもので、食物繊維やミネラルが豊富です。独特の香ばしい風味と、ぷちぷちとした食感が楽しめます。
- 材料の変更:強力粉250gのうち、50gを全粒粉に置き換える。(強力粉200g + 全粒粉50g)
- 作り方:基本のレシピ通りでOK。全粒粉は水を吸いやすいので、生地が硬いようであれば水を5g~10g追加してみてください。パナソニックのホームベーカリーには「全粒粉パン」コースがあるので、そちらを使うとより美味しく焼き上がります。
焼き上がり後のひと工夫!ふわふわを長持ちさせる保存方法
せっかく上手に焼けた無塩パン。できるだけ長く、美味しい状態で楽しみたいですよね。焼き上がった後のちょっとした工夫で、パンの美味しさは格段に長持ちします。ここでは、ふわふわ食感をキープするための正しい冷まし方と保存方法をご紹介します。
ステップ1:焼き立てはすぐに型から出す
焼き上がりのブザーが鳴ったら、すぐにパンケースを本体から取り出しましょう。パンケースに入れたままにしておくと、パンから出る蒸気(水蒸気)がパンの底や側面にこもってしまい、ベチャッとした食感の原因になります。
ミトンなどを使って火傷に注意しながらパンケースを取り出し、2分ほど置いてから、数回軽く振ってパンを取り出します。なかなか出てこない場合は、パンケースの底の軸を少し回すと取れやすくなります。
ステップ2:網の上で正しく冷ます
取り出したパンは、必ずケーキクーラーなどの「網」の上で冷ましてください。お皿の上などに直接置くと、底面に蒸気がこもってしまいます。網の上で、四方から空気が通るようにして、パン内部の熱と蒸気を穏やかに逃がしてあげることがポイントです。
ステップ3:完全に冷めてからカットする
焼き立てのパンは、中がまだ柔らかく不安定な状態です。この段階でカットしようとすると、パンが潰れてしまい、せっかくの気泡が台無しになってしまいます。必ず、パンが完全に冷めてからスライスしましょう。
パン切りナイフ(ブレッドナイフ)を使い、力を入れずに前後に大きく動かすようにして切るのがコツです。
ステップ4:最適な方法で保存する
パンは乾燥とデンプンの劣化(老化)によってパサパサになっていきます。保存方法によって、美味しさを保てる期間が大きく変わります。
常温保存(1〜2日)
翌日くらいまでに食べ切る場合は、常温保存が可能です。スライスしたパンを一枚ずつラップで包むか、パン専用の保存袋、またはポリ袋に入れて、直射日光の当たらない涼しい場所で保存します。これにより、乾燥を防ぎます。
冷凍保存(2週間〜1ヶ月)
すぐに食べきれない場合は、焼き上がったその日のうちに冷凍保存するのが最もおすすめです。美味しい状態を長期間キープできます。
- お好みの厚さにスライスします。
- 一枚ずつ、空気が入らないようにぴったりとラップで包みます。
- さらに、ジッパー付きの冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫へ。
この二重の包装が、冷凍庫内の乾燥や臭い移りを防ぐポイントです。
【美味しい解凍方法】
冷凍したパンは、解凍せずに凍ったままトースターで焼くのが一番美味しくいただけます。庫内を予熱したトースターで焼くと、外はカリッと、中は水分が保たれてふっくらと仕上がります。
【徹底比較】パナソニックの人気ホームベーカリー機種と特徴
ここまでパナソニックのホームベーカリーを使った無塩パン作りを解説してきましたが、「これから購入したい」「買い替えを検討している」という方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、パナソニックの人気ホームベーカリーの代表的な機種とその特徴をご紹介します。ご自身のライフスタイルに合った一台を見つける参考にしてください。
ハイエンドモデル:ビストロ SD-MDX4
この記事でも度々登場した、パナソニックの最上位モデルです。パン作りのあらゆるニーズに応える多機能性が魅力です。
- 主な特徴:
- 3D匠ねり&Wセンシング発酵:プロの技を再現し、一年中安定したパン作りを実現。
- 43種のオートメニュー:「おうち乃が美」をはじめ、低糖質パンや全粒粉パン、ブリオッシュなど多彩なパンが焼ける。
- マニュアル機能:ねり・発酵・焼きを個別に設定でき、こだわりのパン作りが可能。
- 豊富なパン以外のメニュー:もち、うどん、パスタ、甘酒、生チョコなども作れる。
- こんな人におすすめ:
- パン作りにこだわりたい、あらゆるパンに挑戦したい方
- 最新・最高の機能で、失敗なく美味しいパンを焼きたい方
- パン以外の調理にも活用して、レパートリーを広げたい方
無塩パン作りにおいても、その高性能なねりと発酵管理機能、そして「パン・ド・ミ」コースやマニュアル機能が大きな強みとなります。
スタンダードモデル:SD-MT4
基本的な性能はしっかり押さえつつ、機能を絞って使いやすさと価格のバランスを両立させたモデルです。
- 主な特徴:
- パン・ド・ミメニュー搭載:上位モデル同様、本格的なパン・ド・ミが焼けます。
- 40種のオートメニュー:人気のメニューはしっかり網羅。
- イースト自動投入:パナソニックならではの便利な機能も搭載。
- こんな人におすすめ:
- 毎日美味しい食パンを手軽に楽しみたい方
- マニュアル機能までは不要だが、パン・ド・ミは焼きたい方
- コストパフォーマンスを重視する方
無塩パン作りに重要な「パン・ド・ミ」コースが搭載されているのが嬉しいポイント。初めてのホームベーカリーとしてもおすすめです。
コンパクトモデル:SD-SB4
設置場所に限りがある方や、シンプルな機能を求める方に最適なコンパクトタイプです。
- 主な特徴:
- コンパクトな設計:キッチンにすっきりと置けるサイズ感。
- 22種の厳選メニュー:食パン、早焼き、全粒粉、米粉パンなど、基本的なメニューに絞り込まれている。
- イースト自動投入&室温センサー:コンパクトながら、安定したパン作りのための基本機能は搭載。
- こんな人におすすめ:
- 置き場所が限られている、一人暮らしや少人数のご家庭
- 複雑な機能は不要で、とにかくシンプルな操作で食パンを焼きたい方
※こちらのモデルには「パン・ド・ミ」コースは搭載されていないため、無塩パンを焼く際は「ソフト食パン」コースや標準の「食パン」コース(焼き色淡)で試してみてください。

どの機種を選ぶにしても、パナソニックのホームベーカリーは「イースト自動投入」と「温度管理機能」が優れているので、安定したパン作りが期待できます。無塩パン作りの強い味方になってくれますよ。
【Q&A】無塩パン作りのよくある質問と回答
記事の最後に、無塩パン作りで皆さんが疑問に思いがちな点をQ&A形式でまとめました。これまでの内容と合わせて、ぜひ参考にしてください。
A1. パンの上がへこんでしまう主な原因は、「過発酵」または「水分過多」の2つが考えられます。
- 過発酵の場合:イーストの力が強すぎたり、発酵時間が長すぎたりして、生地が焼き上げの段階で膨らむ力を失ってしまった状態です。対策として、ドライイーストの量を0.1g~0.2g減らしてみる、または仕込み水の温度をさらに低いもの(氷を1〜2個入れるなど)にしてみてください。
- 水分過多の場合:水分が多すぎると、生地がグルテンの骨格を支えきれずに潰れてしまいます。特に湿度の高い梅雨の時期などは、強力粉が湿気を吸って水分が多い状態になっていることがあります。レシピの水を5g~10g減らして様子を見てください。
A2. 無塩パンは味がシンプルな分、何かを「つけて食べる」「乗せて食べる」のに最適です。
- 甘い系:無塩バターとジャムやはちみつ、ピーナッツバターなど。フルーツを乗せるのもおすすめです。
- しょっぱい系:アボカドとブラックペッパー、オリーブオイルとトマト、無塩のチーズやハムなど。ハーブソルト(塩分控えめ)を少し振るだけでも風味が格段にアップします。
- スープと一緒に:シチューやクラムチャウダー、ミネストローネなどに浸して食べると、スープの塩気とパンの小麦の甘みがマッチして非常に美味しくいただけます。
パン自体に風味をつけたい場合は、アレンジレシピの章で紹介したように、ハーブやスパイス、ナッツなどを混ぜ込むのが効果的です。
A3. はい、作ることは可能です。ただし、米粉パンは小麦のグルテンに頼らず、米粉自体のデンプンで膨らませるため、塩を抜くことによる生地のダレは小麦パンより少ない傾向にあります。パナソニックのホームベーカリーには「米粉パン(グルテンフリー)」コースがありますので、専用のミックス粉のレシピから塩を抜いて試してみてください。ただし、塩がない分、味が非常に淡白になるため、砂糖の量を少し増やしたり、米油などを加えてコクを出すと美味しく仕上がります。
A4. 焼けます。パナソニックのホームベーカリーには「天然酵母パン」コースが搭載されています。天然酵母はドライイーストに比べて発酵力が穏やかなので、過発酵のリスクは少なくなります。ただし、発酵に時間がかかる分、雑菌が繁殖するリスクも少し高まります。衛生管理に気をつけ、まずは基本のレシピで試してみてください。天然酵母特有の深い味わいが、無塩パンの風味を豊かにしてくれますよ。
まとめ:今日から始める!パナソニックで美味しい無塩パン生活
今回は、パナソニックのホームベーカリーで無塩パンが膨らまない原因と、その解決策について徹底的に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
最後に、この記事の重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 失敗の主な原因:無塩パンが膨らまないのは、「油脂」「水分量」「グルテンの弱化」「過発酵」が原因。
- 塩の重要な役割:塩は味付けだけでなく、グルテンを強化し、発酵をコントロールするというパン作りの心臓部を担っている。
- 成功への黄金比率:油脂は「無塩バター」を、水分は粉に対して「72%」を目安に。砂糖を少し多めにすると味が安定する。
- パナソニックを使いこなす:コース選びは「パン・ド・ミ」が最適。低温長時間発酵がデリケートな無塩生地と相性抜群。
- 焼き上がり後も大切:正しく冷まし、すぐに食べない分は冷凍保存することで、美味しさが長持ちする。
無塩パン作りは、塩の役割を理解し、それを他の材料や作り方で補ってあげる「科学」のようなものです。最初は難しく感じるかもしれませんが、この記事でご紹介したレシピとコツを実践すれば、きっとあなたのパナソニック製ホームベーカリーは、最高の無塩パンを焼き上げてくれるはずです。
重くて固いパンから卒業し、今日からはふわふわで美味しい無塩パンで、健康的で豊かな食生活を楽しんでください。あなたのパン作りが成功することを心から応援しています!
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