「ホームベーカリーのレシピにあるスキムミルク。これって、なぜ入れるの?」「うっかり切らしてしまったけれど、なしでも焼ける?」
パン作りを楽しもうとした矢先、材料不足に気づくと焦りますよね。実は、スキムミルクは「牛乳」などで完璧に代用できますし、条件次第では「なし」でもパンは焼けます。
この記事では、スキムミルクが必要な「3つの理由」といった基礎知識から、今すぐ使える代用品5選と、失敗しない水分量の計算(早見表付き)までを網羅的に解説します。
これを読めば、わざわざ買いに行かなくても、今ある材料ですぐに美味しいパン作りを再開できますよ。
💡 忙しい人のための3秒結論
- なしでも焼ける?
→ 焼けます。ただし、風味はあっさりし、焼き色は薄くなります - 一番おすすめの代用品は?
→ 「牛乳」です。味も見た目もスキムミルクありに一番近くなります - 牛乳で代用する時のコツは?
→ 「牛乳の分量だけ、水を減らす」こと。これが絶対ルールです
※2025年12月13日 記事の内容を最新の情報に更新しました。
ホームベーカリーでスキムミルクはなぜ必要?3つの役割
そもそも、なぜホームベーカリーのレシピには必ずと言っていいほどスキムミルク(脱脂粉乳)が登場するのでしょうか。
「なんとなく入れている」という方も多いですが、実はパンの「味・見た目・食感」のすべてを底上げする重要な役割を担っています。
パンの風味とコクを豊かにする
最大の役割は、パンにミルキーな風味と深いコクを与えることです。
スキムミルクは牛乳から水分と脂肪分を除去し、旨味を凝縮させたものです。これを入れることで、水と粉だけのシンプルな味ではなく、お店で売っているようなリッチな味わいのパンに仕上がります。

きれいな焼き色をつける(メイラード反応)
食欲をそそるこんがりとした「キツネ色」。この美しい焼き色を作るのもスキムミルクの役割です。
スキムミルクに含まれる「乳糖」が、加熱されることで小麦粉のアミノ酸と反応し、香ばしい焼き色を生み出します。これを「メイラード反応」と呼びます。スキムミルクを入れないと、全体的に白っぽく、焼き色の薄いパンになりがちです。
生地の骨格を強くし、ふっくら仕上げる
スキムミルクに含まれるタンパク質(カゼイン)には、パンの骨格である「グルテン」を補強する働きがあります。
グルテンが強化されると、発酵ガスを逃さずしっかり抱え込めるようになります。その結果、パンが縦にしっかりと伸び(釜伸び)、キメの細かいふっくらとした形に焼き上がります。
スキムミルクなしで焼くとどうなる?
役割は理解できても、「今手元にない」「買いに行くのが面倒」という時もありますよね。スキムミルクなしで焼くと、パンはどうなるのでしょうか。
味・食感・見た目の変化
スキムミルクを入れずに焼いた場合、以下のような変化が起こります。
- 風味:ミルク感がなくなり、小麦粉本来の素朴な味になる
- 見た目:焼き色が薄く、全体的に白っぽくなる
- 食感:ふんわり感が減り、やや目が粗くなる
- 老化:翌日パサつきやすくなる
「シンプルパン」が好きなら「なし」もアリ
品質は多少変わりますが、パンとして焼けないわけではありません。
フランスパンのような、皮がパリッとして中があっさりしたパンが好みであれば、あえて「なし」で作るのも選択肢の一つです。ハムやチーズなど、味の濃い具材を挟むサンドイッチ用なら、むしろ「なし」の方が具材の味が引き立つこともあります。
牛乳で代用!失敗しない水分量(計算不要の早見表)
「スキムミルクはないけど、やっぱり美味しいパンが食べたい!」という方には、代用品を使うのがおすすめです。
最も手軽で、仕上がりもベストなのが牛乳です。スキムミルクの原料そのものですから、味も香りも申し分ありません。
ただし、牛乳は成分の約88%が水分です。レシピ通りの水を入れると生地がベチャベチャになり膨らまないため、水分の調整が必須です。
牛乳代用時の水分換算早見表
計算が面倒な方のために、一般的なホームベーカリー(1斤)の分量で、そのまま使える早見表を作成しました。
| 元のスキムミルク量 | 【代用】牛乳の量 | 【調整】減らす水の量 |
|---|---|---|
| 大さじ1(約6g) | 70ml | レシピの水から -70ml |
| 大さじ2(約12g) | 130ml | レシピの水から -130ml |
難しい計算は不要です。「牛乳を入れた分だけ、水を減らす」。この黄金ルールさえ守れば、失敗することはまずありません。

その他のおすすめ代用品4選
牛乳以外にも、ご家庭にあるもので代用が可能です。それぞれの特徴を知って使い分けましょう。
粉ミルク(育児用)
- 分量:スキムミルクと同量
- 特徴:栄養価が高く、ミルキーで優しい甘みが出る
余ってしまった赤ちゃんの粉ミルクは最高の代用品です。栄養バランスも整っており、ほんのり甘いリッチなパンになります。
クリーミングパウダー(コーヒー用)
- 分量:スキムミルクと同量
- 特徴:コクが出るが、製品によっては少し油っぽくなることも
コーヒーに入れる粉末ミルクも使えます。植物性脂肪分が多いため、サクッとした軽い食感に仕上がりやすいのが特徴です。
プレーンヨーグルト
- 分量:入れた重量分、水を減らす(例:ヨーグルト30gなら水-30ml)
- 特徴:酸味の効果でしっとりモチモチに仕上がる
ヨーグルトの酸味はほとんど残りません。乳酸菌の働きで生地が柔らかくなり、翌日でもパサつかないしっとりパンになります。
豆乳・アーモンドミルク
- 分量:入れた容量分、水を減らす(牛乳と同じ)
- 特徴:あっさりして香ばしい。乳製品アレルギーの方にも
乳製品ではありませんが、タンパク質が含まれているため代用可能です。焼き色はやや薄くなりますが、ヘルシーで香ばしいパンが楽しめます。
よくある質問(Q&A)
最後に、スキムミルクの保存や選び方について、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
開封後は、1ヶ月〜2ヶ月を目安に使い切りましょう。湿気やダニの侵入を防ぐため、密閉容器に入れて冷蔵庫(野菜室など)で保存するのがおすすめです。
基本的には、強力粉や砂糖と一緒に最初に入れます。ただし、ドライイーストと直接触れると発酵を妨げることがあるため、イーストとは離れた場所に投入するのがコツです。
全く問題ありません。「スキムミルク」として売られている商品のほとんどは脱脂粉乳です。製パン用として売られているものは粒子が細かく溶けやすい加工がされていますが、スーパーで売っている一般的な脱脂粉乳でも美味しく焼けます。
まとめ:スキムミルクを理解して美味しいパンを焼こう
ホームベーカリーにおけるスキムミルクの役割と、代用方法について解説しました。
改めて、記事の要点をまとめます。
- スキムミルクの役割は「風味・焼き色・ふっくら感」の3つ
- 「なし」でも焼けるが、味はあっさりし、色は白っぽくなる
- 代用は「牛乳」がベスト。「足した牛乳の分だけ水を減らす」のが鉄則
- 粉ミルクやヨーグルトでも、特徴ある美味しいパンが焼ける
スキムミルクがないからといって、パン作りを諦める必要はありません。牛乳やヨーグルトなど、冷蔵庫にあるものを賢く代用することで、いつもとは一味違う、新しい美味しさに出会えるかもしれません。
ぜひ、今日から自信を持って、あなただけの美味しい手作りパンを楽しんでくださいね。
