「オンライン会議で、マウスで書いた図がうまく伝わらない…」
「紙の資料に赤入れしてスキャンするのが面倒…」
そんな悩みを抱えていませんか?
デザイナー専用だと思われがちな「ペンタブレット」が、実はこれらのビジネス課題を解決する鍵となります。ペンタブレットをビジネスで活用することで、手書きの分かりやすさとデジタルの効率性を両立させ、あなたの仕事を劇的に変える可能性を秘めています。
この記事では、ペンタブレットがビジネスシーンでどのように役立つのか、具体的な活用術5選から導入ステップ、選び方、そしてiPadとの違いまでを網羅的に解説します。
ペンタブレットのビジネス活用とは?
ペンタブレットのビジネス活用とは、PCに接続した専用のペンとタブレット(入力機器)を使って、マウスやキーボードでは難しい「手書き」の操作をデジタル上で行うことです。これにより、業務のさまざまな側面で効率化が図れます。
なぜ今ビジネスで注目されるのか
最大の理由は、テレワークやオンライン会議の普及です。対面でのコミュニケーションが減った分、画面越しながらも直感的で分かりやすい情報共有が求められるようになりました。マウスでは難しい「指し示す」「書き込む」といった動作を、ペンタブレットが紙に書くのと同じ感覚で実現してくれるため、注目が集まっています。
主な2つのタイプ(板タブと液タブ)
ペンタブレットには、大きく分けて2つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、用途に合ったものを選ぶことが重要です。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 板タブ(ペンタブレット) | 手元のタブレットで操作し、PCモニターに描画されるタイプ |
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| 液タブ(液晶ペンタブレット) | タブレット自体が液晶画面になっており、直接書き込めるタイプ |
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仕事で使う5つのメリット(活用術)
ペンタブレットをビジネスに導入することで、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。代表的な5つの活用シーンを紹介します。
1. オンライン会議での円滑な意思疎通
オンライン会議ツール(Zoom, Microsoft Teamsなど)のホワイトボード機能を使う際、マウスではきれいな図や文字が書けず、説明に苦労した経験はありませんか?
ペンタブレットがあれば、手書きでスムーズに図解や書き込みができます。複雑な概念やフローを視覚的に共有できるため、参加者の理解度が格段に上がり、会議の質が向上します。(参照:Wacom for Business, Zoom)
2. 資料作成と赤入れの圧倒的効率化
PowerPointのスライドやPDF資料のチェック作業(赤入れ)も、ペンタブレットが得意とする分野です。
従来は「資料を印刷 → 手書きで修正指示 → スキャンして送付」という手間がかかっていました。ペンタブレットなら、PC画面上の資料に直接、手書きで修正指示を書き込めます。修正指示が直感的で伝わりやすくなる上、印刷やスキャンの手間も削減され、業務が大幅に効率化します。(参照:Microsoft Office 描画機能)
3. 電子署名によるペーパーレス化
資料の赤入れだけでなく、稟議書や契約書への「電子署名(サイン)」にも活用できます。これまで押印や署名のために紙に出力していた書類をデジタル上で完結させることが可能です。
これにより、印刷コストや書類の保管スペースが削減され、オフィスのペーパーレス化が強力に推進されます。

紙の書類が減るだけで、オフィスの整理整頓にもつながりますし、書類を探す時間も短縮できますよね。
4. 直感的なアイデアの視覚化
ブレインストーミングやアイデア出しの際も、ペンタブレットは役立ちます。デジタルノートアプリ(OneNoteなど)と組み合わせれば、無限のキャンバスに手書きでマインドマップやラフスケッチを自由に描けます。
キーボード入力では途切れがちな思考を、手の動きと連動させることで途切れさせず、自由な発想を促します。
5. マウス操作による疲労軽減
長時間のPC作業で、手首や肩の疲れに悩まされていませんか? ペンタブレットは、マウス操作の代わりとしても使用できます。自然なペンの握り方で操作できるため、マウス使用時に比べて手首への負担が軽減されるというメリットもあります。
業種別!具体的なビジネス活用事例
ペンタブレットは、特定の業種だけでなく幅広いビジネスシーンで活用されています。
オフィスワーク全般(資料作成・署名)
PDF資料への注釈や校正、PowerPointでのプレゼン資料作成時の手書き図形挿入、そして電子契約書へのサインなど、日常業務の多くを効率化します。
教育・コンサルティング(オンライン指導)
オンライン授業での板書や、受講者の提出物への手書き添削に最適です。Web会議での図解説明にも使え、指導の質を高めます。
建築・製造業(図面修正)
CAD図面への朱入れや修正指示、現場写真への直接の書き込みなど、専門的な分野でも正確かつ直感的な指示が可能になります。
導入は簡単?使い方の基本3ステップ
「導入が難しそう」と不安に思うかもしれませんが、ペンタブレットのセットアップは非常に簡単です。基本的な3ステップを紹介します。
1. PCへの接続(USB/Bluetooth)
まずは、ペンタブレット本体をお使いのPCに接続します。USBケーブルでつなぐ有線タイプが一般的ですが、デスク周りをすっきりさせたい場合はBluetooth対応のワイヤレスモデルもあります。
2. ドライバのインストール
PCにペンタブレットを認識させ、正しく動作させるためのソフトウェア(ドライバ)をインストールします。多くの場合、メーカー(Wacomなど)の公式サイトから最新版をダウンロードしてインストールするだけです。
3. ペン設定と試し書き
ドライバがインストールされると、ペンの筆圧感知レベルや、ペンや本体にあるショートカットボタンの割り当て(「元に戻す」「消しゴム」など)を設定できます。設定が完了したら、ペイントソフトやOfficeソフトの描画機能で試し書きをしてみましょう。

ビジネス向けペンタブレットの選び方
「自分も使ってみたい」と思ったものの、どれを選べば良いか迷うかもしれません。ビジネス活用を目的とした場合の選び方のポイントを解説します。
タイプで選ぶ(板タブ vs 液タブ)
ここが最大の分岐点です。それぞれの特徴を再確認しましょう。
- コストと省スペース重視なら「板タブ」
- 初めての導入でコストを抑えたい
- デスクが狭い
- 操作の慣れには自信がある
- 直感的な操作性重視なら「液タブ」
- 予算に余裕がある
- PC操作が苦手な人でもすぐに使いたい
- 会議などで画面を共有しながら書き込みたい
サイズで選ぶ(机の広さと用途)
板タブの場合、一般的にSサイズ(A6相当)かMサイズ(A5相当)がビジネス用途では主流です。Sサイズはコンパクトで持ち運びにも便利ですが、操作エリアが狭いと感じる場合もあります。迷った場合は、ノートPCならSサイズ、デスクトップPCならMサイズを目安にするのがおすすめです。
接続方法と機能で選ぶ
接続はUSBによる有線接続が基本ですが、Bluetooth対応のワイヤレスモデルもあります。デスク周りをすっきりさせたい場合はワイヤレスが便利です。
また、タブレット本体やペンに「ショートカットキー」が搭載されているかも確認しましょう。よく使う操作を割り当てることで、作業効率がさらに向上します。
主要メーカーとおすすめモデル
ビジネス用途で初めて導入する場合、信頼性と実績のあるメーカーのエントリーモデルがおすすめです。
- Wacom(ワコム): 業界標準ともいえる最大手。
- One by Wacom: 基本機能に絞った安価な板タブ
- Wacom Intuos Small/Medium: ショートカットキーやBluetooth対応モデルも選べる定番の板タブ
- Wacom One 液晶ペンタブレット 13: 液タブの入門機として人気
- XPPen (エックスピーペン) / HUION (フイオン): ワコムに次ぐ人気メーカー。
- 同等性能でより安価なモデルが多く、コストパフォーマンスに優れる
iPad(タブレットPC)との違い
ビジネスでの手書き入力として「iPadとApple Pencil」も強力な選択肢です。ペンタブレット(PC接続)とは何が違うのでしょうか。
PC入力機器か単体PCか
最大の違いは、ペンタブレットが「PCのマウスやキーボードと同じ入力機器(周辺機器)」であるのに対し、iPadは「それ自体がOS(iPadOS)を持つ独立したコンピュータ」である点です。
ペンタブレットは、あくまで今使っているPC(WindowsやMac)の操作を拡張するものです。一方、iPadは単体でアプリを動かし、作業を完結できます。
ビジネス用途での使い分け
どちらが良いかは、あなたの主な業務内容によって異なります。
| ペンタブレット(板タブ・液タブ) | iPad(タブレットPC) | |
|---|---|---|
| 得意なこと | PCソフト(Office, Teams, Zoom, CADなど)上での直接の手書き操作 | 単体でのノートテイキング、PDF閲覧・編集、プレゼンテーション |
| おすすめな人 | ・既存のPC業務(資料作成、オンライン会議)を効率化したい人 ・PCでしか動かない専用ソフトを使う人 ・コストを抑えたい人(特に板タブ) |
・PCとは別に、手書きノートや資料閲覧用のサブ機が欲しい人 ・外出先での利用が多い人 ・予算に余裕がある人 |

「今のPC作業を便利にしたい」ならペンタブレット、「PCとは別の手書きメモ帳が欲しい」ならiPad、と考えると分かりやすいですよ。
デメリットと導入前の注意点
多くのメリットがある一方、導入前に知っておくべき注意点もあります。対策と合わせて確認しましょう。
操作に慣れが必要
特に「板タブ」の場合、手元で操作しながらPCモニターを見るという感覚に、最初は戸惑うかもしれません。これは「絶対座標」という、タブレットの領域とモニターの領域が1対1で対応する仕組みによるものです。
ただし、これは数日〜1週間程度使えば慣れることがほとんどです。どうしても慣れない場合は、紙と同じ感覚で使える「液タブ」を選ぶと良いでしょう。
設置スペースとコスト
ペンタブレット(特に液タブ)は、キーボードの横に一定の設置スペースを必要とします。ご自身のデスク環境に十分なスペースがあるか、事前に確認が必要です。
また、液タブは板タブに比べて高価になる傾向があります。まずは安価な板タブから試してみるのも一つの手です。
よくある質問(Q&A)
A. はい、まったく問題ありません。この記事で紹介した「資料への書き込み」や「オンライン会議での図解」は、絵心とは関係なく、誰でも「紙にペンで書く」感覚で実行できます。むしろ、そういったビジネス用途での利用者が急増しています。
A. 多くのビジネスソフトが標準でペン入力に対応しています。
- Microsoft Office (Word, Excel, PowerPoint): 「描画」タブから手書き入力や校正が可能
- Microsoft OneNote: 手書きノートアプリとして最適
- Microsoft Teams, Zoom: ホワイトボード機能で活用
- Adobe Acrobat Reader / Pro: PDFへの注釈・サイン機能で利用
特別なソフトを導入しなくても、今お使いの環境ですぐに活用できる場合がほとんどです。
A. はい、主要メーカーの製品はWindowsとmacOSの両方に対応しています。各メーカーの公式サイトから、ご自身のOSに合ったドライバをダウンロードしてインストールすれば使用可能です。
A. ペンタブレットの分野では、Wacom(ワコム)社が世界的に高いシェアと信頼性を誇ります。ビジネス向けの製品ラインナップも豊富で、多くの企業で導入実績があります。(参照:Wacom公式サイト)
その他、XPPen(エックスピーペン)やHUION(フイオン)なども、コストパフォーマンスに優れた製品を提供しており、良い選択肢となります。
まとめ
この記事では、ペンタブレットのビジネス活用について、具体的な方法から選び方、iPadとの違いまで網羅的に解説しました。
【記事の要点】
- ペンタブレットは「オンライン会議」「資料作成・赤入れ」「ペーパーレス化」に強い
- 手書きの直感性とデジタルの効率化を両立できる
- 導入は「接続 → ドライバ導入」で簡単
- 「板タブ」は安価で省スペース、「液タブ」は直感的で高価
- 今のPC業務を効率化したいなら「ペンタブレット」、サブ機が欲しいなら「iPad」
ペンタブレットは、もはやクリエイターだけのものではありません。日々の業務を効率化し、コミュニケーションの質を高める強力なビジネスツールです。
「説明が伝わりにくい」「紙の作業が非効率」と感じているなら、業務効率化の第一歩として、ペンタブレットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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