引っ越し準備で多くの人が頭を悩ませるのが、家電の扱いです。
「炊飯器やドライヤーはダンボールに入れるべき?」
「買った時の箱は捨ててしまったけれど、どう運べばいい?」
このように、「どこまで梱包が必要か」の判断に迷っていませんか?
結論から言うと、一人で持てる小型家電はダンボールへ、大型家電は業者が当日対応が基本ルールです。
この記事では、家電ごとの梱包の境界線を一覧表で解説し、箱がない場合の安全な包み方や、冷蔵庫などの事前準備まで網羅しました。正しい梱包を知り、新居での故障トラブルをゼロにしましょう。
※2025年11月17日 記事の内容を最新の情報に更新しました。
家電の梱包はどこまで?判断基準の早見表
引っ越しにおける家電梱包の悩みは、以下の基準を知ることで解決します。
まずは、手持ちの家電がどの分類に当てはまるかチェックしましょう。
| 分類 | 具体的な家電例 | 梱包の正解 |
|---|---|---|
| 小型 | ドライヤー、ケトル、トースター、電話機、アイロン、ゲーム機、ルーター | ダンボールに入れる |
| 中型 | 炊飯器、電子レンジ、PCモニター、空気清浄機、掃除機、プリンター | 箱があれば入れる (なければ緩衝材で保護) |
| 大型 | 冷蔵庫、洗濯機、大型テレビ、エアコン、食洗機(据置) | 業者が対応 (ダンボール不可) |

小型家電はダンボール梱包が鉄則
ドライヤーや電気ケトルなどの小型家電は、基本的にダンボールに入れて運びます。
そのままトラックに積み込むと、荷崩れによる紛失や破損の原因になるからです。
- コードの処理: 本体に巻き付けず、束ねて養生テープや結束バンドで留める。
- 詰め方: タオルや衣類をクッション代わりにし、隙間なく詰める。
大型家電は原則そのまま運ぶ
冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は、強度が足りないためダンボールには入れません。
当日に引っ越し業者が専用のキルティング資材(ジャバラ)で梱包してくれます。
ただし、「水抜き」などの事前準備は自分で行う必要があります。準備方法は後述します。
箱がない時の家電の梱包テクニック
購入時の元箱(化粧箱)を保管している人は少数派です。
箱がない場合でも、ホームセンターや100均で手に入る資材を使えば安全に梱包できます。
炊飯器やポットの包み方
形状が丸く不安定なキッチン家電は、パーツの固定がカギです。
- フタが開かないように養生テープで固定する。
- 内釜やガラス容器の中にタオルを詰め、ガタつきを防ぐ。
- 全体を気泡緩衝材(プチプチ)で2重に巻き、ダンボールへ入れる。
電子レンジのターンテーブル保護
電子レンジで最も破損事故が多いのは、内部のガラス皿(ターンテーブル)です。
- ガラス皿は必ず取り出し、ダンボール板などで個別に包む。
- 本体の電源コードは束ねて側面にテープで貼る。
- 本体の角をダンボールの切れ端でガードし、プチプチで全体を覆う。

テレビやモニターの画面保護
液晶画面は非常にデリケートです。元箱がない場合は以下の手順で慎重に扱ってください。
- 画面サイズに合わせてカットしたダンボールを、画面部分に当てる。
- その上から全体を緩衝材で厚めに巻く。
- ダンボールに入れる際は必ず「縦向き」にし、隙間を完全に埋める。
- 外箱に大きく赤字で「液晶・ワレモノ・天地無用」と記載する。
サイズが合うダンボールがない場合は、無理に入れず、画面保護をした状態で業者に相談するのも一つの手です。
ダンボールに入れない大型家電の準備
梱包不要の大型家電も、何もしなくて良いわけではありません。
運搬中の水漏れや故障を防ぐため、前日までに以下の「水抜き」作業を完了させてください。
冷蔵庫の水抜きと霜取り
冷蔵庫は電源を抜いてすぐには運べません。
内部の霜を溶かし、水を排出する必要があります。
- 前日夜まで: 中身を空にし、コンセントを抜く。ドアを開けておく。
- 当日朝: 蒸発皿やタンクに溜まった水を捨てる。
これを怠ると、運搬中に汚水が漏れ出し、新居の床や他の荷物を汚損させる原因になります。
洗濯機の水抜き手順
洗濯機もホースや内部に水が残っています。
- 給水の水抜き: 蛇口を閉め、洗濯機を1分ほど運転させてホース内の水を抜く。
- 排水の水抜き: 「脱水」モードで運転し、内部の水を出し切る。
- 部品の保管: ホースや給水継手を取り外し、まとめて袋に入れる。
(参照:一般財団法人家電製品協会)
よくある質問(Q&A)
最後に、家電の梱包でよくある疑問やNG例について回答します。
A. 絶対に外して梱包してください。
付けたまま運搬すると、振動でカバーが割れたり、落下して破損したりするリスクがあります。取り外したリモコンや小さなネジは、袋に入れて本体のシェード部分に貼り付けておくと紛失を防げます。
A. 灯油が入ったままでは運搬できません。
消防法上の危険物に該当するため、業者は運び出しを拒否します。必ず「空焚き」機能などで灯油を完全に使い切るか、給油ポンプで抜き取ってから依頼してください。
A. スマホで配線写真を撮りましょう。
テレビやPCの裏側は複雑です。コードを抜く前に、接続部分のアップ写真を撮っておくと、新居での再現がスムーズです。また、外したコードにはマスキングテープで「テレビ用」「ルーター用」とタグ付けすることをおすすめします。
まとめ:正しい準備で新生活をスムーズに
引っ越しの家電梱包について、重要なポイントを整理しました。
- 小型家電: ダンボールに入れ、隙間を埋める。
- 中型家電: 箱がなければ、パーツごとに緩衝材で保護する。
- 大型家電: 梱包は業者にお任せ。ただし「水抜き」は必須。
- 箱なし: 液晶画面やガラス部分は特に厳重にガードする。
「たかが梱包」と思わず、適切な処置をすることで、大切な家電を長く使い続けることができます。
もし、梱包作業の時間がない場合や、高価な家電の破損が心配な場合は、梱包までプロに任せるプランを検討してみるのも賢い選択です。
ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでくださいね。
