「プリンターの液晶画面に『メンテナンスボックスの空き容量がなくなりました』というエラーが出て、印刷できなくなった…」
「そもそも、コピー機やプリンターのメンテナンスボックスって何? なぜ交換が必要なの?」
そんな突然のエラーメッセージに、戸惑いや疑問を感じていませんか?
この記事では、そんなあなたの悩みを解決します。コピー機(プリンター)のメンテナンスボックスの基本的な役割から、具体的な交換方法、交換頻度の目安、そしてお得に購入できる場所まで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく徹底解説します。
この記事を最後まで読めば、メンテナンスボックスに関するあらゆる疑問が解消され、突然のエラーにも慌てず冷静に対処できるようになります。さらに、印刷コストを賢く節約する秘訣もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
コピー機・プリンターのメンテナンスボックスとは?
まず最初に、メンテナンスボックスが一体どのようなものなのか、その正体と重要な役割について深く掘り下げていきましょう。結論から言うと、メンテナンスボックスは「プリンター内部で発生した廃インクを溜めておくための専用容器」、つまり「廃インクのゴミ箱」のようなものです。

メンテナンスボックスは「廃インクのゴミ箱」
インクジェットプリンターは、インクを紙に吹き付けて印刷しますが、実は印刷に使われるインク以外に、プリンターの品質を維持するために消費されるインクが存在します。これが「廃インク」です。
この廃インクを吸収し、溜めておくのがメンテナンスボックスの役割です。ボックスの内部には特殊な吸収材(スポンジのようなもの)が入っており、廃インクがプリンター内部に漏れ出さないようにしっかりと受け止めてくれます。
なぜ廃インクは発生するの?主な原因を解説
「印刷以外でインクが使われるなんて、もったいない!」と感じるかもしれませんね。しかし、この廃インクは、プリンターの性能を最高の状態に保つために必要不可欠なものなのです。廃インクが発生する主な原因は以下の2つです。
- ヘッドクリーニング
インクの吹き出し口である「プリントヘッド」は非常に精密で、ホコリやインクの固まりで目詰まりしやすい部分です。印字にかすれやスジが入るのを防ぐため、プリンターは定期的にインクを噴射してノズルを掃除します。この時に使われたインクが、廃インクとなります。 - 電源ON/OFF時のセルフメンテナンス
プリンターの電源を入れたとき、印刷品質を保つために自動で簡単なクリーニング(準備動作)を行います。この際にも少量のインクが消費され、廃インクとして処理されます。
これらのメンテナンス作業によって発生した廃インクが、メンテナンスボックスにどんどん溜まっていく仕組みです。
メンテナンスボックスがないプリンターとの決定的違い
「うちの古いプリンターには、そんな部品はなかったけど…」と思う方もいるでしょう。
実は、メンテナンスボックスが採用される以前のプリンターにも、「廃インク吸収パッド」という形で同じ役割を持つ部品が内蔵されていました。しかし、これには大きな問題点がありました。
廃インク吸収パッドは、ユーザー自身で交換することができません。パッドが満杯になると「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました」というエラーが表示され、プリンターが完全に停止してしまいます。これを解決するには、メーカーに修理を依頼して、有償で部品を交換してもらうしかありませんでした。
修理には費用も時間もかかるため、多くのユーザーがこれを機にプリンターの買い替えを選択していたのです。まさに「プリンターの寿命」を意味するエラーでした。

この画期的な仕組みは、2016年秋にエプソンが発売した「EP-879A」から本格的に採用され始め、現在では多くのエプソンやキヤノン、ブラザーなどのプリンターに搭載されています。これにより、プリンターのメンテナンス性と寿命は劇的に向上しました。
メンテナンスボックスの交換時期はいつ?エラー表示と確認方法
メンテナンスボックスは消耗品のため、いつかは必ず満杯になります。では、交換のタイミングはどのように知ればよいのでしょうか?
基本的には、プリンター自身が交換時期を教えてくれます。交換が必要になると、プリンター本体の液晶画面や、パソコンの画面にアラート(警告メッセージ)が表示される仕組みになっています。
プリンターに表示されるエラーメッセージ例
メーカーや機種によって文言は多少異なりますが、以下のようなメッセージが表示されたら、それが交換のサインです。
- 「メンテナンスボックスの空き容量がなくなりました。ボックスの交換が必要です。」
- 「メンテナンスボックスの交換時期です」
- 「Maintenance Box Full」
このメッセージが表示されると、新しいメンテナンスボックスに交換するまで、印刷やコピー、スキャンなど、プリンターのすべての機能が停止します。 これが突然表示されると、急ぎの印刷ができず非常に困ってしまいますよね。
事前に空き容量を確認する方法
突然の機能停止を避けるため、事前にメンテナンスボックスの空き容量をチェックしておくことを強くおすすめします。
多くのプリンターでは、操作パネルのメニューから「消耗品情報」や「プリンターの状態確認」といった項目を選択することで、インク残量と合わせてメンテナンスボックスの空き容量を視覚的に確認できます。
空き容量が少なくなってきたら、早めに新しいメンテナンスボックスを準備しておくと安心です。

交換しないとどうなる?廃インクが溢れるリスクも!
エラーメッセージを無視して使用を続けることはできません。前述の通り、プリンターは安全のために全機能を停止します。
万が一、何らかの方法で強制的に動かし続けた場合、吸収しきれなくなった廃インクがメンテナンスボックスから溢れ出し、プリンター内部を汚染し、重大な故障を引き起こす可能性があります。そうなると、高額な修理費用がかかるか、最悪の場合はプリンターを買い替えるしかなくなります。
エラーメッセージは、プリンターからの重要なSOSサインです。必ず指示に従い、速やかに交換作業を行いましょう。
メンテナンスボックスの交換方法と注意点
「交換作業って、難しそう…」と不安に思う必要はありません。メンテナンスボックスの交換は、インクカートリッジの交換と同じくらい簡単で、誰でも数分で完了できます。
ここでは、代表的な機種であるエプソン EP-880AN / EP-882A を例に、分かりやすく交換手順を解説します。機種によってボックスの位置やカバーの形状が異なりますので、作業前には必ずお使いのプリンターの取扱説明書をご確認ください。
交換作業の前に準備するもの
作業をスムーズかつ安全に行うために、以下のものを準備しておくと安心です。
- 新しいメンテナンスボックス:お使いのプリンターに対応した型番のものを用意します。
- ビニール手袋(推奨):使用済みのボックスには廃インクが含まれているため、手に付着するのを防ぎます。
- 新聞紙や不要な布:万が一インクが漏れても、机や床が汚れないようにプリンターの下に敷いておきます。
- マイナスドライバーまたは硬貨:カバーのネジを外す際に使用します。(機種によります)
STEP1: プリンターの準備(電源は入れたまま)
まず、プリンターの電源が入っている状態で作業を開始します。メンテナンスボックスの交換は、プリンターが交換を認識するために電源ONの状態で行うのが一般的です。
次に、プリンターの液晶パネル(操作パネル)を最大限まで持ち上げます。そして、下段の用紙トレイを完全に引き抜きます。これを忘れると、メンテナンスボックスが引っかかって取り出せない場合があるので注意してください。
STEP2: 古いメンテナンスボックスの取り外し
用紙トレイを引き抜くと、機種によりますが本体の右側などにメンテナンスボックスのカバーが見えます。多くの場合、インクを受ける容器のようなマークが目印として付いています。
1. カバーのネジを外す
マイナスドライバーや硬貨を使って、カバーを固定しているネジを反時計回りに回して外します。ネジを紛失しないように注意しましょう。
2. カバーを取り外す
ネジが外れたら、カバーを手前に引いて取り外します。
3. 古いボックスを引き出す
カバーを外すと、中にセットされているメンテナンスボックスの取っ手が見えます。取っ手をつまみ、水平を保ったまま、ゆっくりと手前に引き出します。

取り外した古いボックスは、すぐにビニール袋などに入れて口を縛っておくと安全です。
STEP3: 新しいメンテナンスボックスの取り付け
いよいよ新しいボックスを取り付けます。ここでも重要なポイントがあります。
1. 新しいボックスを奥まで差し込む
新しいメンテナンスボックスを、取り外した時と逆の手順でプリンターの奥までしっかりと差し込みます。「カチッ」と音がするまで確実に装着してください。
【取り付け時の超重要ポイント】
未使用のメンテナンスボックスの裏側(プリンターに接続される側)には、穴を覆うように薄いフィルムが貼られています。このフィルムは絶対に剥がさないでください! そのまま取り付けることで、プリンター側で自動的にフィルムが破れて正常に装着される仕組みになっています。
2. カバーとネジを元に戻す
ボックスが正しく装着されたら、カバーを取り付け、ネジを締めて元通りに固定します。
3. 用紙トレイとパネルを戻す
最後に、引き抜いた用紙トレイを元に戻し、液晶パネルを閉じれば交換作業は完了です!
プリンターが新しいメンテナンスボックスを認識し、液晶画面のエラー表示が消えれば成功です。機種によっては、画面の指示に従って簡単なリセット操作が必要な場合もあります。
プリンターのメンテナンスボックスはどこに売ってる?【お得な購入術】
いざ交換が必要になった時、「メンテナンスボックスって、どこで買えるの?」と迷うかもしれませんね。購入できる場所はいくつかありますが、どこで買うかによって価格が大きく変わってきます。ここでは、主な購入先と、賢くコストを抑える方法をご紹介します。
主な購入場所
- 家電量販店
ヨドバシカメラやビックカメラ、ヤマダ電機といった大手家電量販店のプリンター消耗品コーナーで購入できます。すぐに手に入れたい場合に便利ですが、価格は定価に近いことが多いです。 - メーカーの公式オンラインストア
エプソンダイレクトなど、各メーカーの公式サイトからも購入できます。確実に純正品が手に入る安心感がありますが、送料がかかる場合もあります。 - Amazonや楽天市場などの大手通販サイト
品揃えが豊富で、価格比較がしやすいのが魅力です。ポイントも貯まるため、普段から利用している方にはおすすめです。
印刷コストを劇的に下げるなら「互換メンテナンスボックス」が最強!
「純正品は安心だけど、もう少し安くならないかな…」と感じている方に、ぜひ知ってほしいのが「互換メンテナンスボックス」の存在です。
互換メンテナンスボックスとは、プリンターメーカーではないサードパーティ製の企業が製造した、純正品と同様に使える互換性のある製品のことです。

なぜ互換品がおすすめなの?
理由はシンプルです。メンテナンスボックスの役割は、あくまで「廃インクを溜める容器」だからです。インクのように印刷品質に直接影響を与えるものではないため、純正品と互換品で機能的な差はほとんどありません。
それでいて、価格は純正品よりも大幅に安く設定されています。つまり、品質を落とすことなく、コストだけを賢く削減できるのです。
純正品と互換品でどれくらい価格が違うの?
その差は歴然です。インク消耗品を専門に扱う「インクのチップス」の価格を例に、エプソンとキヤノンの代表的な型番で価格を比較してみましょう。(※3セット購入した場合の比較)
エプソンのメンテナンスボックス価格比較
型番 | 純正品価格(3セット) | 互換品価格(3セット) | 差額 |
---|---|---|---|
PXMB9 | 8,569円 | 3,780円 | 4,789円 お得! |
EWMB2 | 6,655円 | 3,310円 | 3,345円 お得! |
PXMB7 / PXMB8 | 8,206円 | 3,530円 | 4,676円 お得! |
※2025年1月9日現在の価格です。純正品は送料込みの合計金額、互換品は3,500円以上で送料無料の場合です。
キヤノンのメンテナンスボックス価格比較
型番 | 純正品価格(3セット) | 互換品価格(3セット) | 差額 |
---|---|---|---|
MC-G01 | 7,920円 | 6,630円 | 1,290円 お得! |
MC-G02 | 4,620円 | 5,120円 | 3,086円 お得! |
※2025年1月9日現在の価格です。純正品は送料込みの合計金額、互換品は3,500円以上で送料無料の場合です。
いかがでしょうか。同じ役割の消耗品にもかかわらず、数千円単位でコストを削減できることがお分かりいただけると思います。プリンターを長く使えば使うほど、この差はどんどん大きくなっていきます。
プリンターのメンテナンスボックスの交換頻度はどれくらい?
「このボックス、一度交換したら次はいつ頃になるんだろう?」というのも気になるところですよね。プリンターのメンテナンスボックスの交換頻度は、一概に「何年」とは言えません。なぜなら、プリンターの使用状況によって大きく変動するからです。
交換頻度は使い方次第!数ヶ月〜1年が目安
あくまで一般的な家庭での利用の場合ですが、目安としては数ヶ月〜1年程度で交換が必要になるケースが多いようです。しかし、これは本当に目安にすぎません。
ほとんど印刷しない方なら数年持つこともありますし、逆に毎日大量に印刷したり、頻繁にヘッドクリーニングを行ったりするヘビーユーザーの場合は、1〜2ヶ月で満杯になることも十分にあり得ます。
交換頻度を早めてしまうNGな使い方とは?
廃インクの量を増やし、メンテナンスボックスの寿命を縮めてしまう使い方があります。心当たりがないかチェックしてみましょう。
- ヘッドクリーニングの多用
印字品質が悪くなった際に何度もヘッドクリーニングを行うと、大量のインクが消費され、廃インクとして捨てられます。これは最も交換頻度を早める原因です。 - 電源のON/OFFを頻繁に繰り返す
前述の通り、電源を入れるたびにセルフメンテナンスでインクを消費します。短時間で何度も電源を入り切りするのは、廃インクを増やす原因になります。 - 大量のフチなし印刷
写真をフチなしで印刷する場合、用紙からはみ出したインクがプリンター内部のパッドに吸収され、それが最終的に廃インクとして処理されるため、通常より廃インクの量が多くなります。
これらの使い方を避けるだけでも、メンテナンスボックスを長持ちさせ、交換の手間とコストを減らすことにつながります。
メンテナンスボックスに関するよくある質問【Q&A】
ここでは、メンテナンスボックスに関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
A. メンテナンスボックスが満杯になると、プリンターの液晶画面やPCにエラーメッセージが表示され、印刷やコピー、スキャンなど、すべての機能が完全に停止します。 これは、廃インクが溢れてプリンターが故障するのを防ぐための安全装置です。エラーメッセージが表示されたら、速やかに新しいものと交換してください。
A. いいえ、再使用はできません。 一度プリンターから取り外して長時間放置すると、内部の吸収材が乾燥してインクが固まってしまい、廃インクを正常に吸収できなくなります。また、衛生上の問題やインク漏れのリスクもあるため、一度取り外したものは満杯でなくても再使用しないでください。
A. 捨て方は、使用環境によって異なります。
- 一般家庭で使っている場合:使用済みのボックスをビニール袋などに入れてしっかりと密閉し、お住まいの自治体のルール(燃えるゴミ、不燃ゴミなど)に従って廃棄します。
- 事業所などの業務で使う場合:事業活動で発生したゴミは「産業廃棄物」扱いとなります。そのため、契約している産業廃棄物処理業者へ処理を委託する必要があります。
メーカーによっては、使用済みカートリッジの回収サービスを行っている場合もありますので、公式サイトを確認してみるのも良いでしょう。
A. 信頼できる販売店の製品であれば、基本的に問題ありません。 互換インクと異なり、メンテナンスボックスは廃インクを溜めるだけのシンプルな構造です。そのため、プリンター本体に悪影響を与える可能性は極めて低いです。「インクのチップス」や「インク革命.COM」のように、品質保証やサポートがしっかりしている専門店で購入すれば、万が一の際も安心です。
A. 以下の方法で確認できます。
- プリンターの取扱説明書で確認する。
- メーカーの公式サイトで、お使いのプリンターの型番を検索し、対応消耗品ページで確認する。
- 現在プリンターに装着されているメンテナンスボックス本体に記載されている型番を確認する。
購入する際は、必ず対応型番を正確に確認してからにしましょう。
まとめ:メンテナンスボックスを理解してプリンターを快適に使おう!
今回は、コピー機・プリンターのメンテナンスボックスについて、その役割から交換方法、お得な購入術まで、網羅的に解説しました。いかがでしたでしょうか?
最後に、この記事の重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- メンテナンスボックスは「廃インクを溜めるゴミ箱」であり、プリンターを長く使うための重要部品。
- 液晶画面にエラーが出たら交換のサイン。交換するまで全機能が停止するので注意。
- 交換作業は誰でも簡単にできるが、廃インク漏れには十分注意し、取扱説明書を確認すること。
- 印刷コストを削減するなら、品質に差がなく価格が安い「互換メンテナンスボックス」が圧倒的におすすめ。
- 交換頻度は使い方次第。エラーが出てから慌てないよう、互換品を1つ予備でストックしておくのが賢い使い方。
メンテナンスボックスは、いわばプリンターの縁の下の力持ちです。その役割を正しく理解し、適切なタイミングで交換することが、お使いのプリンターを末永く、そして経済的に活用するための秘訣です。
突然のエラーに慌てることのないよう、ぜひこの記事を参考に、今すぐご自身のプリンターの消耗品情報をチェックし、お得な互換メンテナンスボックスを準備してみてはいかがでしょうか。