老人ホームの個室に置く冷蔵庫、どれを選べばいいか迷っていませんか?
「食事は施設で出るから、飲み物やアイスが入れば十分」「でも、ワンルームだから寝るときの作動音が気になる…」「霜取りって、どれくらい大変なの?」など、疑問や不安が多いですよね。
この記事では、老人ホームでの使用に最適な冷蔵庫の選び方を、皆さんが重視する「静音性」や「霜取り」の問題点を中心に詳しく解説します。さらに、数ある製品の中から厳選した、おすすめの小型冷蔵庫をタイプ別に5つご紹介します。
この記事を読めば、ご本人やご家族が安心して快適に使える一台がきっと見つかります。
なぜ老人ホームの個室に冷蔵庫が必要?
老人ホームでの生活において、個室に専用の冷蔵庫があると、生活の質(QOL)が大きく向上します。共用冷蔵庫が設置されている施設も多いですが、個室にあるメリットはなんでしょうか。
飲み物や好物の保存
最も多い理由は、冷たい飲み物や、ちょっとした果物、スイーツなどを自由に保存しておきたいというニーズです。食事は施設から提供されても、好きな時間に好きなものを口にできる環境は、日々の潤いにつながります。
薬(インスリンなど)の保管
持病によっては、インスリン注射など冷蔵保存が必要な薬もあります。個室の冷蔵庫なら、適切な温度で安全に管理でき、飲み忘れや取り違えの心配も減らせます。
共有冷蔵庫の不便さ解消(プライバシー)
共有冷蔵庫は、他の入居者との共用になるため、「スペースが限られている」「他の人のものと紛らわしい」「プライバシーが気になる」といった不便さを感じることも。専用冷蔵庫があれば、そうしたストレスから解放されます。
訪問者(家族)が来た時にも便利
ご家族やご友人が訪問した際に、持参したお土産や飲み物を一時的に冷やしておくことができます。一緒に過ごす時間をより快適にします。
【重要】冷蔵庫を持ち込む前に施設へ確認すべきこと
個室に冷蔵庫を置きたいと思っても、まずは入居する老人ホームのルールを確認することが必須です。施設によっては持ち込みが制限されている場合もあります。
持ち込みの許可・ルールの確認
そもそも電化製品の持ち込みが許可されているか、冷蔵庫はOKかを確認しましょう。施設によっては、安全管理上の理由から持ち込み自体が不可の場合や、施設側が用意した冷蔵庫(レンタルまたは備え付け)のみ利用可、というケースもあります。
サイズや容量、消費電力の制限
持ち込みが許可されていても、「〇〇リットル以下」といったサイズ制限や、施設全体の電力容量の都合で「消費電力〇〇W以下」といった規定が設けられていることが一般的です。
安全性に関する規定(火災防止など)
高齢者が使用するため、火災リスクを最小限に抑える安全基準が設けられている場合があります。あまりに古い製品や、安全性が確認できない製品は持ち込みを断られる可能性もあります。
設置場所や搬入経路の確認
個室のどこに置けるのか、コンセントの位置はどこか、また、搬入時にエレベーターや廊下を通れるサイズかどうかも、事前に確認しておくとスムーズです。

老人ホーム用冷蔵庫の失敗しない選び方【6つのポイント】
施設の許可が下りたら、次はいよいよ製品選びです。老人ホームの個室という特殊な環境だからこそ、押さえておきたい6つのポイントを解説します。
ポイント1:最優先は「静音性」!冷却方式をチェック
ワンルームの個室、特にベッドサイドに置く場合、冷蔵庫の作動音は睡眠の妨げになる可能性があります。静音性を決めるのは「冷却方式」です。主に3つのタイプがあります。
| 冷却方式 | 特徴 | 静音性 | 霜取り | おすすめな人 |
|---|---|---|---|---|
| ペルチェ式 | ペルチェ素子で冷却。コンプレッサーがない。 | ◎ (非常に静か) | 不要 | 音に敏感な方。冷凍不要な方。 |
| 直冷式 | 冷却器で直接冷やす。小型冷蔵庫で主流。 | △ (音が気になる場合あり) | 必要 | アイスや製氷もしたい方。 |
| ファン式 | ファンで冷気を循環。家庭用大型冷蔵庫はこれ。 | △ (ファンの音がする) | 不要 | 霜取りの手間を省きたい方。 |
音を最優先するなら「ペルチェ式」が最適です。ただし、冷却力が弱めで冷凍(製氷)はできません。アイスや氷も保存したい場合は「直冷式」になりますが、定期的な霜取りが必要です。

ポイント2:サイズと容量は「45L」か「90L」か
食事は施設で提供されるため、冷蔵庫に入れるのは飲み物、おやつ、薬などが中心になります。そのため、容量は45リットル前後の1ドアタイプが最も人気があり、主流となっています。
もしアイスクリームや冷凍食品も少し保存したい場合は、冷凍室が独立した90L前後の2ドアタイプも選択肢になります。ただし、その分設置スペースと作動音が大きくなる可能性を考慮しましょう。
ポイント3:気になる「霜取り」の手間はどれくらい?
小型冷蔵庫で主流の「直冷式」を選ぶ場合に、必ずついて回るのが「霜取り」作業です。
- 霜取りの頻度:使用状況によりますが、3〜5ヶ月に1回程度が目安です。霜が厚くなると冷却効率が落ち、電気代も余計にかかってしまいます。
- 作業の手間:電源を切り、中の食材をクーラーボックスなどに一時退避させ、霜が自然に溶けるのを待ってから(またはお湯で濡らしたタオルで拭き取り)、最後に水分を拭き取る必要があります。
この作業を、ご高齢のご本人が一人で行うのはかなりの負担になります。直冷式を選ぶ場合は、ご家族が定期的に訪問してサポートできるかどうかも、判断の重要なポイントになります。
ポイント4:「冷凍」は必要? 製氷室と冷凍庫の違い
「冷凍もしたい」という場合、それが「氷やアイスの短期保存」なのか「冷凍食品の長期保存」なのかで選ぶべき製品が変わります。
- 製氷室 (45Lクラスに多い):温度は約-6℃~-12℃程度(ワンスターなど)。氷を作ることはできますが、アイスクリームが溶けてしまったり、冷凍食品の長期保存には向いていません。
- 冷凍庫 (90Lクラス2ドアに多い):温度は約-18℃以下(ツースターやスリースター)。冷凍食品やアイスクリームの保存が可能です。
アイスなどをしっかり保存したい場合は、冷凍室が独立した2ドアタイプ(90L前後)を選びましょう。
ポイント5:設置場所(放熱スペース)とドアの開き方
個室のレイアウトは様々です。ベッドや壁の位置関係を考えて、ドアが「右開き」か「左開き」かを選びましょう。中には、ネジを付け替えることで左右の開き方を変更できるモデルもあります。
また、冷蔵庫は熱を逃がすために、壁や家具から適切な距離(左右・背面・上部など各5〜10cm程度)を空ける必要があります。設置スペースにこの「放熱スペース」が含まれているかどうかも確認しましょう。
ポイント6:天板の「耐熱性能」もチェック
スペースを有効活用するために、冷蔵庫の上に電子レンジや電気ケトルを置きたい、と考える方も多いでしょう。その場合は、天板が「耐熱仕様(耐熱100℃など)」になっているか、また「耐荷重(何kgまで)」かも必ず確認してください。
老人ホームでの使用に最適な冷蔵庫のおすすめ人気ランキング
ここでは、これまで解説した「選び方のポイント」に基づき、特に老人ホームの個室で重視される「静音性」「サイズ感」「使いやすさ」を基準に、おすすめの小型冷蔵庫をタイプ別に5つ厳選しました。
【静音・コンパクト重視】45L前後のおすすめ3選
1位:アイリスオーヤマ IRSD-5A-W(45L)
【ターゲット】バランス重視で、設置場所の自由度も欲しい方に
【選定理由】
老人ホームでの使用に最も選ばれている、定番の45Lサイズです。最大の特長は、購入時に「右開き」と「左開き」のモデルを選べること。個室のベッドや家具の配置に合わせて最適なドア向きを選択できるため、設置の失敗がありません。製氷室も付いており、飲み物やデザート、氷の保存といった基本的なニーズをしっかり満たしてくれます。静音設計で、価格と機能のバランスが非常に良い一台です。
| 冷却方式 | 直冷式 |
|---|---|
| 容量 | 45L (製氷室あり) |
| 霜取り | 必要 |
| 静音性 | ◯ (静音設計) |
| 冷凍 | △ (製氷室レベル) |
| 特徴 | 左右開きモデルを選択可能、コンパクト設計 |
2位:COMFEE’ (コンフィー) 45L (RCD45WH/E)
【ターゲット】静音性も気になるが、製氷や少しのアイスは入れたい方
【選定理由】
「静音性」と「製氷機能」のバランスを取りたい方におすすめなのがCOMFEE’です。「静音・省エネタイプ」として評価が高く、直冷式ながら作動音が気になりにくい設計になっています。45Lという程よいサイズ感で、製氷室も確保。6段階の温度調節が可能で、霜取り用のヘラが付属している点も便利です。
| 冷却方式 | 直冷式 |
|---|---|
| 容量 | 45L (製氷室あり) |
| 霜取り | 必要 |
| 静音性 | ◯ (静音設計) |
| 冷凍 | △ (製氷室レベル) |
| 特徴 | 6段階温度調節、霜取り用ヘラ付属 |
3位:[山善] 46L (YFR-51(W))
【ターゲット】日本メーカーの配慮が欲しい、設置場所が不安定かもしれない方
【選定理由】
国内メーカーならではの細やかな配慮が光るモデルです。小型冷蔵庫では珍しく「アジャスター(調節脚)」が付いており、少し傾きのある床でも安定して設置できます。7段階の温度調節、霜取り用ヘラ付属など、使い勝手もしっかり考慮されています。静音設計でありながら、製氷室も備えた安心の選択肢です。
| 冷却方式 | 直冷式 |
|---|---|
| 容量 | 46L (製氷室あり) |
| 霜取り | 必要 (霜取り用ヘラ付属) |
| 静音性 | ◯ (静音設計) |
| 冷凍 | △ (製氷室レベル) |
| 特徴 | アジャスター付き、7段階温度調節 |
【冷凍もしたい方向け】90L前後(2ドア)のおすすめ2選
WINCOD「TOHO TAIYO」TH-87L2(2ドア/87L)
【ターゲット】設置場所に合わせてドアの開きを変えたい方
【選定理由】
2ドアタイプでありながら、ネジを付け替えるだけで左右のドア開きを変更できるのが最大の特長です。個室のレイアウト変更にも柔軟に対応できます。庫内の棚がガラス製で掃除しやすく、清潔に保ちやすいのも嬉しいポイントです。
| 冷却方式 | 直冷式 |
|---|---|
| 容量 | 87L (冷凍室 26L / 冷蔵室 61L) |
| 霜取り | 必要 (冷凍室のみ) |
| 冷凍 | ◯ (冷凍庫) |
| 特徴 | 左右付け替え対応ドア、ガラス棚 |
COMFEE 冷蔵庫 90L 2ドア RCT90BL
【ターゲット】静音性にも配慮しつつ、冷凍室をしっかり使いたい方
【選定理由】
90Lクラスの2ドア冷蔵庫として、静音性に定評のあるメーカー「COMFEE’」のモデルです。冷凍室(28L)と冷蔵室(62L)が分かれており、アイスや冷凍食品もしっかり保存できます。天板は耐熱仕様で電子レンジなども設置可能。霜取り用のヘラが付属しているのも、お手入れ時に便利です。
| 冷却方式 | 直冷式 |
|---|---|
| 容量 | 90L (冷凍室 28L / 冷蔵室 62L) |
| 霜取り | 必要 (冷凍室のみ) |
| 冷凍 | ◯ (冷凍庫) |
| 特徴 | 耐熱トップテーブル、霜取り用ヘラ付属 |
【結論】迷ったらどれを選ぶべき?
迷ったら「アイリスオーヤマ IRSD-5A-W」がおすすめ!
もし、どの45Lクラスにするか迷ったら『アイリスオーヤマ IRSD-5A-W』を選べば間違いありません。
「静音性」ではペルチェ式に劣るものの、老人ホームでの使用に最も求められる「45L」というサイズ感、氷を作れる「製氷室」、そして「左右のドア開きが選べる」という設置の汎用性を兼ね備えています。価格と機能のバランスが最も取れた、定番の安心モデルと言えるでしょう。
冷蔵庫使用時の注意点(食品管理と衛生面)
冷蔵庫を設置した後も、安全に使用するためのルールがあります。特に高齢者の場合、食中毒のリスクを避けるためにも衛生管理は重要です。
食品のラベリング(名前、日付)を徹底する
特に共有冷蔵庫を使う場合は必須ですが、個室の冷蔵庫でも「いつ購入したものか」が分かるよう、日付を記入する習慣をつけましょう。
定期的な清掃と整理整頓
月に一度は、中身をチェックし、棚などを清掃しましょう。飲みこぼしなどは、すぐに拭き取るようにします。
消費期限の管理(古いものは廃棄する)
消費期限や賞味期限が切れた食品は、ためらわずに廃棄してください。見た目や匂いに異常がなくても、食中毒の原因になることがあります。
詰め込みすぎに注意(冷気の循環)
冷蔵庫内に食品を詰め込みすぎると、冷気の循環が悪くなり、適切に冷却できなくなります。適度なスペースを空けるよう心掛けましょう。

よくある質問 (Q&A)
A. 施設の規定やお部屋のスペースによります。個別に45Lサイズを1台ずつ持つことも、上記で紹介したような90Lサイズを1台共有することも考えられます。まずは施設にご相談ください。
A. 飲み物やアイス以外に冷凍食品なども日常的に保存したい場合は、90L前後の2ドアタイプが最適です。上記で紹介した「WINCOD TH-87L2」や「ORIGINAL BASIC BR-85A」のようなモデルが選択肢になります。ただし、45Lクラスより設置スペースが必要で、作動音も大きくなる傾向がある点は考慮しましょう。
A. 直冷式の場合、使用状況や季節によりますが、3〜5ヶ月に1回程度が目安です。霜が1cm以上の厚さになったらお手入れのサインです。(※ペルチェ式やファン式は不要です)
A. 静音性と手入れの楽さ(霜取り不要)を最優先するなら「ペルチェ式」(ただし冷凍不可)、アイスや製氷もしたいなら「直冷式」(ただし霜取り必要)がおすすめです。
A. 小型冷蔵庫(100L未満)の場合、モデルにもよりますが1ヶ月あたり350〜500円程度が目安です。省エネ基準達成率の高いモデルを選ぶと、電気代をより抑えることができます。
A. 静音性を重視して選ぶことが重要です。作動音がほぼないとされる「ペルチェ式」を選ぶか、直冷式でも「アイリスオーヤマ」や「COMFEE’」など静音設計(目安25dB以下)を謳っているモデルを選ぶと、睡眠の妨げになりにくいでしょう。
A. 冷蔵庫は運転時に熱を放出するため、壁や家具から適切な放熱スペース(左右・背面・上部など)を空ける必要があります。必要なスペースは製品によって異なるため、必ず取扱説明書を確認してください。スペースが足りないと、冷却効率が落ちて電気代が上がったり、故障の原因になったりします。
A. 施設によっては、備え付けの冷蔵庫が各部屋にある場合や、有料のレンタルサービスを提供している場合があります。持ち込みを検討する前に、必ず施設にご確認ください。
A. 施設ごとに規定が異なります。持ち込み自体は無料でも、月額の電気代として実費(数百円程度)を請求される場合があります。入居前に確認しておきましょう。
A. 冷蔵庫の天板(トップテーブル)が「耐熱仕様(耐熱100℃など)」であり、かつ「耐荷重(30kgまでなど)」の範囲内であれば設置可能です。製品の仕様を必ずご確認ください。
まとめ
老人ホームの個室で使う冷蔵庫選びは、ご家庭で使うものとは少し視点が異なります。最も重要なのは、ワンルームでも快適に過ごせる「静音性」、そして置き場所に困らない「サイズ(45L前後のコンパクト型、または90L前後の冷凍室付き)」です。
その上で、
- 音と手入れの楽さを取り、冷凍を諦めるか(ペルチェ式)
- 氷や製氷(短期保存)ができ、左右開きも選べるバランス型を選ぶか(45Lクラスの直冷式)
- 冷凍食品(長期保存)のために、霜取りの手間と少しの作動音を受け入れるか(90Lクラスの直冷式2ドア)
という選択になります。
まずは、入居される施設に持ち込みのルール(サイズや消費電力の制限)を必ず確認してください。その上で、ご本人が冷蔵庫に何を保存したいのか、ご家族が霜取りなどをサポートできるのかを話し合い、最適な一台を見つけてください。
この記事が、ご本人にとって快適で安心な個室環境づくりのお役に立てれば幸いです。



![[山善] 46L (YFR-51(W))](https://kaden-no-iroha.com/wp-content/uploads/2025/10/41e7w5SU7dS._AC_SX522_-289x300.jpg)

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