「手軽で便利そう!」と思って購入した電動キックボード。でも、意外と乗る機会がなかったり、新しいモデルに買い替えたりして、古いものが家の隅で眠っていませんか?
いざ捨てようと思っても、「これって粗大ゴミでいいの?」「ナンバープレートが付いてるけど、手続きは必要?」「バッテリーはどうすれば…?」と、次々に疑問が浮かんでくるものです。
普通のキックボードとは違い、電動キックボードは法律上の扱いやバッテリーの存在から、処分方法が少し複雑になります。間違った方法で捨ててしまうと、思わぬトラブルや罰則の対象になる可能性もゼロではありません。
この記事では、そんなお悩みを抱えるあなたのために、電動キックボードの正しい処分方法を徹底解説します。自治体の粗大ゴミとして捨てる手順から、売却や譲渡、便利な不用品回収業者の活用法まで、5つの選択肢を詳しくご紹介。さらに、処分前に必ず行わなければならない廃車手続きやバッテリーの安全な処分方法についても、どこよりも分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたの状況に最適な処分方法が必ず見つかり、スムーズかつ安全に電動キックボードを手放せます。ぜひ、参考にしてください。
電動キックボードは粗大ゴミで処分できる?
まず最初に、最も気になる「電動キックボードは粗大ゴミとして捨てられるのか?」という疑問にお答えします。結論から言うと、多くの自治体で粗大ゴミとして処分が可能です。
結論:多くの自治体で「粗大ゴミ」として扱われます
粗大ゴミの定義は自治体によって異なりますが、一般的には「一辺の長さが30cmを超えるもの」や「指定のゴミ袋に入らないもの」などが対象となります。電動キックボードは、ほとんどの場合このサイズ基準を超えるため、粗大ゴミに分類されます。
ただし、ルールは自治体ごとに微妙に異なるため、必ずお住まいの地域のルールを確認することが重要です。
例えば、福岡市では、「市の指定袋に入れて口が結べない大きさのもの」が粗大ごみと定義されています。そのため、ほとんどの電動キックボードは粗大ごみになります。一方で、千葉県柏市のように金属資源として「資源品」に分類する自治体もあります。

【参考】主要都市における電動キックボードの分別区分と料金
参考までに、東京都23区の例を見てみましょう。多くの区で「キックボード」は粗大ゴミとして扱われ、料金は400円程度に設定されています。(※2025年9月現在の情報です。最新の情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。)
自治体(東京都) | 分別 | 処理費用(目安) | 申し込み方法 |
---|---|---|---|
千代田区 | 粗大ごみ | 300円 | 電話・インターネット |
中央区 | 粗大ごみ | 400円 | 電話・インターネット |
港区 | 粗大ごみ | 400円 | 電話・インターネット |
新宿区 | 粗大ごみ | 400円 | 電話・インターネット |
渋谷区 | 粗大ごみ | 400円 | 電話・インターネット |
世田谷区 | 粗大ごみ | 400円 | 電話・インターネット |
品川区 | 粗大ごみ | 300円 | 電話・インターネット |
目黒区 | 粗大ごみ | 400円 | 電話・インターネット |
大田区 | 粗大ごみ | 400円 | 電話・インターネット |
このように、同じ東京都内でも料金に違いがあります。必ずご自身の自治体の「粗大ごみ受付センター」のウェブサイトを確認するか、電話で問い合わせて正確な情報を入手してください。
粗大ゴミとして処分する具体的な手順
自治体の粗大ゴミとして処分する場合、一般的に以下の手順で進めます。
- 自治体の粗大ごみ受付センターに申し込む
電話またはインターネットで申し込みます。その際、品目(キックボード)、サイズ、数量などを伝えます。ここで、収集日、場所、料金が案内されます。 - 有料粗大ごみ処理券を購入する
案内された料金分の「有料粗大ごみ処理券(シール)」を、お近くのコンビニやスーパー、郵便局などで購入します。 - 処理券を貼り、指定場所に出す
処理券に受付番号や氏名を記入し、電動キックボードの見やすい場所に貼り付けます。そして、指定された収集日の朝、指定された場所に出しておきます。
また、自治体によっては、ゴミ処理施設(クリーンセンターなど)に自分で直接持ち込むことも可能です。この場合、収集を待つ必要がなく、費用が少し安くなることがあります。車で運搬できる方は、こちらの方法も検討してみると良いでしょう。

【重要】電動キックボードの処分前の必須手続き
「よし、粗大ゴミの申し込みは済んだ!」と安心するのはまだ早いです。電動キックボードを処分する前には、法律で定められた重要な手続きが複数あります。これを怠ると、後々非常に面倒なことになる可能性がありますので、必ず行いましょう。
① 廃車手続き(ナンバープレート返納)
2023年7月の道路交通法改正により、多くの電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という車両に分類されました。つまり、法律上はバイクや車と同じ「車両」の扱いなのです。
お持ちの電動キックボードが、最高速度20km/h以下などの基準を満たす「特定小型原付」か、それを超える「一般原付」かによって、必要な免許やルールが異なります。処分時の手続きは基本的に同じですが、ご自身の車両区分を正しく把握しておくことが大切です。
公道を走行する車両にはナンバープレートの装着が義務付けられています。そして、このナンバープレートが付いた車両を処分する際には、「この車両はもう使いません」という公的な届出、すなわち「廃車手続き」が必要になります。
もしこの手続きをしないまま処分し、万が一、第三者の手に渡って犯罪などに使われてしまった場合、元の所有者であるあなたに警察から連絡が来るなど、あらぬ疑いをかけられる危険性があります。
- 手続き場所:ナンバープレートを交付された市区町村の役所の担当窓口(軽自動車税担当課など)
- 必要なもの:
- ナンバープレート
- 標識交付証明書(登録時に受け取った書類。紛失した場合は窓口で相談)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑
窓口で「軽自動車税(種別割)廃車申告書兼標識返納書」という書類に記入・提出すれば、手続きは完了です。「廃車証明書」が発行されるので、大切に保管しておきましょう。
② 自賠責保険の解約
廃車手続きと合わせて、忘れてはならないのが「自賠責保険」の解約です。公道を走る電動キックボードは自賠責保険への加入が義務付けられています。
廃車した場合は、この保険を解約することができます。残りの契約期間によっては、支払った保険料の一部が「還付金」として戻ってくる可能性があります。これは見逃せないポイントですよね。
- 手続き場所:加入している保険会社の窓口やウェブサイト、電話などで手続きします。
- 必要なもの:廃車証明書、保険証明書、振込先口座情報など。
契約している保険会社に連絡し、「電動キックボードを廃車したので解約したい」と伝えれば、必要な手続きを案内してくれます。
③ 防犯登録の抹消
最後に、自転車と同じように「防犯登録」をしている場合は、こちらの抹消手続きも行いましょう。これも所有者情報を更新し、将来のトラブルを避けるために重要です。
- 手続き場所:警察署、交番、または防犯登録所(自転車販売店など)
- 必要なもの:防犯登録カード(お客様控え)、本人確認書類、抹消したい電動キックボード本体(求められる場合がある)

電動キックボードのバッテリー処分時の注意点
本体の処分方法と手続きがわかったところで、次なる関門が「バッテリー」です。電動キックボードの心臓部であるリチウムイオンバッテリーは、本体とは別に、特別な方法で処分しなければなりません。
絶対にNG!バッテリーを本体と一緒に捨ててはいけません
リチウムイオンバッテリーは、強い衝撃が加わったり、破損したりすると、発火・爆発する危険性があります。ゴミ収集車や処理施設での火災原因の多くが、このリチウムイオンバッテリーの誤った処分によるものとされています。
そのため、絶対に電動キックボード本体に取り付けたまま粗いゴミに出したり、一般のゴミと一緒に捨てたりしないでください。これは、安全に関わる非常に重要なルールです。
正しいバッテリーの処分方法
取り外したバッテリーは、リサイクルが義務付けられています。以下のいずれかの方法で正しく処分しましょう。
- 一般社団法人JBRCの回収協力店に持ち込む
JBRCは、小型充電式電池のリサイクル活動を推進している団体です。家電量販店やホームセンターなどに設置されている「小型充電式電池リサイクルBOX」に入れることで、安全にリサイクルされます。お近くの回収協力店は、JBRCの公式サイトから簡単に検索できます。 - 電動キックボードを購入した販売店に相談する
購入したお店や、電動キックボードを取り扱っている自転車店などでは、古いバッテリーの引き取りサービスを行っている場合があります。 - 自治体の回収方法に従う
自治体によっては、独自の回収拠点(危険ごみの収集日や特定の施設など)を設けている場合があります。お住まいの自治体のホームページで確認してみてください。
バッテリーが取り外せない場合:一部のモデルではバッテリーが本体と一体化しており、簡単に取り外せないことがあります。この場合は絶対に無理に分解しようとせず、メーカーのサポートセンターや購入した販売店、または専門の不用品回収業者に相談してください。

捨てるだけじゃない!電動キックボードの処分方法4選
ここまでは「粗大ゴミ」として捨てる方法を解説してきましたが、まだ使える状態の良い電動キックボードなら、捨てるのはもったいないですよね? ここからは、捨てる以外の処分方法を4つご紹介します。
①リサイクルショップで買い取ってもらう
人気ブランドのモデルや、購入してから日が浅く状態の良いものであれば、リサイクルショップで買い取ってもらえる可能性があります。特に、セグウェイのような電動バランススクータータイプは需要が高く、高値がつくこともあります。
- メリット:その場で現金化できる。面倒な梱包や発送の手間がない。
- デメリット:フリマアプリなどに比べて買取価格は安くなる傾向がある。
- ポイント:持ち込む前にきれいに掃除し、充電器や説明書などの付属品を揃えておくと査定額アップに繋がります。
②フリマアプリやネットオークションで売る
メルカリやヤフオクなどのプラットフォームを使えば、リサイクルショップよりも高値で売れる可能性があります。自分で価格を設定できるのが最大の魅力です。
- メリット:自分の希望価格で売れる可能性がある。
- デメリット:写真撮影、説明文作成、梱包、発送など、全て自分で行う手間がかかる。
出品を成功させるには、魅力的な写真や詳細な説明文、適正な価格設定が重要です。また、売却・譲渡の際も、必ず廃車手続きと防犯登録の抹消は済ませておきましょう。次の所有者のためにも、トラブルを未然に防ぐためのマナーです。
③知人・友人に譲る、または寄付する
もし身近に欲しがっている人がいれば、譲るのが一番手軽な方法です。また、地域の掲示板サービス「ジモティー」などを利用すれば、近所で引き取り手が見つかるかもしれません。
さらに、NPO法人などの寄付団体を通じて、必要としている人や施設に届けるという選択肢もあります。社会貢献にも繋がり、気持ちよく手放すことができます。
④不用品回収業者に依頼する
「手続きが面倒」「すぐに処分したい」「他にも捨てたいものがたくさんある」…そんな方には、不用品回収業者の利用が最もおすすめです。
- メリット:電話一本で最短即日に回収に来てくれる。面倒な手続きの相談や運び出しは全てお任せ。他の不用品もまとめて処分できる。
- デメリット:自治体の粗大ゴミに比べて費用は高くなる。
専門業者に依頼すれば、重い本体の運び出しやバッテリーの分別といった手間から一切解放されます。状態が良ければ、その場で買取に変更してくれる業者もあり、処分費用と相殺してお得になるケースもあります。
手間なく処分!不用品回収業者の賢い選び方
不用品回収業者は非常に便利ですが、残念ながら中には高額な料金を請求する悪徳業者も存在します。安心して任せられる、優良な業者を選ぶためのポイントをご紹介します。
信頼できる業者の見分け方3つのポイント
トラブルを避けるために、以下の3つのポイントを必ずチェックしましょう。
- 許可の有無を確認する
家庭の不用品を回収するには、自治体の「一般廃棄物収集運搬業許可」またはその委託が必要です。また、買取を行う場合は「古物商許可」が必須です。これらの許可番号が会社のウェブサイトに明記されているか確認しましょう。 - 料金体系が明確である
作業前に必ず、料金の内訳が書かれた明確な見積書を提示してくれる業者を選びましょう。見積もり後の追加料金の有無も確認することが大切です。「無料回収」を謳う業者には特に注意が必要です。 - 会社の所在地や連絡先がはっきりしている
ウェブサイトに会社の住所、固定電話の番号がきちんと記載されているかを確認します。所在地が不明確だったり、連絡先が携帯電話番号だけだったりする業者は避けた方が無難です。
地域に密着した業者を選ぼう
不用品回収業者は、対応エリアが決まっていることがほとんどです。お住まいの地域で実績があり、評判の良い業者を選ぶのが成功の秘訣です。
例えば、関東エリアなら「お助けうさぎ」、東海エリアなら「出張回収センター」のように、各地域に根ざした優良な業者が存在します。口コミサイトや比較サイトも参考にしながら、ご自身の地域で信頼できるパートナーを見つけましょう。
電動キックボードの処分に関するQ&A
まとめ:電動キックボードの処分は手続きと分別が鍵!
今回は、電動キックボードの処分方法について徹底解説しました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
- 電動キックボードは、多くの場合「粗大ゴミ」として処分できるが、自治体のルール確認が必須。
- 処分前には、①廃車手続き、②自賠責保険の解約、③防犯登録の抹消という3つの手続きを必ず行う。
- 発火の危険があるバッテリーは本体から取り外し、リサイクル協力店などで別途正しく処分する。
- 処分方法は、「粗大ゴミ」「売却」「譲渡・寄付」「不用品回収業者」など、状況に応じた選択肢がある。
- 手間なく、安全に、すぐに処分したい場合は、信頼できる不用品回収業者への依頼が最も効率的。
使わなくなった電動キックボードを正しく処分することで、スペースが生まれるだけでなく、安全上のリスクや将来のトラブルも防げます。この記事を参考に、あなたのライフスタイルや状況に合った最適な方法を選んで、スッキリと片付けてしまいましょう。