突然テレビが勝手についたり消えたりする症状、とても困りますよね。
「もしかして故障?」「もう寿命なのかな?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
その症状、実は寿命や故障ではなく、簡単な設定ミスや一時的な不具合が原因かもしれません。
この記事では、テレビがついたり消えたりする原因が寿命なのか、それとも他の要因なのかを切り分ける方法を網羅的に解説します。すぐに試せる簡単な対処法から、修理と買い替えの適切な判断基準まで、あなたの悩みを解決する情報をお届けします。
テレビがついたり消えたりする主な原因8選
テレビの電源が不安定になる原因は、寿命や故障だけではありません。以下の8つのポイントを順番に確認してみましょう。
原因1:省エネやタイマーの設定
最もよくある原因の一つが、「無操作電源オフ」や「スリーブタイマー」などの省エネ・タイマー設定です。
一定時間リモコン操作がないと自動的に電源が切れる機能が、意図せず作動している可能性があります。また、「オンタイマー」が設定されていると、決まった時間に勝手に電源が入ることもあります。
原因2:HDMI機器連動(CEC機能)の誤作動
ブルーレイレコーダー、サウンドバー、ゲーム機などをHDMIケーブルで接続していませんか?
HDMI連動機能(CEC機能)がオンになっていると、接続機器の電源がオフになった際に、テレビの電源も連動して切れることがあります。レコーダーの自動録画終了時や、サウンドバーのオートオフ機能作動時などに発生しやすいです。
原因3:本体ソフトウェアの一時的な不具合
最近のスマートテレビは、内部のソフトウェア(プログラム)で動作しています。
長時間の使用や通信エラーにより、ソフトウェアが一時的な不具合を起こし、電源が不安定になることがあります。これは、スマートフォンの調子が悪いときに再起動するのと同じ原理です。また、ソフトウェアが古いバージョンのままだと、不具合が修正されていない可能性もあります。
原因4:B-CASカードの接触不良
地デジやBS/CS放送を視聴するための「B-CASカード(またはmini B-CASカード)」の接触不良も原因となります。
カードが正しく挿入されていない、またはICチップ部分にホコリや汚れが付着していると、テレビが信号を正しく読み取れず、電源のオンオフを繰り返すなどの誤作動を起こすことがあります。
原因5:アンテナレベル(受信電波)の不安定
電波の受信状況が不安定な場合も、症状を引き起こすことがあります。
悪天候(強風や大雨)の影響や、アンテナケーブルの接続不良、アンテナの向きのズレなどによって受信レベルが低下すると、映像が途切れるだけでなく、テレビ本体の動作が不安定になることがあります。
原因6:リモコンの不具合や電池切れ
リモコン側の不具合も見落としがちです。
リモコンの電源ボタンが押されたままになっていたり(隙間にゴミが挟まるなど)、内部でショートしていたりすると、誤作動を起こします。また、電池が切れかけていると、予期せぬ信号が発信されることもあります。
原因7:電源ケーブルやタップの問題
基本的なことですが、電源ケーブルの接続不良も確認が必要です。
- 電源プラグがコンセントから抜けかけている
- テレビ本体側のケーブルが緩んでいる
- 電源タップ(延長コード)が故障・劣化している
特に電源タップは、タコ足配線による電力不足や、タップ自体の劣化で動作が不安定になることがあります。
原因8:内部基盤の故障や劣化(寿命)
上記7つすべてに当てはまらない場合、テレビ本体の寿命や故障が疑われます。
テレビの通気口から侵入したホコリが基盤に蓄積し、熱がこもって(熱暴走)誤作動を起こすケース。または、長年の使用により、電源を制御する電源基盤やメイン基盤の部品(コンデンサなど)が劣化し、正常に動作しなくなった可能性が高いです。
すぐに試せる!テレビがついたり消えたりする時の対処法7選
原因が特定できなくても、簡単な対処法で改善するケースは多くあります。以下の手順を上から順番に試してみてください。
対処法1:テレビ本体の再起動(リセット)
最も簡単で効果的な方法が「再起動(リセット)」です。ソフトウェアの一時的な不具合や、本体に溜まった不要な電気を放電させる(リセットする)ことができます。
- テレビ本体の主電源を切り、電源プラグをコンセントから抜く
- 接続している周辺機器(レコーダー、外付けHDDなど)の電源もすべて切る
- そのまま1分~2分ほど待つ
- 先にテレビの電源プラグをコンセントに差し込み、電源を入れる
- テレビが完全に起動してから、周辺機器の電源を入れる
※Android TV / Google TV 搭載モデルの場合、リモコンの電源ボタン長押しで「再起動」が選択できる機種もあります。
対処法2:省エネ・タイマー設定の見直し
意図しない設定がオンになっていないか確認します。リモコンの「設定」メニューから、以下の項目を探し、不要であればすべて「オフ」「しない」に設定してください。
- 無操作電源オフ(例:3時間操作しないとオフ)
- スリーブタイマー(おやすみタイマー)
- オンタイマー(おはようタイマー)
- 人感センサー(ムーブセンサー)
- 照明オフ連動

対処法3:HDMI機器連動(CEC機能)をオフにする
周辺機器との連動が原因の場合、この設定をオフにすることで解決します。
設定メニュー内の「HDMI設定」や「外部機器設定」などを確認し、「HDMI機器制御」「HDMI連動」といった項目を「オフ(しない)」に変更します。(例:ブラビアリンク、ビエラリンク、レグザリンクなど)
対処法4:B-CASカードの抜き差しと清掃
接触不良を改善します。必ずテレビの電源をオフにしてから作業してください。
- テレビの主電源を切り、電源プラグを抜く
- B-CASカードをスロットからゆっくり引き抜く
- ICチップ部分(金色の部分)を、乾いた柔らかい布(メガネ拭きなど)で優しく拭く
- カードの挿入向き(裏表)を確認し、奥までしっかり挿入する
- 電源プラグを差し込み、電源を入れる
対処法5:ソフトウェアのアップデート
ソフトウェアのバグが原因の場合、最新バージョンに更新することで改善されます。
テレビをインターネットに接続した状態で、設定メニューから「システム情報」「バージョン情報」「ソフトウェア更新」などを探し、手動でアップデートを実行してください。
対処法6:リモコンの電池を抜く(交換する)
リモコンの不具合が疑われる場合は、一度リモコンの電池を全て抜いてみてください。その状態で症状が収まるなら、リモコンが原因です。
新しい電池に交換するか、リモコンのボタンが汚れていないか(押したままになっていないか)確認・清掃してみましょう。
対処法7:電源とアンテナ配線の確認
電源タップを使用している場合は、一度テレビのプラグを壁のコンセントに直接挿して、症状が改善するか試してみましょう。これで改善すれば、電源タップの故障や電力不足が原因です。
また、テレビ裏のアンテナケーブルが、テレビ側・壁側ともに緩んでいないか、しっかり締め直してみてください。
テレビの寿命を示すサイン
「ついたり消えたり」する症状以外にも、以下のようなサインが現れている場合、テレビの寿命が近い可能性があります。対処法を試しても改善しない場合は、これらの症状がないか確認してください。
画面が暗くなる・線が入る
電源を入れても画面が以前より暗い、または明るさのムラがある場合、バックライト(液晶テレビの場合)やパネル自体の劣化が考えられます。画面に縦線や横線が入る場合も、内部の部品が寿命を迎えているサインです。
電源が入りにくい・反応が遅い
リモコンの電源ボタンを押しても、電源が入るまでに時間がかかったり、何度も押さないと反応しなかったりする場合、電源基盤が劣化している可能性があります。
音声にノイズが入る・聞こえない
映像は映るのに、音声が途切れたり、「ザー」というノイズが入ったり、全く聞こえなくなったりする症状です。スピーカーや音声回路の故障が考えられます。
焦げ臭い匂いがする
テレビ本体からプラスチックが焦げたような匂いがする場合は、非常に危険な状態です。内部の基盤や部品がショートしている可能性が高いため、直ちにコンセントから電源プラグを抜き、使用を中止してください。
テレビの平均寿命と種類別の目安
対処法を試しても改善しない場合、やはり本体の寿命が考えられます。一般的な寿命の目安を知っておきましょう。
平均使用年数は約10年
内閣府が発表している「消費動向調査」によると、カラーテレビ(二人以上の世帯)の平均使用年数は約10年となっています。(参照:内閣府 経済社会総合研究所 景気統計部「消費動向調査」)
また、買い替えの理由の約6割が「故障」であることから、多くのテレビが10年前後で何らかの不具合を迎え、買い替えられていることがわかります。
液晶テレビの寿命目安
現在主流の液晶テレビの寿命は、約7年~10年(視聴時間にして約3万~6万時間)と言われています。
寿命の主な原因は、画面を照らす「バックライト」の劣化です。バックライトが劣化すると、画面が暗くなったり、電源が不安定になったりします。
有機ELテレビの寿命目安
有機ELテレビは、画素自体が発光するためバックライトがありません。寿命の目安は約10年(視聴時間にして約3万時間程度)と言われています。
液晶テレビと寿命時間に大差はありませんが、有機ELパネルは「焼き付き(同じ映像を長時間表示すると跡が残る現象)」が起こりやすいという特性があります。
修理と買い替えの判断基準
寿命が近いと判断した場合、「修理」すべきか「買い替え」すべきか悩みますよね。判断基準は「使用年数」と「費用」です。
目安は使用年数8年
一つの大きな判断基準は「使用年数8年」です。
テレビメーカーは、修理に必要な「補修用性能部品」を、その製品の製造打ち切り後8年間保有することが義務付けられています。(参照:公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会)
そのため、購入から8年以上経過していると、修理に必要な部品がなく、修理自体が不可能な場合があります。
メーカーの部品保有期間を確認
8年はあくまで最低保有期間です。人気機種などは長く部品を持っている場合もあります。まずはご使用のテレビメーカーの公式サイトで、お使いの型番の修理対応がまだ可能かを確認してみましょう。
修理費用の相場と比較する
修理可能な場合でも、費用を確認することが重要です。一般的に、電源基盤の交換には1万5千円~4万円程度、液晶パネルの交換となると10万円以上かかるケースもあります。
もし使用年数が7~8年を超えており、修理費用が3万円を超えるようであれば、買い替えを検討する方が賢明と言えるでしょう。なぜなら、一箇所を修理しても、近い将来、別の部品が寿命を迎えて再び故障するリスクが高いためです。
| 使用年数 | 推奨される対応 |
|---|---|
| 5年未満 | 保証期間内か確認(メーカー保証・延長保証)。修理を検討 |
| 5年~8年 | 修理見積もりを取得。修理費用が安ければ修理 |
| 8年以上 | 部品保有期間が終了している可能性あり。買い替えを推奨 |
よくある質問(Q&A)
電源ランプの点滅は、テレビ本体が何らかの異常を検知しているサインです。
点滅回数によって、故障箇所(基盤、パネルなど)を示している場合があります。メーカーの公式サイトや取扱説明書で、点滅回数が何を示すかを確認してください。多くの場合、自己対処は難しく、修理が必要なサインとなります。
はい、あります。特にシャープ(AQUOS)など一部のメーカーの機種には、省エネ機能として「ムーブセンサー(人感センサー)」や「照明オフ連動」が搭載されています。
部屋に人がいないと判断したり、部屋の電気が消えたりすると自動で電源がオフになるため、故障と勘違いすることがあります。対処法2で解説した通り、設定メニューからこれらの機能がオンになっていないか確認してみてください。
テレビの寿命は使い方によっても変わります。以下の点に気をつけることで、長く快適に使用できる可能性が高まります。
- 直射日光が当たる場所や、湿気が多い窓際を避けて設置する
- 壁にピッタリつけすぎず、熱がこもらないよう隙間を空ける
- 定期的に通気口周りのホコリを掃除する
- 寝る時や長時間見ない時は、主電源からオフにする

まとめ:まずは簡単な対処法から試してみよう
テレビがついたり消えたりする症状について、原因と対処法を網羅的に解説してきました。最後に、この記事の要点をまとめます。
- 原因は「設定ミス」「接続機器の連動」「B-CASカード」「ソフトウェア」「本体故障(寿命)」など多岐にわたる
- まずは「電源プラグの抜き差し(再起動)」を試すのが最も効果的
- 次に「省エネ・タイマー設定」「HDMI連動」「B-CASカード」を確認する
- テレビの平均寿命は約10年。「画面が暗い」「電源が入りにくい」などの症状が併発していれば寿命のサイン
- 使用8年以上、または修理費が高額になる場合は、買い替えがおすすめ
テレビの不調は突然起こると焦ってしまいますが、まずは落ち着いて自分でできる対処法を試してみてください。もし症状が改善せず、使用年数も長いようであれば、最新の省エネ・高画質テレビへの買い替えを検討する良い機会かもしれません。
