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カメラのヘリコイドとは?ピントリングとの違いや仕組みを徹底解説!

カメラのヘリコイドとは?ピントリングとの違いや仕組みを徹底解説!
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中古レンズを探していると、「ヘリコイドの動作はスムーズです」といった説明文を見かけることはありませんか?

「ヘリコイドって何のことだろう?」「ピントリングとは違うの?」と疑問に思った方も多いかもしれません。

実はこのヘリコイド、快適なピント合わせに欠かせない、とても重要なパーツなんです。

この記事では、カメラのヘリコイドとは何か、その仕組みやピントリングとの違い、そしてなぜ重要なのかを、専門用語を避けつつ分かりやすく解説します。最後まで読めば、レンズ選びの新たな視点が手に入りますよ!

【執筆者】
大谷

家電ライター/家電製品アドバイザー
ライターとして5,000記事以上執筆し、自身のサイトは月間11万PVを達成。
多数の専門家と連携し、多角的な視点を取り入れた質の高いコンテンツ制作を常に心掛けている。

カメラの「ヘリコイド」とは?一言でいうと…

結論から言うと、カメラのヘリコイドとは「レンズを前後に動かしてピントを合わせるための、螺旋(らせん)状の部品・機構」のことです。

私たちがピントリングを回すと、レンズがスーッと前に出たり、後ろに下がったりしますよね?あの回転運動を、直進運動に変えているのがヘリコイドの役割です。

日本語では「螺旋体」と訳され、カメラの世界では一般的に「多条ネジ(たじょうねじ)」という特殊なネジで構成されたピント調整機構全体を指します。まさに、レンズのスムーズな動きを支える縁の下の力持ちと言える存在です。

ヘリコイドの仕組みを支える「多条ネジ」の秘密

ヘリコイドの滑らかな動きの秘密は、「多条ネジ」にあります。普通のネジと何が違うのでしょうか?

「1条ネジ」と「多条ネジ」の違い

普段目にする多くのネジは、ネジの頭から先端まで1本の溝が続く「1条ネジ」です。

これに対し「多条ネジ」は、1本の軸に複数のネジ山(溝)があるのが特徴です。たとえば、2本の溝があれば「2条ネジ」、3本なら「3条ネジ」と呼ばれます。

なぜ、わざわざ複数の溝があるのでしょうか?

その最大のメリットは、「少ない回転で、より大きく動かすことができる」点にあります。1条ネジに比べて、2条ネジなら2倍、3条ネジなら3倍の距離を動かせます。

もしカメラのレンズが1条ネジだったら、ピントを合わせるのに何回もリングをグルグル回さなければなりません。その間に、撮りたかった一瞬は過ぎ去ってしまいますよね…。多条ネジであるヘリコイドのおかげで、私たちは素早いピント合わせができ、シャッターチャンスを逃さずに済むのです。

なぜグリースが重要なのか?

ヘリコイドがスムーズに動くためには、金属同士の摩擦を減らす潤滑油である「グリース」が欠かせません。

しかし、このグリースは時間と共に劣化したり、乾いてしまったりします。グリースが劣化すると、次のような症状が現れます。

  • 固着: 動きが固くなり、ピントリングを回すのに強い力が必要になる。
  • スカスカ: 逆に軽くなりすぎて、トルク感のないスカスカな操作感になる。
固着してしまったレンズを無理に回すのは非常に危険です!ヘリコイド以外のネジが緩んだり、絞りなど内部の連動ピンが曲がったりと、思わぬ破損につながる可能性があります。動きが悪いと感じたら、無理せず専門の修理業者に相談しましょう。
逆にスカスカな状態も、ヘリコイドのネジ山を傷つけてしまう原因になることがあります。レンズにとって理想的なのは、適度な抵抗感(トルク感)がある、しっとり滑らかな動きです。

「ヘリコイド」「ピントリング」「ズームリング」の違いは?

カメラ初心者の方が特に混同しやすいのが、この3つのパーツの関係性です。それぞれの役割を整理してみましょう。

名称 役割
ピントリング ピントを合わせるために、私たちが手で直接回す操作部分です。
ズームリング 画角を変える(ズームイン・アウトする)ために手で回す操作部分です。(※単焦点レンズにはありません)
ヘリコイド ピントリングなどの回転を、レンズの前後運動に変えるカメラ内部の機構・部品です。

つまり、ピントリングは「操作する部分」、ヘリコイドは「動く仕組み」と覚えると分かりやすいです。私たちがピントリングを回すと、その力が内部のヘリコイドに伝わり、レンズが前後に動いてピントが合う、という流れになります。

厳密に言うと、ズームリングの回転をレンズの動きに変える機構にもヘリコイドが使われている場合があります。ですが一般的に「ヘリコイド」と言うと、ピント調整機構のことを指す場合がほとんどです。

ピント合わせの方式はヘリコイドだけじゃない?

ヘリコイドは非常に優れた機構ですが、ピント合わせの方法は他にもいくつか存在します。少しマニアックな話になりますが、知っておくとカメラへの理解がグッと深まりますよ。

レンズ全体を動かす「全群繰り出し方式」

ヘリコイドが使われる最も代表的な方式です。レンズを構成する全てのレンズ群(全群)を一体として前後に動かしてピントを合わせます。シンプルな構造で、昔ながらの単焦点レンズによく見られます。

この方式の中にも、レンズ鏡筒ごと回転しながら動く「回転ヘリコイド」と、鏡筒は回転せずに真っ直ぐ動く「直進ヘリコイド」があります。

レンズの一部を動かす「部分移動方式」

レンズ群の一部だけを動かしてピントを合わせる方式です。インナーフォーカス(IF)やリアフォーカス(RF)と呼ばれます。動かすレンズが小さくて済むため、オートフォーカス(AF)の高速化に繋がり、現在のAFレンズの主流となっています。

ボディ側が動く「バックフォーカシング」

非常に珍しい方式ですが、レンズを動かす代わりに、フィルムやイメージセンサーといった「撮像面」側を前後に動かしてピントを合わせる「バックフォーカシング」という機構も存在します。マミヤシックスやコンタックスAXといった、歴史的なカメラに採用例が見られます。

中古レンズ購入時にチェックしたいヘリコイドの状態

ヘリコイドの知識は、特に中古のMF(マニュアルフォーカス)レンズを選ぶ際に非常に役立ちます。購入前に以下のポイントをチェックしてみましょう。

  • リングがスムーズに、均一な力で回るか?
  • 重すぎたり、軽すぎたりしないか?
  • 回転の途中で引っかかりや、重さが変わる部分はないか?
  • 「キーキー」「ジャリジャリ」といった異音はしないか?

これらに問題がなければ、ヘリコイドの状態は良好と言えるでしょう。気持ちの良い操作感は、撮影のモチベーションにも繋がりますよね。

カメラのヘリコイドに関するよくある質問(Q&A)

Q1. ヘリコイドが固くなる一番の原因は何ですか?

A1. 長年の使用による内部のグリース劣化(粘度の上昇や乾燥)が最も多い原因です。また、稀に落下などの衝撃による歪みや、ホコリ・砂の侵入が原因の場合もあります。

Q2. ヘリコイドがスカスカになるのはなぜですか?

A2. これもグリースの劣化が原因です。グリースが油分と増粘剤(粘りを出す成分)に分離し、油分だけが流出してしまうと、潤滑性が失われてスカスカの感触になります。

Q3. ヘリコイドの修理は自分でできますか?

A3. 専門知識と工具が必要なため、おすすめできません。レンズは非常に精密な部品の集合体です。分解したものの元に戻せなくなったり、他の部品を破損させたりするリスクが高いため、専門の修理業者に依頼するのが賢明です。

Q4. ヘリコイドグリースの選び方はありますか?

A4. ヘリコイドグリースには様々な粘度(固さ)があります。レンズの大きさやヘリコイドの構造によって最適な粘度が異なるため、修理業者は数種類のグリースを使い分けたり、ブレンドしたりして調整します。

Q5. ヘリコイド付きマウントアダプターって何ですか?

A5. マウントアダプター自体にヘリコイド機構を内蔵したものです。これを使うと、装着したレンズの最短撮影距離よりも、さらに被写体に近づいて撮影できるようになります。いわば、簡易的な接写リングのような役割を果たします。

Q6. ズームリングの動きが悪いのもヘリコイドが原因ですか?

A6. ズーム機構にもヘリコイドやカムといった複雑な機構が使われているため、グリースの劣化などが原因で動きが悪くなることがあります。基本的な原因はピントのヘリコイドと同じと考えてよいでしょう。

Q7. 「直進ヘリコイド」のメリットは何ですか?

A7. レンズ鏡筒が回転しないため、PLフィルターや角形フィルターなど、フィルターの向きが重要なアクセサリーを使う際に非常に便利です。また、絞りリングなどが一緒に回転しないため操作性も向上します。

Q8. 古いレンズのヘリコイドは必ず劣化していますか?

A8. 必ずしもそうとは限りません。前の所有者が適切にメンテナンス(オーバーホール)を行っていれば、製造から数十年経ったレンズでも新品同様のスムーズさを保っている場合があります。

Q9. ヘリコイドの動きは写真の写りに直接影響しますか?

A9. ヘリコイドの動き自体が直接画質を左右することはありません。しかし、動きが固かったり、逆に軽すぎて意図せず動いてしまったりすると、精密なピント合わせが困難になり、結果的にピンボケ写真を量産してしまう可能性があります。

Q10. 最新のデジタルカメラにもヘリコイドは使われていますか?

A10. はい、使われています。オートフォーカスレンズの多くは、レンズ内のモーターがヘリコイド機構を動かしてピントを合わせています。マニュアルフォーカス時も、ピントリングの回転量を電気信号で検出し、モーターを介してヘリコイドを動かす「バイワイヤ方式」が主流です。

知識を活かして、自分に合ったカメラ選びを!

ヘリコイドのようなカメラの仕組みを知ると、機材への愛着が湧くだけでなく、自分に合ったカメラやレンズを選ぶ際の大きな助けになります。

「もっと色々なカメラを知りたい!」「自分に合う一台を見つけたい!」と感じた方もいるのではないでしょうか?

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まとめ:ヘリコイドはカメラの心臓部!仕組みを知ってカメラライフを豊かに

今回は、カメラの「ヘリコイド」について解説しました。

最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  • ヘリコイドは、レンズを前後に動かすための「螺旋(らせん)状の機構」
  • 少ない回転で大きく動かせる「多条ネジ」が、素早いピント合わせを実現している。
  • ピントリングは「操作部」、ヘリコイドは「内部機構」であり、役割が違う。
  • スムーズな動きには「グリース」が不可欠で、劣化すると動作不良の原因になる。

一見地味なパーツですが、ヘリコイドは私たちが思い通りにピントを合わせるために不可欠な、まさにカメラの心臓部の一つです。

こうした内部の仕組みを知ることで、レンズ一つ一つの操作感の違いがより面白く感じられるはずです。ぜひ、あなたがお持ちのレンズのヘリコイドの感触も、改めて味わってみてください。きっと、新たな発見がありますよ。

あなたのカメラライフが、もっと豊かで楽しいものになることを願っています!あなたの使っているレンズのヘリコイドはどんな感触ですか?もしよろしければ、コメントで教えてくださいね。

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