「やっとエアコンの取り付け工事日。でも、天気予報はあいにくの雨…」
「エアコンの取り付けを雨の日にしても大丈夫? 故障の原因にならない?」
楽しみにしていた工事日が雨予報だと、不安になりますよね。
結論から言うと、小雨程度であれば工事可能な場合が多いですが、雨量や作業環境によっては延期が推奨されます。
この記事では、エアコンの取り付けを雨の日に行う場合の可否、考えられる5つのリスクと影響、依頼する際の注意点、延期になった場合の対応まで詳しく解説します。この記事を読めば、あなたの状況で工事を強行すべきか、延期すべきかの判断基準が明確になります。
結論:エアコン取り付けは雨の日でも可能?
まず、読者が一番知りたい「雨の日に工事ができるのか」について、結論からお伝えします。
基本的には小雨なら工事可能
多くのエアコン工事業者は、小雨程度であれば基本的に工事を実施します。
特に、マンションやアパートのベランダ、戸建てでも軒先(のきさき)や屋根がある場所など、室外機の設置場所や作業スペースが雨に直接濡れない環境であれば、問題なく作業できると判断されることが多いです。
ただし、これはあくまで「作業ができる」というだけで、リスクがゼロになるわけではありません。リスクについては次の章で詳しく解説します。

最近のエアコンや部材は防水処理がされていますが、工事の「過程」で水分が混入するのが一番の問題です。作業環境が確保できるかがポイントですね。
工事が延期・中止になるケース
小雨でも、業者や現場の状況によっては延期になることがあります。特に以下のようなケースでは、安全や品質確保のために延期(日程変更)となる可能性が非常に高いです。
- 台風、暴風、豪雨、雷などの悪天候
- 室外機の設置場所が屋根のない場所で、雨ざらしになる
- 室外機を屋根の上や壁面に設置するなど、高所作業(はしご作業)が必要
特に高所作業は、雨で足元が滑りやすく作業員の転落事故につながる重大な危険があるため、ほとんどの業者で中止の判断が下されます。
雨の日のエアコン取り付け:5つのリスクと影響
「小雨なら大丈夫」と聞いても、やはり不安は残りますよね。ここでは、雨の日にエアコン取り付けを強行した場合に考えられる具体的なリスクと、エアコンへの影響を5つ解説します。
1. 配管への水分混入による故障リスク
最大のリスクは、エアコン内部の冷媒(ガス)が通る「配管」に雨水が混入することです。
配管の接続作業中に雨水や湿気が内部に入り込むと、その水分が原因でエアコン内部が凍結したり、冷媒の循環がうまくいかなくなったりします。
これにより、「エアコンの効きが悪くなる」「水漏れが発生する」「機械の寿命が縮まる」といった重大な故障の原因に直結します。
2. 重要な真空引きが不十分になる可能性
エアコンの取り付け工事では、「真空引き(エアパージ)」という作業が不可欠です。これは、専用のポンプを使って配管内部を真空状態にし、空気や水分を取り除く非常に重要な工程です。
しかし、雨の日は湿度が高く、もし配管内に水分が混入してしまった場合、通常の真空引き作業(晴天時で約15分)では水分を完全に除去しきれない可能性があります。
真空引きが不十分なままガスを充填すると、前述の故障リスクが格段に高まってしまいます。(大手エアコンメーカー各社は、設置時の真空引きを必須としています)

雨の日は真空引きの時間を通常より長く取る業者もいますが、それでも湿気が多いこと自体がリスクになります。この「真空引き」がエアコンの寿命を左右すると言っても過言ではありません。
3. 感電や漏電の危険性
エアコンは電気製品です。室外機周辺での電源接続作業中に、端子部分や工具、作業員の手が雨に濡れると、感電や漏電のリスクがあり非常に危険です。
また、濡れた手で作業することで、エアコン本体の電子基板をショートさせてしまう可能性もゼロではありません。
4. 作業員の安全と作業品質の低下
雨による視界不良や、濡れた工具・部材による作業効率の低下は、作業品質の低下につながる恐れがあります。
例えば、配管を壁に固定する作業や、雨水が入り込まないように配管の穴をパテで埋める作業が、雨の影響で雑になってしまう可能性も考えられます。
また、前述の通り、はしごや高所での作業は転落事故のリスクがあり、作業員の安全が最優先されます。
5. 室内や家財が濡れる・汚れる
作業員は室内と室外(ベランダなど)を何度も行き来します。
雨の日は、作業員の衣服や靴、持ち込む工具や部材が濡れているため、室内の床や壁、カーテンなどを濡らしたり汚したりする可能性があります。
もちろん、多くの業者は養生(保護シートなどで覆うこと)を徹底しますが、それでもリスクは高まります。
雨の日のエアコン工事を依頼する時の3つの注意点
もし雨の日に工事を行うことになった場合、以下の3つの点に注意し、業者としっかりコミュニケーションを取ることが重要です。
1. 業者に施工可否を必ず確認する
当日の天候が怪しい場合、まずは工事業者に「この天気でも工事は可能か」を電話で確認しましょう。
「小雨なので大丈夫ですよ」と言われた場合でも、「配管に水が入ったり、故障の原因になったりしないか心配なのですが」と、こちらの懸念を正直に伝えてみてください。
信頼できる業者であれば、雨天時の作業手順やリスク対策について説明してくれるか、あるいは「品質を保証できない可能性があるため、延期しませんか?」と提案してくれるはずです。
2. 室内が汚れないよう養生を依頼する
工事が実施される場合、室内での作業開始前に「雨で床や壁が汚れるのが心配なので、養生をしっかりお願いします」と一言伝えましょう。
特に、室外と室内をつなぐ動線(掃き出し窓の周辺など)は重点的に養生してもらうよう依頼すると安心です。
3. 室外機の作業環境への配慮を相談する
室外機の設置場所が雨ざらしになる場合は、作業中だけでもタープ(簡易的な屋根)を張るなどして、機材や配管接続部が極力濡れないよう配慮してもらえるか確認しましょう。
ただし、業者の安全規定や装備によっては対応できない場合もあります。その場合は無理強いせず、延期を検討するのが賢明です。
延期すべき?雨の日の工事の判断基準
結局のところ、延期すべきかどうかはどう判断すれば良いのでしょうか。一つの基準をまとめました。
積極的に延期を推奨するケース
以下の場合は、無理に工事を進めず、積極的に延期を検討(または業者に相談)してください。
- 台風や豪雨、雷注意報が出ている
- 室外機の設置場所が屋根のない場所で、雨が直接降りかかる
- 屋根置き、壁面設置、立ち下ろし(2階から1階へ配管)など、はしごや高所での作業が必要
工事を進めても問題ない可能性が高いケース
以下のような条件が揃っていれば、工事を進めても大きな問題はないと判断できます。
- 霧雨(きりさめ)や小雨程度で、風が強くない
- 室外機の設置場所が屋根のあるベランダ内などで、雨に濡れない
- 高所作業が必要ない
ただし、最終的な判断は工事業者とよく相談して決めるようにしてください。
もし工事が延期になった場合の対応
「延期は仕方ないとして、次はいつ来てくれるの?」というのは当然の疑問ですよね。延期が決定した際の対応について解説します。
繁忙期(夏・冬)の再予約について
エアコン工事の繁忙期(6月~8月、12月~1月)に天候理由で延期になると、次の予約が1〜2週間後、あるいはそれ以上先になってしまう可能性があります。
こればかりは工事業者のスケジュール次第なので、延期が決定した時点で「最短の再工事日はいつか」をすぐに確認し、日程を確保しましょう。
追加料金やキャンセル料はかかる?
一般的に、天候不良が理由での日程変更(延期)であれば、追加料金やキャンセル料は発生しません。
これは業者側の安全・品質判断、あるいは不可抗力によるものだからです。万が一、料金を請求されるようなことがあれば、契約内容を確認し、消費者センターなどに相談することも検討しましょう。
雨の日に備えて自分でできる準備
雨の日に工事が実施されるかどうかにかかわらず、事前にできる準備もあります。スムーズに作業してもらうために、以下の準備をおすすめします。
室内の作業スペース確保と養生
室内機の真下には脚立を立てて作業します。事前に家具や荷物を移動させ、作業スペース(最低でも畳1畳分)を確保しておきましょう。
また、濡れた作業員が出入りすることを想定し、汚れては困るカーペットや家具には、事前に新聞紙やビニールシートをかけておく(自分で養生しておく)と万全です。
ベランダ・室外機周辺の片付け
室外機を設置するベランダや家の周りに、植木鉢や荷物などが置いてある場合は、あらかじめ片付けておきましょう。雨の中、作業員がそれらを移動させる手間を省くことができ、作業がスムーズに進みます。
工事後のチェックポイントと保証
無事に工事が終わっても、雨の日だった場合は特に動作確認が重要です。また、保証についても確認しておきましょう。
試運転で確認すべきこと
工事完了後、業者の立ち会いのもとで必ず試運転を行います。以下のポイントを確認しましょう。
- 冷房・暖房が正常に効くか
- 室内機から異音や水漏れがないか
- 室外機が正常に作動しているか(異音がないか)
- (雨が直接かかった場合)配管接続部や電源部に異常がないか
雨天時の工事と保証(工事保証)の関係
「雨の日に工事したせいで壊れた」とならないか不安ですよね。
多くの工事業者は、製品本体の「メーカー保証(通常1年)」とは別に、設置工事の不備に対する「工事保証(1年〜10年程度、業者による)」を設けています。
雨の日の工事だからといって、この工事保証が適用外になることは通常ありません。万が一、設置後に「エアコンの効きが悪い」「水漏れする」といった不具合が出た場合は、雨の日に工事した旨を伝え、すぐに工事保証での点検・修理を依頼しましょう。
よくある質問(Q&A)
最後に、雨の日のエアコン取り付けに関してよく寄せられる疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1. 室内機だけの取り付けなら雨でも問題ない?
A1. エアコン工事は、室内機と室外機を配管で接続して初めて完了します。室内機を取り付ける作業自体は室内ですが、必ず室外での配管接続や真空引き作業が発生するため、「室内機だけ」の工事はあり得ません。
したがって、室外作業がある以上、雨の影響は必ず考慮する必要があります。
Q2. 業者から延期の連絡が来たらどうすればいい?
A2. 業者側から延期(日程変更)の打診があった場合は、快く受け入れることを強く推奨します。
業者が延期を提案するのは、「作業員の安全が確保できない」または「雨により工事品質が低下し、将来的な故障リスクがあると判断した」ためです。無理に工事を依頼しても、良い結果にはなりません。最短の再調整日を確認しましょう。
Q3. どうしても今日しか日程が合わない場合は?
A3. 「引っ越し当日」や「この日を逃すと長期間不在になる」など、やむを得ない事情もあるかと思います。
その場合は、まず業者に事情を説明してください。ただし、豪雨や高所作業など安全上明らかに危険な場合は、日程を再調整するしかありません。
小雨程度で業者が「作業は可能だが、リスクはある」と判断した場合、リスクを承知の上で依頼する選択肢もありますが、おすすめはできません。最終判断は業者とよく相談してください。
まとめ:雨の日のエアコン取り付けは安全と品質を最優先に
この記事では、雨の日のエアコン取り付けについて、リスクや注意点、延期になった場合の対応まで網羅的に解説しました。
エアコンの取り付け工事は、小雨で作業環境が良ければ可能ですが、水分混入による故障リスクや作業の危険性を伴います。特に「真空引き」という重要な工程に影響が出る可能性があるため、注意が必要です。
工事日が雨予報で不安な場合は、以下の行動を取りましょう。
- まずは工事業者に施工の可否とリスクを確認する。
- 台風、豪雨、高所作業の場合は、迷わず延期を検討する。
- 工事を行う場合は、養生や作業環境に配慮してもらう。
- 延期になったら、すぐに最短の再予約日を押さえる。
エアコンは一度設置すると10年以上使う大切な家電です。数日工事が遅れたとしても、万全の状態で設置してもらうことが最も重要です。安全と品質を第一に考え、業者とよく相談して最適な判断をしてくださいね。


コメント