「朝起きる時に部屋が寒い(暑い)のを我慢したくない」
「帰宅してすぐに快適な部屋で過ごしたい」
エアコンの「入タイマー」は、そんな願いを叶える便利な機能です。しかし、使うと「電気代が高くなるのでは?」「つけっぱなしとどっちがお得なの?」と心配になりますよね。
この記事では、エアコンの入タイマーが電気代にどう影響するのか、つけっぱなし運転との電気代比較、そして電気代を安く抑えるための賢い使い方を徹底解説します。
入タイマーをマスターして、快適さと節約を両立させましょう。
エアコンの入タイマーの電気代は高い?仕組みと誤解
結論から言うと、入タイマー機能自体が直接電気代を高くすることはありません。
入タイマーは「設定した時間に運転を開始する」という予約機能です。電気代は、タイマーを使ったからではなく、単純に「エアコンが運転した時間」に応じて発生します。使い方を間違えれば無駄な電気代が発生し、賢く使えば快適性を保ちつつ節約にも繋がります。
入タイマーの基本的な仕組み
入タイマーには、大きく分けて2つのタイプがあります。
- 時間後(オフタイマー式):「○時間後に運転を開始する」と設定するタイプ
- 時刻指定(オンタイマー式):「午前○時○分に運転を開始する」と設定するタイプ
多くの機種では、設定した時刻に快適な室温になっているよう、設定時刻の少し前(最大1時間程度)から逆算して運転を開始する「おはよう予約」のような賢い機能が搭載されています。(参照:ダイキン工業株式会社 よくあるご質問)
気になる「待機電力」はいくら?
「タイマーをセットしている間も、電気代がかかっているのでは?」と心配する方もいるかもしれません。
タイマー設定中(待機中)にかかる電力は「待機電力」と呼ばれますが、非常にわずか(約0.1W~1W程度)です。
仮に1Wの待機電力がかかったとしても、1ヶ月(30日間)で約22円程度(※)。電気代への影響はほとんどないと考えて問題ありません。
※電気料金単価31円/kWhで計算した場合
【徹底比較】入タイマー vs つけっぱなし、電気代はどっちが安い?
最も気になるのが「つけっぱなし」と「入タイマー」のどちらが安いか、ですよね。
これは、エアコンの特性と外気温によって答えが変わります。

エアコンは、電源を入れてから設定温度に達するまでが最も電力を消費します。一度設定温度になれば、その後は少ない電力で温度を維持します。
結論:就寝時や長時間の外出は入タイマー
就寝中ずっとつけっぱなしにする場合と、一度消して起床時に入タイマーを使う場合を比べると、就寝中はエアコンを切り、起きる前に入タイマーで運転を再開する方が、電気代は安くなる可能性が高いです。
運転していない数時間分の電気代が丸ごと節約できるためです。
30分程度の外出なら「つけっぱなし」
ダイキン工業の実験によると、日中の場合、35分までの短い外出であれば「つけっぱなし」の方が安く、それ以上なら「こまめに消す」方が安いという結果が出ています。(参照:ダイキン工業「エアコン“つけっぱなし”と“こまめに入り切り”」)
これは、短時間で電源をオフにすると、再起動時にまた大きな電力を使って室温を戻す必要があるためです。
夏(冷房)と冬(暖房)での比較の違い
この「つけっぱなしがお得な時間」は、夏と冬で異なります。
- 夏(冷房):外気温と設定温度の差が比較的小さい。30分程度の外出なら「つけっぱなし」がお得な傾向。
- 冬(暖房):外気温と設定温度の差が大きい。室温が下がりやすく、再起動時のパワーがより多く必要になるため、1時間程度の外出でも「つけっぱなし」の方がお得になる場合があります。
「ちょっとコンビニへ」程度ならつけっぱなし、数時間家を空けるなら「切って、帰宅前に入タイマー」が賢明です。
電気代を安くする!入タイマーの賢い使い方5選
入タイマーは、生活リズムに合わせて使うことで、無駄な運転時間を減らし、電気代の節約につなげることができます。
1. 起床・帰宅時間の30分〜1時間前に設定
最も効果的な使い方が、起床時と帰宅時です。
快適な室温になるまでの時間を逆算してタイマーを設定しましょう。多くの機種では、設定時刻の30分〜1時間前から自動で運転を開始します。
- 起床時:起きる時間の30分前に設定。寒い冬でも布団からスムーズに出られる
- 帰宅時:帰宅する時間の30分前に設定。暑い夏でも帰宅後すぐに涼める
2. 「自動運転」と組み合わせる
エアコンは、設定温度に達するまでが最も電力を消費します。
入タイマーで運転を開始する際、「弱風」に設定していると、部屋が快適な温度になるまでに時間がかかり、かえって電気代が高くなることがあります。
「自動運転」に設定しておけば、最初は強風で一気に室温を調整し、設定温度に近づいたら弱風に切り替わるため、最も効率よく運転してくれます。(参照:富士通ゼネラル「エアコンの上手な使い方」)
3. 切タイマーと併用して睡眠の質を上げる
就寝時に「入タイマー」と「切タイマー」を併用するのも賢い使い方です。
例えば、夏場の寝苦しい夜。
- 就寝時に「切タイマー」を2時間後に設定
- 起床時に「入タイマー」を午前5時に設定
このように設定すれば、寝付くまでの2時間は涼しく、エアコンが切れている深夜の電力消費を抑え、暑さで目が覚めやすい明け方に再び運転を開始できます。つけっぱなしを防ぎ、電気代を節約できます。
4. 部屋の断熱性を高める
入タイマーで効率よく部屋を快適な温度にするためには、部屋の断熱性を高めることが不可欠です。
- カーテンやブラインドを閉める(特に日差しの強い夏や、冷え込む冬の窓際)
- ドアや窓の隙間をふさぐ
特に窓からの熱の出入りは大きいため、カーテンを閉めるだけでも効果は絶大です。
5. サーキュレーターを併用する
冷たい空気は下に、暖かい空気は上に溜まりやすい性質があります。
サーキュレーターや扇風機を併用し、室内の空気を循環させましょう。エアコンの効率が上がり、入タイマーで運転した際も短時間で設定温度に達しやすくなり、結果的に電気代の節約につながります。
- 冷房時:エアコンに背を向けるように置き、床に溜まった冷たい空気を循環させる
- 暖房時:エアコンの対角線上に置き、上に向けて風を送り、天井に溜まった暖かい空気を循環させる
入タイマーだけじゃない!さらなる節約テクニック
入タイマーと合わせて実践したい、エアコンの基本的な節約術も確認しておきましょう。
フィルター掃除は月2回が鉄則
エアコンのフィルターが汚れていると、空気を吸い込む効率が著しく低下します。
経済産業省 資源エネルギー庁によると、フィルターを月に1〜2回清掃するだけで、冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力削減になるとされています。(参照:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」)
入タイマーで効率よく運転させるためにも、こまめなフィルター掃除は必須です。
室外機の周りを整理する
室外機の吹き出し口の周りに物を置いたり、雑草が生い茂っていたりすると、放熱効率が下がり、余計な電力が必要になります。室外機の周りは常にスッキリさせておきましょう。
メリットだけじゃない?入タイマーの注意点とデメリット
便利な入タイマーですが、いくつか知っておきたい注意点やデメリットもあります。
デメリット1:生活リズムが不規則だと使いにくい
入タイマーは「決まった時間にON」する機能です。そのため、帰宅時間が日によってバラバラな人や、起きる時間が不規則な人は、設定した時間より早く帰宅したり、遅く起きたりすると、無駄な運転になってしまう可能性があります。
デメリット2:設定がリセットされる場合がある
リモコンの電池が切れたり、エアコン本体が停電したりすると、設定したタイマーがリセットされてしまう機種があります。久しぶりに使う時などは確認が必要です。
スマホ連携(遠隔操作)と入タイマーの違い
「帰宅時間が不規則だから入タイマーは使いにくい…」という方には、スマホ(アプリ)での遠隔操作機能がおすすめです。

最近のエアコンはWi-Fiに接続し、外出先からスマホで操作できる機種が増えています。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
| 機能 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 入タイマー | ・リモコンで完結し手軽 ・生活リズムが一定なら確実 |
・帰宅時間が不規則だと対応不可 ・外出先から操作できない |
| スマホ連携 (遠隔操作) |
・帰宅時間が不規則でも対応可能 ・外出先からON/OFFできる(消し忘れ防止) ・室温の確認ができる |
・対応機種が必要 ・Wi-Fi環境が必要 ・初期設定がやや面倒 |
スマートリモコンで後付けも可能
お使いのエアコンにスマホ連携機能がなくても、「スマートリモコン(スマート家電リモコン)」を導入すれば、後付けでスマホ操作が可能になる場合があります。赤外線リモコンで操作するタイプのエアコンであれば、多くが対応可能です。
よくある質問(Q&A)
A. 多くのメーカーの機種で同時に設定可能です。例えば「おやすみ時に2時間後に切タイマー、翌朝5時に入タイマー」といった設定ができます。ただし、安価なモデルや古い機種では設定できない場合もありますので、取扱説明書をご確認ください。
A. 「入タイマー」の一種で、主に暖房運転時に使われる機能名です。設定した起床時刻に合わせて、最大1時間ほど前から運転を開始し、起床時刻に部屋が暖まっている状態にする機能です。寒い冬の朝に非常に役立ちます。
A. 基本的な「入タイマー(○時間後、または時刻指定)」機能は、どのメーカーにも搭載されています。違いが出やすいのは以下の点です。
- 同時設定の可否:前述の通り、多くの機種で可能ですが、一部非対応もあります。
- スマホ連携:ダイキン(Daikin Smart APP)、パナソニック(エオリア アプリ)、日立(白くまくんアプリ)など、各社が専用アプリを提供していますが、対応は中〜上位機種が中心です。
- 賢さ:上位機種になるほど、AIが学習し、タイマー設定時刻の室温や外気温を予測して、より無駄のない運転開始タイミングを自動で調整する機能が搭載されています。
まとめ:入タイマーを賢く使って快適さと電気代の節約を両立しよう
エアコンの「入タイマー」機能は、それ自体が電気代を高くするものではなく、使い方次第で、無駄な運転時間を減らし、電気代を節約できる非常に便利な機能です。
記事のポイントを再確認しましょう。
- 入タイマーの待機電力は、電気代にほぼ影響しない
- 30分程度の外出なら「つけっぱなし」、それ以上や就寝時は「切タイマー&入タイマー」が節約の基本
- 「自動運転」「サーキュレーター併用」「フィルター掃除」で効率を最大化する
- 生活リズムが不規則な人は「スマホ連携(遠隔操作)」も検討する
「朝起きる時」や「仕事から帰る時」など、あなたの生活リズムに合わせて入タイマーを活用してみてください。
エアコンの特性を理解して上手に使いこなし、電気代を賢く節約しながら、快適な毎日を送りましょう。
