「エアコンの『送風』って、電気代はいくらかかるの?」「冷房を切った後、カビ防止につけっぱなしにしたいけど、電気代が怖い…」
そんな疑問をお持ちではありませんか? エアコンの電気代は家計に直結するだけに、送風機能のコストは気になりますよね。また、自動の「内部クリーン」と何が違うのか、よく分からないという方も多いはず。
この記事では、エアコンの「送風」機能の気になる電気代を徹底解明。「つけっぱなし」にした場合、冷房や扇風機と比べてどれだけ安いのか、そして最大のメリットであるカビ防止効果を最大化する正しい使い方まで、あなたの疑問をすべて解決します。
エアコンの「送風」の電気代は驚くほど安い
結論:送風の電気代は月270円程度
結論からお伝えします。エアコンの「送風」機能にかかる電気代は驚くほど安いです。
エアコンが最も電力を消費するのは、室温を変える「コンプレッサー(圧縮機)」が動く時です。送風運転ではこのコンプレッサーが停止し、室内のファンだけが回っている状態。つまり、「エアコンの形をした扇風機」とほぼ同じなのです。
1時間あたりの電気代とつけっぱなしの場合
機種や設定にもよりますが、送風運転の消費電力は約12~20W程度が一般的です。これを電気代に換算してみましょう。
- 1時間あたりの電気代:約0.4円~0.6円
※電力料金目安単価31円/kWh(税込)で計算した場合
もし、この送風運転を24時間、1ヶ月間(30日)つけっぱなしにしたとしても…
- 1日の電気代:約0.6円 × 24時間 = 約14.4円
- 1ヶ月の電気代:約14.4円 × 30日 = 約432円
機種によってはさらに安く、1ヶ月つけっぱなしでも約270円~450円程度に収まります。これなら、カビ対策として数時間つけっぱなしにしても、電気代を心配する必要はほとんどありませんね。

ポイントは「コンプレッサーが動かない」ことです。電気代の大部分はコンプレッサーが占めているので、ファンだけの送風は格安なんです。
送風 vs 冷房・除湿・扇風機、電気代を比較
送風がいかに安いか、他の機能や家電と比較すると一目瞭然です。
「冷房」「除湿」との電気代比較
室温や湿度を下げる冷房・除湿(弱冷房除湿)はコンプレッサーが作動するため、送風とは比較にならないほど電気代がかかります。
| 機能 | 1時間あたりの電気代(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 送風 | 約0.4円~0.6円 | ファンのみ作動(室温・湿度 変わらず) |
| 冷房 | 約3円~25円 ※ | コンプレッサー作動(室温を下げる) |
| 除湿 (弱冷房) | 約3円~15円 ※ | コンプレッサー作動(湿度を下げる) |
※冷房・除湿の電気代は、設定温度や外気温、お部屋の状況により大きく変動します。
冷房と比較すると、送風の電気代は10分の1以下、場合によっては40分の1以下にもなります。
「扇風機」「サーキュレーター」との比較
では、「風を送る」仲間である扇風機やサーキュレーターと比べるとどうでしょうか。
| 機器 | 1時間あたりの電気代(目安) |
|---|---|
| エアコン(送風) | 約0.4円~0.6円 |
| 扇風機 (DCモーター) | 約0.1円~0.5円 |
| 扇風機 (ACモーター) | 約0.6円~1.2円 |
| サーキュレーター | 約0.5円~1.5円 |
驚くことに、エアコンの送風は、一般的なACモーターの扇風機よりも電気代が安いケースが多く、高性能なDCモーター扇風機と比べても遜色ないレベルです。
「電気代がもったいないから」と送風機能を使わずに扇風機を出してくる必要は、まったくないと言えます。
送風の最大の効果はカビ防止(内部クリーンとの違い)
電気代が格安な「送風」ですが、その最大のメリットは「エアコン内部のカビ防止」にあります。エアコンから漂う嫌なニオイの主な原因は、内部で繁殖したカビです。
なぜ送風がカビ防止に効くのか
冷房や除湿運転をすると、エアコン内部の熱交換器が結露し、水滴まみれになります。この「水分」と室内の「ホコリ(カビの栄養)」が組み合わさることで、カビにとって天国のような環境が生まれてしまうのです。
そこで役立つのが「送風」です。冷房停止後に送風運転(つけっぱなし)にすることで、内部に残った水分を強制的に乾燥させ、カビの繁殖を根本から抑えることができます。
カビ防止に効く!送風の正しい使い方
最も効果的な使い方は「冷房を切った直後」です。
- 冷房(または除湿)の運転を停止する
- すぐに「送風」運転に切り替える
- タイマーを「1~2時間」に設定し、内部をしっかり乾かす
これを習慣化するだけで、カビの発生リスクを劇的に減らすことができます。(参照:ダイキン工業、パナソニックなど大手エアコンメーカー各社推奨情報)
内部クリーン機能との違い
「うちのエアコン、内部クリーン機能があるけど、送風と何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
結論:内部クリーン機能の「基本動作」は「送風」と同じです。
内部クリーン(内部乾燥、自動おそうじなどメーカーにより呼称が異なる)は、冷房停止後に自動で「送風」や「弱い暖房」運転を行い、内部を乾燥させる機能です。したがって、この機能が搭載されているエアコンは、基本的に「内部クリーン」機能を常時ONにしておけばOKです。

手動の「送風」は、内部クリーン機能がない機種や、梅雨時などで「自動乾燥だけでは不安だから、追加でしっかり乾かしたい」という時に使うと効果的ですよ。
メーカー別:内部クリーンとの違い
最近の上位機種では、単なる乾燥(送風)以上の機能が付加されています。
- パナソニック(ナノイーX):乾燥運転と共に、カビ菌やウイルスを抑制するイオンを放出する
- ダイキン(ストリーマ):乾燥運転と共に、カビやアレル物質を分解するストリーマ放電を行う
- シャープ(プラズマクラスター):イオンを放出し、内部のカビ菌を除菌する
これらの機種は、「乾燥(送風)」+「イオンなどによる除菌・脱臭」を行っています。一方、手動の「送風」機能は、あくまで「乾燥」に特化したシンプルな機能であると理解しておきましょう。
カビ防止以外にも!送風の賢い使い方6選
電気代の安い送風は、カビ防止以外にもアイデア次第で幅広く活用できます。
1. 部屋の空気を循環させる
扇風機やサーキュレーターの代わりとして、室内の空気をかき混ぜるのに使えます。室温にムラがある時に効果的です。
2. 冬(暖房時)の空気循環
これが意外と知られていない使い方です。暖かい空気は天井付近に溜まりがち。暖房使用時に送風運転(またはサーキュレーターモード)を併用すると、天井の暖気を足元に降ろし、部屋全体の温度ムラを解消できます。結果的に暖房の設定温度を下げられ、節電につながります。
3. 換気のサポート役として
窓を開けて送風運転をすれば、室内の空気を外に排出し、外の新鮮な空気を取り込む「換気」の効率を大幅にアップできます。
4. 涼しい外気を取り込む
春や秋の夜など、外の方が涼しい時に便利です。窓を開けて送風運転を使えば、冷房を使わずに涼しい外気を効率よく室内に取り込めます。
5. 扇風機代わりの「そよ風」として
「冷房をつけるほどではないが、少し風が欲しい」という時に最適です。体に直接風を当てずに室内の空気を動かすことで、体感温度を快適に保てます。
6. 部屋干しの乾燥サポート
洗濯物に向けて送風運転で風を当て続けることで、乾燥時間を短縮できます。この時、除湿機を併用したり、換気扇を回したりするとさらに効果的です。
送風機能の注意点!冷房・換気との違い
非常に便利な送風機能ですが、絶対に知っておくべき注意点があります。使い方を誤ると危険な場合もあるため、しっかり理解しておきましょう。
1. 部屋を冷やす効果は一切ない
最も重要な注意点です。送風はあくまで「ファンが回るだけ」です。室温を下げる(冷やす)力はゼロです。
真夏日に「電気代がもったいないから」と冷房を我慢し、送風だけで過ごそうとするのは大変危険です。熱中症予防のため、暑い時は絶対に我慢せず「冷房」を使ってください。
2. 湿度を下げる機能もない
送風運転では、湿度を下げることもできません。「ジメジメして不快だから」という理由で送風を使っても、湿度は下がらず不快感は解消されません。湿度を下げたい場合は「除湿(ドライ)」機能を使いましょう。

送風は「室温」も「湿度」も下げません! あくまで「風を送るだけ」と覚えてくださいね。
3. 換気そのものはできない
エアコンの送風は、室内の空気を吸い込んで、そのまま室内に吐き出している「室内循環」です。空気の「入れ替え」は行っていません。(一部の換気機能付きエアコンを除く)
換気を行う場合は、必ず「窓を開けた状態」で送風機能を補助的に使用してください。
よくある質問 (Q&A)
電気代の面では、1晩(8時間)つけっぱなしにしても約3円~5円程度なので全く問題ありません。
ただし、室温が下がらないため、熱帯夜など寝苦しい夜は熱中症対策として「冷房」や「除湿」を使用してください。送風で寝る場合は、風が体に直接当たり続けると体調を崩す原因になるため、風向きを調整しましょう。
送風で臭いニオイがするということは、すでにエアコン内部でカビが大量に繁殖しているサインです。
送風運転はカビの「予防」にはなりますが、「除去」はできません。一度発生したカビは、専門のエアコンクリーニング業者による高圧洗浄などで物理的に除去する必要があります。
古い機種などで「送風」ボタンが見当たらない場合は、「冷房」運転のまま、設定温度を一番高く(例:31℃)設定してみてください。現在の室温が設定温度より低ければ、コンプレッサーが作動せずにファンだけが回る「送風」状態を作ることができます。
送風運転は、エアコンの機能の中で最も負荷が低い運転(ファンが回るだけ)です。そのため、送風を長時間つけっぱなしにしたからといって、それが原因でエアコンが故障することはまずありません。
扇風機を長時間つけっぱなしにするのと同じ感覚で、安心して使用してください。
まとめ:エアコンの送風を使いこなし、電気代とカビ対策を両立しよう
エアコンの「送風」機能について、電気代から賢い使い方まで詳しく解説しました。
- 送風の電気代は1時間約0.4円~0.6円と格安
- 1ヶ月つけっぱなしでも電気代は約270円~450円程度
- 扇風機(ACモーター)よりも電気代が安い場合が多い
- 最大のメリットは、冷房停止後の運転による内部のカビ防止効果
- 冬の暖房時に併用すると、暖房効率がアップし節電につながる
- 注意点:「室温」も「湿度」も下げる効果は一切ないため、真夏の熱中症対策にはならない
「電気代がもったいない」という誤解は、もう解けたはずです。これからは冷房を使った後、エアコンの電源をすぐに切るのではなく、「タイマー1時間で送風運転」を新しい習慣にしてみませんか?
その一手間が、エアコン内部を清潔に保ち、嫌なニオイや将来のクリーニング代の節約につながります。
