最近のエアコンには「空気清浄機能」が標準搭載されているモデルが増えました。「冷暖房と一緒に部屋の空気もきれいになるなんて便利!」と思う一方、「空気清浄機能を使うと、電気代が跳ね上がるのでは?」「専用の空気清浄機と比べて、結局どっちがお得なの?」と悩んでいませんか?
エアコンの電気代は家計に直結するだけに、シビアに考えたい問題ですよね。
この記事では、エアコンの空気清浄機能にかかる具体的な電気代を主要メーカー別に徹底比較。さらに、専用機との違いやランニングコスト、今日から実践できる賢い節約術まで、あなたの疑問をすべて解決します。
エアコンの空気清浄機能の電気代はいくら?
まず結論からお伝えします。エアコンの空気清浄機能にかかる電気代は、冷房や暖房の運転に比べれば非常にわずかです。
ただし、その電気代はメーカーの技術や機能の「方式」によって、月額20円程度から800円以上と大きな差があります。
1時間・24時間・1ヶ月の電気代
空気清浄機能を単独で運転した場合の電気代を見てみましょう。電力料金の目安単価を 31円/kWh として計算します。(参照:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会)
仮に消費電力が25Wのモデルの場合で計算してみます。
- 1時間の電気代: 0.025kW × 1時間 × 31円 = 約0.78円
- 1日(24時間)の電気代: 約0.78円 × 24時間 = 約18.7円
- 1ヶ月(30日)の電気代: 約18.7円 × 30日 = 約561円
24時間つけっぱなしにしても、月額約560円程度。これが高いか安いかは、次のメーカー別比較を見るとよくわかります。
主要メーカー別の電気代を比較 (単独運転時)
エアコンの空気清浄機能の消費電力は、メーカーの独自技術によって大きく異なります。
| メーカー(機能名) | 方式 (例) | 消費電力 (目安) | 1ヶ月 (24時間) |
|---|---|---|---|
| シャープ (プラズマクラスター) | イオン放出 | 約0.8W (イオン送風) | 約18円 |
| パナソニック (ナノイーX) | イオン放出 | 約5.5W (単独運転) | 約122円 |
| ダイキン (ストリーマ) | ストリーマ+フィルター | 約25W (空気清浄運転) | 約558円 |
| 富士通 (プラズマ空清) | 電気集塵 | 約37W (単独運転) | 約821円 |
※上記は各メーカーの一部機種の公表値(目安)です。実際の電気代は機種や設定により異なります。
このように、イオンを放出するだけのシンプルな機能は電気代が安く、フィルターや電気集塵で本格的に集塵するタイプは電気代が高くなる傾向があります。
単独運転と冷暖房併用の電気代
多くのエアコンでは、空気清浄機能は単独運転が可能です。冷暖房を使わない春や秋でも、空気清浄機として利用できます。
また、冷暖房と併用した場合でも、空気清浄機能による電気代の「上乗せ」は、上記で計算した単独運転時の電気代とほぼ同等です。併用したからといって、電気代が急激に跳ね上がるわけではないので安心してください。
専用空気清浄機との電気代を徹底比較
「エアコンの機能で済むなら、専用の空気清浄機はいらないかも?」と考えるかもしれません。ここで、専用の空気清浄機と電気代を比較してみましょう。
専用空気清浄機の電気代 (モード別)
専用空気清浄機の電気代は、運転モード(静音・標準・ターボ)によって劇的に変わります。
| 運転モード | 消費電力 (目安) | 1時間 | 1ヶ月 (24時間) |
|---|---|---|---|
| 静音モード | 約3W~7W | 約0.09~0.22円 | 約66~159円 |
| 標準モード | 約15W~30W | 約0.47~0.93円 | 約339~669円 |
| ターボモード | 約50W~90W | 約1.55~2.79円 | 約1,116~2,010円 |
どっちがお得?結論
電気代だけで比較すると、結論は以下のようになります。
- 最安:専用空気清浄機の「静音モード」(月100円前後)
- 中間:エアコンの「イオン放出系」機能(月20円~120円程度)
- 高め:エアコンの「集塵系」機能(月500円~800円程度)
- 高め:専用空気清浄機の「標準モード」(月300円~600円程度)
24時間つけっぱなしで電気代を最優先するなら、専用空気清浄機を「静音モード」で使うのが最もお得です。
ただし、エアコンの機能がシャープやパナソニックのような「イオン放出系」であれば、専用機並みかそれ以上に電気代が安くなる可能性もあります。
【結論】専用空気清浄機はいらない?必要?
電気代だけでは決められませんよね。ここでは、双方のメリット・デメリットを整理し、「結局あなたに必要なのはどちらか」を結論付けます。
エアコンの空気清浄機能
- スペースが不要: 床に物を置かずに済む。部屋がスッキリする。
- 手軽さ: 冷暖房のついでに自動で空気をきれいにできる。
- 高い位置から空気を循環: 高い位置からイオンや清浄された空気を送風できる。
- 集塵力・脱臭力は専用機に劣る: あくまで「付加機能」のため、本格的な集塵や脱臭は専用機に軍配が上がる。
- フィルター掃除が面倒: 高い位置にあるため、フィルター掃除や交換が手間に感じる。
- 機種によっては電気代が高い: 本格的な集塵タイプは専用機(標準)より電気代がかかることも。
専用空気清浄機
- 強力な集塵・脱臭力: 「空気をきれいにすること」に特化しており、大風量で素早く集塵できる。
- 静音モードが安い: 24時間つけっぱなしでも電気代が非常に安い。
- 移動できる: 必要な部屋(寝室、リビング、玄関など)に移動して使える。
- 設置スペースが必要: 床に置くため、場所を取る。
- ターボモードは電気代が高い: 汚れている時にフル稼働すると電気代が跳ね上がる。
- 本体購入費用がかかる: 初期費用として別途購入する必要がある。
ケース別:あなたに必要なのはどっち?
- エアコン機能がおすすめな人
- 部屋に物を増やしたくない、スッキリさせたい
- 花粉症やアレルギーがそこまで重度ではない
- 冷暖房を使う時だけ、ついでに空気もきれいにしたい
- 専用空気清浄機がおすすめな人
- 重度の花粉症やハウスダストアレルギーがある
- ペットやタバコのニオイをしっかり取りたい
- 24時間、電気代を最小限に抑えて空気をきれいに保ちたい
- 寝室や子供部屋など、特定の部屋で集中して使いたい
効果はどっちが高い?機能と仕組みの違い
電気代と必要性がわかったところで、次は「効果」の違いです。結論として、空気清浄の『効果』や『スピード』を最優先するなら、専用機に軍配が上がります。
エアコンの空気清浄機能の仕組み
エアコンの空気清浄機能は、主に以下の3タイプに分かれます。
- フィルター集塵方式(富士通、ダイキンなど)
専用の高性能フィルター(HEPAフィルターなど)や電気集塵ユニットで、物理的にホコリや花粉をキャッチする方式。効果は高いですが、フィルター交換費用や電気代がかかる傾向があります。 - イオン放出方式(シャープ、パナソニックなど)
プラズマクラスターやナノイーXなど、独自のイオンを放出して空気中のウイルスや菌を抑制する方式。ホコリ自体を吸い込む力は弱いですが、電気代が安く、メンテナンスの手間が少ないのが特徴です。 - 内部清浄(日立など)
空気清浄機能というより、「エアコン内部」を清潔に保つ(凍結洗浄など)ことを主眼に置いた機能。室内の空気を積極的に清浄する機能とは少し異なります。
専用空気清浄機の強み
一方、専用空気清浄機は「空気をきれいにすること」だけに特化して設計されています。
- 強力な集塵力: 大風量で部屋の空気を素早く循環させ、強力にホコリや花粉を吸い込みます。
- 特化したフィルター: HEPAフィルターや高性能な脱臭フィルターなど、目的に応じた高性能フィルターを搭載しています。

電気代だけじゃない!トータルの注意点
電気代(=消費電力)だけで決めると後悔するかもしれません。トータルの「ランニングコスト」と「手間」も考慮しましょう。
1. フィルター交換費用(ランニングコスト)
エアコンも専用機も、「フィルター集塵方式」を採用している場合、定期的なフィルター交換が必要です。
このフィルターが意外と高額な場合があります。例えば「10年間交換不要」とうたっていても、それは特定の条件下での話。タバコやペットのいるご家庭では、数年で交換が必要になることもあります。
本体購入時の電気代だけでなく、交換フィルターがいくらかかるかも必ず確認しましょう。
2. 掃除の手間と頻度
エアコンの空気清浄機能の最大のネックは「掃除の手間」です。
専用空気清浄機なら手元で簡単にフィルター掃除ができますが、エアコンは高い位置にあるため、脚立などが必要になり面倒です。
掃除を怠ると、集塵能力が落ちるだけでなく、余計な電気代がかかる原因にもなります。
3. 空気清浄と換気は別物
勘違いされがちですが、空気清浄機は「換気」はできません。
空気清浄機は、あくまで「室内の空気」を循環させて、ホコリやウイルスをフィルターで濾過する装置です。二酸化炭素(CO2)濃度を下げることはできません。
新鮮な外気を取り入れたい場合は、必ず窓を開けるか、換気扇を回す、「換気機能付き」のエアコンを使用する必要があります。
電気代を抑える!賢い節約術5選
エアコンの空気清浄機能も、専用空気清浄機も、使い方次第で電気代をさらに抑えることができます。今日から実践できる5つの節約術をご紹介します。
1. フィルター掃除を徹底する
これは節約の鉄則です。エアコンも空気清浄機も、フィルターが目詰まりすると、空気を吸い込む力が弱まります。
弱い力で同じ効果を得ようとするため、余計な電力を消費してしまいます。エアコンのフィルターは2週間に1回、空気清浄機のフィルターも製品の指示に従ってこまめに掃除・交換しましょう。
2. 自動運転(センサー)を活用する
最近の機器には、ホコリセンサーやニオイセンサーが搭載されています。自動運転モードにしておけば、空気が汚れている時だけ「強」運転になり、きれいになれば「静音」運転に戻るなど、電力消費を自動で最適化してくれます。自分で強弱を切り替えるより効率的です。
3. サーキュレーターを併用する
空気清浄機は、空気の循環があってこそ最大の効果を発揮します。エアコンの風やサーキュレーターを使って部屋の空気をかき混ぜることで、床に溜まった花粉やハウスダストを舞い上がらせ、効率よく空気清浄機に吸い込ませることができます。
4. 窓開け換気と使い分ける
新鮮な空気を取り入れたい時はまず「換気」をします。その際、空気清浄機はいったん止めるか、窓から一番遠い場所に置くと効率的です。
そして窓を閉めた後、外から入ってきた花粉やホコリを除去するために空気清浄機を稼働させる、といった使い分けが重要です。
5. 先に空気清浄でホコリを除去する
これは冷暖房の節約術ですが、「冷暖房と空気清浄機を併用する」場合、先に空気清浄機で部屋のホコリやハウスダストを除去しておくと、エアコン内部のフィルターの目詰まりが抑制されます。
結果として、エアコンの冷暖房効率が維持され、長期的に見て冷暖房にかかる電気代の節約につながります。
空気清浄機能付きエアコンの選び方:3つのポイント
これからエアコンを買い替える方へ。空気清浄機能を重視する場合、以下の3つのポイントで選びましょう。
1. 機能の方式(集塵力 vs 電気代)で選ぶ
前述の通り、方式によって性能と電気代が異なります。
- 集塵・脱臭効果を重視: フィルター式や電気集塵式(ダイキン、富士通など)
- 電気代と手軽さを重視: イオン放出式(シャープ、パナソニックなど)
自分の目的に合わせて選びましょう。
2. 掃除のしやすさ(自動掃除機能)
エアコン機能の弱点は「掃除の手間」です。これを解消するため、最近は「フィルター自動掃除機能」や、集塵ユニットの掃除が簡単なモデルが増えています。掃除が面倒な方ほど、この機能は必須です。
3. 空気清浄の消費電力を確認する
カタログには必ず「空気清浄運転時」や「単独運転時」の消費電力(W)が記載されています。この数字が小さいほど、つけっぱなしにした時の電気代が安くなります。複数のメーカーで迷ったら、このW数も比較材料にしてください。
よくある質問(Q&A)
A. 問題ありません。むしろ「つけっぱなし」が推奨されます。
部屋の空気は常に汚れるため、24時間稼働が理想です。上記で計算した通り、機種によっては電気代が非常に安いため、つけっぱなしでも家計への負担は少ないです。
A. ほとんどの機種で同時に使えます。
冷暖房で室温を快適にしながら、同時に空気をきれいにできるのが、エアコン搭載型機能の最大のメリットです。
A. 機種によりますが、専用機の方が得意です。
エアコンの空気清浄機能(特にイオン系)もある程度の脱臭効果はうたっています。しかし、タバコやペットのニオイのような「強いニオイ」を素早く除去したい場合は、強力な脱臭フィルターを搭載した専用の空気清浄機(または脱臭機)の方が、効果を実感しやすいでしょう。
まとめ:あなたの目的に合わせて賢く選択しよう
「エアコンの空気清浄機能」と「専用空気清浄機」の電気代と効果について比較しました。
【記事の要点】
- エアコンの空気清浄機能の電気代は、メーカーや方式により月20円~800円以上と差が大きい。
- シャープやパナソニックの「イオン放出系」は安く、ダイキンや富士通の「集塵系」は高くなる傾向がある。
- 24時間つけっぱなしの電気代が最安なのは、専用空気清浄機の「静音モード」(月100円前後)。
- 効果・スピード重視なら「専用機」。特に花粉、ハウスダスト、ニオイ対策に強い。
- スペース効率・手軽さ重視なら「エアコン機能」。
- 電気代だけでなく、フィルター交換費用や掃除の手間といった「トータルコスト」で判断することが重要。
エアコンの空気清浄機能は、決して「電気代がかかるお荷物機能」ではありません。
まずは、あなたの家が「何を一番解決したいのか(花粉?ニオイ?スペース?)」を明確にしましょう。その上で、ご自宅のエアコンの消費電力や、買い替え候補の機種の「機能」と「ランニングコスト」をチェックし、あなたにとって最適な選択をしてください。
