「賃貸物件だけど、エアコンがない部屋をなんとかしたい…」
「エアコン取り付けって、賃貸でも勝手にやっていいの?」
「費用は誰が負担するの? 退去の時はどうなるの?」
夏は猛暑、冬は寒さが厳しい日本において、エアコンはもはや生活必需品ですよね。
しかし、賃貸物件にお住まいの場合、エアコンの取り付けには大家さんや管理会社の許可、費用負担、原状回復など、クリアすべき多くの疑問点があります。
この記事では、賃貸物件でエアコンを取り付ける際の「許可取り」から「穴あけ」の問題、気になる「費用負担」、そして「退去時の原状回復」まで、あなたが抱える疑問を徹底的に解説します。
最後まで読めば、トラブルを避け、安心して賃貸でのエアコン取り付けを進める方法がわかります。

賃貸でエアコンを取り付ける前に!まず知るべき3つの大前提
エアコンの取り付けを考える前に、賃貸物件特有のルールを理解しておく必要があります。「知らなかった」では済まされない重要なポイントを3つご紹介します。
原則:大家さん・管理会社の許可が絶対必要
結論から言うと、賃貸物件でエアコンを新たに取り付ける場合、必ず大家さん(オーナー)や管理会社の許可が必要です。
エアコンの取り付けには、壁に配管用の穴を開けたり、室外機を設置したりと、建物に手を加える作業が発生する可能性があります。これらは「模様替え」や「修繕」の範囲を超え、建物の資産価値に影響を与える可能性があるため、所有者の承諾なしに行うことはできません。
もし無断で設置した場合、契約違反として退去を求められたり、高額な原状回復費用を請求されたりする重大なリスクがあります。
賃貸借契約書の確認ポイント
許可を得る前に、まずはご自身の「賃貸借契約書」を確認しましょう。契約書には、エアコンの設置(設備)に関する取り決めが記載されている場合があります。
特に以下の項目をチェックしてください。
- 禁止事項(「造作の禁止」「穴あけの禁止」など)
- 設備に関する特約
- 原状回復に関する条項
設備か?残置物か?既存エアコンの扱い
もし部屋にすでにエアコンが設置されている場合、それが「設備」なのか「残置物」なのかを確認することも重要です。
- 設備: 大家さんが設置したもの。故障した場合の修理費用は原則大家さん負担。
- 残置物: 前の入居者が置いていったもの。故障した場合の修理費用は入居者負担になることが多い。
新しく取り付ける場合も、この「設備」として大家さんが費用を負担してくれるケースと、入居者が費用を負担して設置するケースがあります。

賃貸物件でエアコンを取り付ける際の許可取りから設置までの5ステップ
では、実際に賃貸物件でエアコンを取り付けるには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。トラブルを避けるための具体的な流れを5つのステップで解説します。
ステップ1:賃貸借契約書を確認する
前述の通り、まずは契約書を確認し、エアコン設置に関するルール(禁止事項や特約)がないかを把握します。
ステップ2:大家さん・管理会社へ相談・許可申請
契約書を確認したら、大家さんまたは管理会社に「エアコンを取り付けたい」旨を相談します。この時、以下の点を明確にしておくと交渉がスムーズです。
- 取り付けたい部屋
- 設置したいエアコンの機種(おおよそでOK)
- 配管用の穴(スリーブ)の有無
- 穴あけが必要かどうか(必要な場合、その位置や方法)
- 室外機の設置場所(ベランダ、壁掛けなど)
- 費用負担の相談(可能であれば)
- 退去時の原状回復の取り扱い(撤去するか、置いていってもよいか)
口頭での許可だけでなく、必ず書面(承諾書や覚書、メールの文面など)で許可をもらうようにしましょう。後の「言った・言わない」トラブルを防ぐために非常に重要です。
ステップ3:エアコン本体を選ぶ(設置場所の確認)
許可が出たら、エアコンを選びます。この時、許可された条件(穴あけの可否、室外機の設置場所など)に合った機種を選ぶ必要があります。
また、以下の点も必ず確認しましょう。
- コンセントの形状と電圧: 設置したいエアコンが100Vか200Vか、部屋のコンセントが対応しているか。
- ブレーカーの容量: エアコン専用の回路があるか、容量は十分か。
- 室外機の設置スペース: ベランダなどに十分なスペースがあるか、排気がこもらないか。
ステップ4:取り付け業者を手配する
エアコンの取り付けは専門的な技術が必要です。大家さんから業者を指定される場合もありますが、自分で手配する場合は、賃貸物件の工事経験が豊富な、信頼できる業者を選びましょう。(業者選びについては後述します)
ステップ5:取り付け工事の実施と完了報告
業者と日程を調整し、工事を実施します。工事当日は立ち会い、壁や床を傷つけないよう養生(保護)をしっかり行ってもらいましょう。
無事に設置が完了したら、大家さんや管理会社に一報を入れると丁寧です。
【費用負担】賃貸のエアコンの取り付けは誰が払う?
エアコンの取り付けで最も気になるのが「費用負担」ですよね。これはケースバイケースであり、交渉次第な部分もあります。
ケース1:入居者が負担する場合(自己都合)
「元々エアコンが不要な物件として契約したが、やはり欲しくなった」という場合など、入居者の希望で新たに取り付ける場合は、原則として入居者負担(エアコン本体代+工事費)となります。
この場合、退去時に「入居者の費用で撤去・原状回復する」か、「大家さんに交渉して(エアコンを無償で譲渡する形で)そのまま置いていくか」を選ぶことになります。
ケース2:大家さん・管理会社が負担する場合(設備として)
以下のようなケースでは、大家さんが費用を負担し、「設備」として設置してくれる可能性があります。
- エアコンが設置されておらず、次の入居者募集のためにも設置した方がよいと大家さんが判断した場合
- 既存のエアコンが(残置物ではなく)設備として設置されており、それが故障・寿命を迎えた場合
大家さん(管理会社)への費用交渉のコツ
入居者負担が原則とはいえ、交渉してみる価値は十分にあります。以下のポイントを参考に、相談してみてはいかがでしょうか。
- 交渉のタイミング: 入居前や契約更新時がベスト。「この部屋に長く住みたい」という意思を伝えると好印象です。
- 伝え方(メリットの提示): 「自分が費用を出す」前提で一度許可を取りつつ、「もし設備として設置いただけるなら、今後の入居者募集にも役立つのでは?」と提案する形が角が立ちません。
- 猛暑を理由にする: 「近年の猛暑で体調面が心配」など、生活に不可欠であることを伝えるのも有効です。
取り付け費用の相場はいくら?
エアコンの取り付け工事費は、標準的な工事(配管用の穴がすでにある、室外機を地面やベランダに置ける)であれば、10,000円~20,000円程度が相場です。
ただし、以下のような追加工事が必要な場合は、費用が加算されます。
- 壁の穴あけ(木造、コンクリートなど)
- 室外機の特殊な設置(壁掛け、屋根置き、二段置きなど)
- 配管パイプの延長(化粧カバーの設置)
- 専用コンセントの増設や電圧切り替え
賃貸の難関「穴あけ」問題!エアコン配管用スリーブがない場合
賃貸のエアコン取り付けで最大のハードルとなるのが「壁の穴あけ」です。配管を通すための穴(スリーブ)が元々ない物件も多くあります。
穴あけ(壁の貫通)は可能か?
結論として、大家さんの許可があれば穴あけは可能ですが、許可されないケースも多いです。
特に鉄筋コンクリート(RC)造のマンションなどは、建物の構造強度(耐震性)に関わるため、穴あけが厳しく禁止されていることがほとんどです。木造や軽量鉄骨のアパートであれば、許可が下りる可能性は比較的高いですが、これも大家さんの意向次第です。
穴あけを許可された場合でも、「退去時に専門業者によってきれいに塞ぐ(パテ埋めやキャップ)」ことを条件とされるのが一般的です。
穴あけが許可されない場合の対処法(窓用・ポータブルエアコン徹底比較)
壁に穴を開けられないと分かった場合、諦める必要はありません。以下の代替案を検討しましょう。

| 種類 | 窓用エアコン | ポータブルエアコン |
|---|---|---|
| メリット | ・工事不要で取り付けが比較的簡単 ・壁に穴を開けない ・セパレートタイプより安価 |
・工事不要で設置が簡単 ・キャスター付きで移動可能 ・好きな部屋で使える |
| デメリット | ・運転音が大きい ・冷房能力が低い傾向 ・窓が完全に閉まらず防犯面で不安 ・取り付け可能な窓のサイズが限られる |
・運転音が非常に大きい ・排気ダクトからの熱風と熱で部屋が冷えにくい ・ドレン水(結露水)の処理が必要 ・本体が大きく場所を取る |
| おすすめな人 | ・音が多少大きくても我慢できる人 ・防犯対策(補助錠など)ができる人 |
・一時的に涼みたい人 ・複数の部屋で使いたい人(※移動は大変) ・最終手段として検討する人 |
この他に、既存の穴(換気口など)を利用できるケースもありますが、専門業者の判断が必要です。
【退去時】賃貸のエアコン原状回復ガイド
無事に取り付けられたエアコンも、退去時には「原状回復」の問題が待っています。原状回復とは「借りた時の状態に戻すこと」を指します。
原状回復の基本ルール
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、エアコン(入居者が設置したもの)は、退去時に原則として入居者負担で撤去するものとされています。(参照:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」)
ただし、これはあくまで原則です。
エアコン本体の所有権はどうなる?
入居者が費用負担して設置したエアコンの所有権は、当然ながら入居者にあります。
そのため、退去時は以下の2択となります。
- 撤去して、新居に持っていく(または処分する)
この場合、取り外し工事費と、壁の穴などを修繕する費用(必要な場合)がかかります。 - 大家さんに交渉して、置いていく(無償譲渡する)
「残置物」として置いていくことを大家さんが承諾すれば、撤去費用がかからず、大家さん側も次の入居者にアピールできるため、Win-Winになる可能性があります。これを「造作買取請求権の放棄」と呼ぶこともあります。

壁の穴や傷の修繕について
取り付け時に壁に穴を開けた場合、その修繕費用(パテ埋めなど)は入居者負担となります。エアコン設置によるビス穴や、長期間設置していたことによる壁紙の日焼け跡(エアコンがなかった部分との差)なども、通常の使用を超える損傷と判断された場合は、修繕費を請求される可能性があります。
だからこそ、取り付け時に専門業者に依頼し、建物を傷つけないよう丁寧に作業してもらうことが重要なのです。
賃貸向けのエアコン取り付け業者の選び方とトラブル回避
賃貸物件のエアコン取り付けは、通常の工事以上に慎重さが求められます。万が一、建物を傷つけて大家さんとトラブルになっては大変です。
賃貸のエアコン工事でよくあるトラブル例
「安い」という理由だけで業者を選ぶと、以下のような深刻なトラブルに発展する可能性があります。
- 高額な追加請求: 「標準工事費」だけが安く、当日になって「穴あけ」「配管延長」などで高額な追加費用を請求された。
- 建物の損傷: 養生が不十分で、壁や床に傷をつけられた。穴あけに失敗し、構造上重要な柱を傷つけた。
- 施工不良による水漏れ: 配管(ドレンホース)の処理が悪く、数か月後に水漏れが発生。下の階の住人にも被害が及んだ。
- 原状回復トラブル: 取り外し作業が雑で、壁紙が大きく剥がれたり、穴の修繕が不十分だったりして、大家さんから修繕費を請求された。
業者選びで失敗しないための3つのポイント
上記のようなトラブルを避け、安心して任せられる業者を選ぶには、以下の3点に注意しましょう。
- 賃貸物件での施工実績が豊富か
賃貸特有の注意点(養生の徹底、近隣への配慮、原状回復の知識)を理解している業者が安心です。 - 見積もりが明瞭か
「標準工事費一式」だけでなく、追加料金が発生する可能性のある作業(穴あけ、配管延長、特殊設置など)の単価が明確に記載されているかを確認しましょう。 - 損害賠償保険に加入しているか
万が一、作業中に建物や家財を傷つけられた場合に備え、保険に加入している業者を選ぶことが必須です。
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よくある質問(Q&A)
A. 契約違反(善管注意義務違反)にあたります。最悪の場合、契約解除や即時退去を求められる可能性があります。また、退去時に高額な原状回復費用を請求されるなど、入居者にとって非常に大きなリスクしかありません。絶対に無断で設置しないでください。
A. おすすめできません。エアコンの取り付けには電気工事(コンセント交換など)や専門技術(真空引きなど)が必要です。素人が行うと、水漏れ、ガス漏れ、感電、火災の原因となり非常に危険です。また、取り付けに失敗して建物を傷つけた場合、その責任はすべて自分に返ってきます。
A. 標準的な工事(穴あり、室外機がベランダ置き)であれば、約1時間半~2時間程度です。ただし、壁の穴あけ作業や、室外機の特殊設置、配管が長くなる場合などは、3~4時間以上かかることもあります。
A. エアコンの需要が高まる6月~8月は、工事業者の繁忙期にあたります。予約が取りにくく、料金も割高になる傾向があるため、避けるのが賢明です。比較的空いている春(3月~4月)や秋(9月~10月)に依頼することをおすすめします。
A. はい、取り付け工事のみの依頼も可能です。ただし、業者によっては本体購入とセットでないと割高になったり、中古品(特に古い機種)は保証対象外となったりする場合があります。ユアマイスターのようなサイトでは「取り付けのみ」のメニューも比較検討できます。
A. 必ず立ち会いましょう。特に賃貸物件の場合、穴を開ける位置(柱や筋交いを避ける位置)や、壁紙・床の養生、作業の進捗を自分の目で確認することが、後のトラブルを防ぐために重要です。業者任せにせず、作業前と作業後にしっかり確認してください。
まとめ:賃貸のエアコン取り付けは事前の許可と業者選びが成功のカギ
この記事では、賃貸物件でのエアコン取り付けについて、トラブル回避の観点から徹底解説してきました。
重要なポイントをもう一度おさらいします。
- エアコン取り付けは、必ず事前に大家さん・管理会社の許可を書面(メール等)で取ること。
- 費用負担は「入居者負担」が原則だが、タイミングと伝え方次第で「大家さん負担」の交渉も可能であること。
- 穴あけが不可の場合は、「窓用エアコン」などの代替案を比較検討すること。
- 退去時は「撤去」が基本だが、「残置(譲渡)」の交渉も可能であること。
- 最大のトラブル源である「業者選び」を妥協しないこと。
賃貸でのエアコン取り付けは、手順さえしっかり踏めば、決して難しいことではありません。「暑い」「寒い」を我慢せず、正しい知識と準備で快適な生活を手に入れてくださいね。
まずは第一歩として、あなたの物件の「賃貸借契約書」を確認し、管理会社や大家さんに相談することから始めてみましょう。

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