静かな夜、エアコンから聞こえてくる「ピチャピチャ」「チャポチャポ」という水音。気になって眠れなかったり、「もしかして水漏れの前兆?」と不安になったりしていませんか?
実はその音、エアコン内部で発生した水(結露水)がうまく排出できていない危険なサインかもしれません。放置すると、カビの大量発生や、最悪の場合は部屋中が水浸しになるリスクがあります。
この記事では、エアコンから水音がする原因と、業者を呼ばずに自分で解決する方法を分かりやすく解説します。賃貸にお住まいの方への注意点もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
ピチャピチャ音の正体と放置するリスク
結論から言うと、あの「ピチャピチャ」という音の正体は、エアコン内部に溜まった「結露水」がファンに当たったり、逆流したりしている音です。
エアコンは冷房や除湿運転を行う際、空気中の水分を集めて水(ドレン水)に変えます。通常、この水は「ドレンホース」を通って屋外に排出されますが、何らかの原因で排出が滞ると、エアコン内部に水が溜まり、ファンが回転するたびに水を弾いて「ピチャピチャ」と音が鳴るのです。

原因はドレンホースの詰まり?音の聞き分け方
エアコンから異音がする場合、その原因によって音が微妙に異なります。よくある「ポコポコ音」と今回の「ピチャピチャ音」は対処法が全く違うため、まずは状況を整理しましょう。
ポコポコ音との違いを確認
以下の表で、ご自宅のエアコンの音がどちらに当てはまるか確認してください。
| 音の特徴 | 主な原因 | 発生しやすいタイミング |
|---|---|---|
| ピチャピチャ チャポチャポ |
内部の排水不良 (ホースの詰まり等) |
冷房・除湿運転中 運転停止直後 |
| ポコポコ ボコボコ |
気圧の差(空気の逆流) (換気扇の使用等) |
換気扇を回した時 風が強い日 |
もし「ポコポコ」という音であれば、部屋の気密性が高いために外気がドレンホースから逆流しているだけなので、窓を少し開ければ治まります。一方、「ピチャピチャ」の場合は物理的なトラブルであるため、掃除や修理が必要です。
自分でできる!ピチャピチャ音の解消方法
「ピチャピチャ」音がする場合、原因の多くは「ドレンホースの詰まり」か「汚れ」です。業者に依頼する前に、自分でできる5つの対処法を試してみましょう。
ドレンホースの詰まりを解消する
最も確実なのが、詰まりを取り除くことです。屋外にあるドレンホースの出口を確認し、泥や虫の死骸、落ち葉などが詰まっていないか見てください。
詰まりが奥にある場合は、「ドレン用サクションポンプ」を使用します。
-
- ホースの先端にポンプを差し込む
- ハンドルを引いてゴミを吸い出す(※押すと水が逆流するので注意)
- 汚れた水やヘドロが出てくれば解消
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ホースの向きと勾配を直す
ドレンホースの設置状況が悪く、水が流れにくくなっているケースも多々あります。
- ホースの先端が地面や水たまりに埋まっていないか
- ホースが途中で波打ったり、跳ね上がったりしていないか
- 植木鉢や室外機の下敷きになって潰れていないか
水は高い所から低い所へ流れます。ホースがスムーズに下を向くように調整し、先端が地面につかないよう少しカットするのも有効です。
フィルターと内部の清掃を行う
フィルターの目詰まりも原因の一つです。ホコリがたまると風量が落ち、エアコン内部の温度制御がうまくいかずに結露が過剰になったり、水飛びが発生しやすくなったりします。
フィルターを掃除機で吸い、汚れがひどい場合は水洗いをして、空気の通りを良くしましょう。
応急処置として「送風」運転にする
「今すぐ音を止めて寝たい」という場合の応急処置です。運転モードを「送風(または内部クリーン)」に切り替えてください。
冷房を止めれば新たな結露水は発生しません。送風で内部を乾燥させることで、一時的に水が引き、音が収まることがあります。ただし、これはあくまで一時しのぎですので、後日必ず根本的な掃除を行ってください。

賃貸アパート・マンションでの対応ルール
賃貸物件にお住まいの場合、自己判断で修理業者を呼ぶのは避けましょう。対応手順は以下の通りです。
まずは管理会社か大家さんに連絡
エアコンが元々部屋に設置されていた設備(残置物でない)であれば、修理費用は原則として貸主(大家さん)の負担になります。
勝手に業者を手配してしまうと、費用が自己負担になるだけでなく、トラブルの原因にもなりかねません。「エアコンから異音がして水漏れしそうだ」と管理会社に伝え、指示を仰いでください。
自分で掃除した範囲なら自己責任?
フィルター掃除や、ベランダにあるドレンホースのゴミを取り除く程度の日常的なお手入れは、入居者の義務(善管注意義務)の範囲内とされることが一般的です。まずはフィルター掃除等を試してみて、それでも直らない場合に連絡するのがスムーズです。
業者に依頼する基準と費用相場
自分で掃除をしても改善しない場合や、以下の症状がある場合はプロに任せるべきです。
- 室内機から水が垂れてきた
- エアコンの効きが悪い(ガス漏れの可能性)
- 設置して10年以上経過している
特に「ガス漏れ」の場合、「シューシュー」という音が混じることがあります。これは専門的な修理が必要です。
修理費用の目安
一般的な修理費用の相場は以下の通りです。
| 作業内容 | 費用相場 |
|---|---|
| ドレンホースの詰まり除去 | 8,000円 〜 15,000円 |
| エアコンクリーニング(分解洗浄) | 10,000円 〜 20,000円 |
| ガス漏れ修理・補充 | 15,000円 〜 30,000円 |
水漏れの原因が内部の激しい汚れである場合は、修理ではなく「エアコンクリーニング」で解決することも多いです。
よくある質問(Q&A)
吹き出し口に水滴がついている場合、内部の排水が間に合わず溢れかけているか、設定温度が低すぎて急激な結露が起きている可能性があります。ピチャピチャ音が同時にしているなら、内部の水位がかなり上がっている危険な状態です。早急にドレンホースの確認をしてください。
Q. 自然に直ることはありますか?
ホース内のゴミが乾燥して収縮し、一時的に水が流れるようになって音が止まることはあります。しかし、ゴミ自体がなくなったわけではないため、再び湿気を含むと詰まりが再発します。自然治癒は期待せず、掃除することをおすすめします。
まとめ
エアコンの「ピチャピチャ音」は、故障の手前、あるいは水漏れ寸前のサインです。快適な睡眠と安全な部屋を守るために、以下のポイントを再確認してください。
- 音の正体は「排水不良による内部の水たまり」
- まずは屋外のドレンホースの詰まりと向きを確認する
- フィルター掃除を行い、空気の通りを良くする
- 賃貸の場合は、触る前に管理会社へ連絡する
早めの対処を行えば、大掛かりな修理や水浸しの被害は防げます。次の休日にでも、サクションポンプで詰まりを解消し、スッキリとした空気で過ごせるようにしましょう。
