「エアコンの掃除、掃除機で吸うだけで終わらせたい……」
「室外機のホースを掃除機で吸うと水漏れが直るって本当?」
手軽な掃除機はエアコンメンテナンスの強い味方ですが、使い方を誤るとエアコン本体を壊したり、掃除機が水を吸って故障したりするリスクがあります。
この記事では、フィルター掃除の正しい手順に加え、「ドレンホース(水漏れ)の吸い方」まで、掃除機を活用したエアコンメンテナンスの全てを網羅的に解説します。
この記事を読めば、掃除機を使って良い場所・悪い場所が明確になり、安全にエアコンの効きを復活させることができます。
掃除機で吸う範囲は?NGな場所を明確化
まず重要なのは、「どこまで吸っていいのか」という境界線です。
掃除機を使って良い場所は、以下の3箇所のみです。
- フィルター(ホコリ除去)
- 前面パネル・吹き出し口の表面(ホコリ除去)
- 【水漏れ時のみ】室外機のドレンホース(詰まり解消)
これ以外の場所、特に内部のアルミフィンやファンを直接吸うのは避けてください。

フィルター編:掃除機を使った正しい掃除手順5ステップ
もっとも一般的なフィルター掃除の手順を解説します。
「外す前に吸う」「外側から吸う」という鉄則を守るだけで、部屋にホコリが舞うのを防げます。
1. 安全のために電源プラグを抜く
基本中の基本ですが、必ずコンセントを抜いてから作業してください。
作業中にオートクリーニング機能などが作動すると、指を挟む事故につながります。
2. パネルを開け、フィルターを付けたまま吸う
いきなりフィルターを外すと、積もったホコリがバラバラと落下します。
まずはフィルターがセットされた状態で、表面のホコリを優しく掃除機で吸い取りましょう。
この「予洗い」のような工程が、部屋を汚さないコツです。
3. 取り外して「外側(表)」から吸う
フィルターを外したら、新聞紙などの上に置きます。
掃除機をかける際は、必ずフィルターの「外側(表側)」から吸ってください。
ホコリは外側から入ってきて付着しています。
もし内側(裏側)から吸ってしまうと、ホコリがフィルターの網目に食い込み、取れなくなってしまいます。
4. 汚れが酷い場合は裏側からシャワー
掃除機で取りきれない細かいチリや油汚れは水洗いが必要です。
水洗いの時は掃除機と逆で、フィルターの「内側(裏側)」からシャワーを当てることで、汚れを外へ押し出せます。
5. 日陰で完全に乾燥させる
濡れたまま装着すると、エアコン内部のカビの原因になります。
タオルで水気を取り、直射日光を避けて完全に乾かしてください。
ドレンホース編:水漏れを掃除機で吸って直す方法
「エアコンから水が漏れてきた」という場合、室外機の横にある排水ホース(ドレンホース)の詰まりが原因であることが多いです。
実は、これも家庭用の掃除機で解消できる場合があります。
なぜ掃除機で吸うと直るのか?
ドレンホースの中に虫の死骸やゴミ、ヘドロが詰まると、結露水が排水されずに逆流し、室内機から水漏れします。
掃除機でホースの先端からゴミを吸い出すことで、通り道を確保し、水漏れを解消できます。
掃除機を壊さないための必須手順
ただし、そのまま吸うと掃除機が汚水を吸い込んで故障します。
必ず以下の手順を守ってください。
- 掃除機のノズルを外し、ホース状にする
- ドレンホースの先端に薄い布(ガーゼや手ぬぐい)を被せ、輪ゴムで止める
- 掃除機のホースをあてがい、手で隙間を塞ぐ
- スイッチを入れ、2〜3秒吸ったらすぐに離す(※重要)
- これを数回繰り返す

もし自分で行うのが不安な場合や、専用の道具(サクションポンプ)がない場合は、無理せず業者へ相談しましょう。
絶対にやってはいけないNG行動とリスク
掃除機は便利ですが、使い方を誤ると大きな損害につながります。
特に以下の行為は避けてください。
1. 内部のフィン(熱交換器)を吸う
フィルターを外した奥に見える銀色の金属部分です。
ここは結露水で湿っていることが多く、掃除機で吸ってもカビや汚れは取れません。
それどころか、水分を吸った掃除機から悪臭が発生したり、モーターがショートして発火したりする恐れがあります。
2. 送風ファンを無理やり吸う
風が出てくる場所にある筒状のファンも、掃除機ではきれいになりません。
ノズルを突っ込んでファンを無理に回してしまうと、軸がブレて運転中に「ガタガタ」と異音がするようになります。
3. カビだらけのホコリを吸ったまま放置する
エアコンのホコリには大量のカビ胞子が含まれています。
これを吸った掃除機をそのままにしておくと、掃除機を使うたびに部屋中にカビの臭いを撒き散らすことになります。
エアコン掃除の後は、掃除機のゴミをすぐに捨て、フィルターやダストカップを水洗いしてください。
よくある質問(Q&A)
はい、可能です。ただし、ハンディタイプにして付属の「隙間ノズル」や「ブラシノズル」を使うと効率的です。吸引力が強すぎるモードだとフィルターを傷める可能性があるため、通常モードから試してください。
非常に有効です。100円ショップには、細いチューブがついた「サッシ用ノズル」や「網戸用ノズル」が売られています。これらを使うと、フィルターの細かい網目のホコリも吸い出しやすくなります。
用途が違います。掃除機は「日常的なホコリ取り」に使い、スプレーは「内部洗浄」に使われます。ただし、市販のスプレー洗浄剤はすすぎ残しによる故障トラブルが多発しているため(参照:NITE 独立行政法人製品評価技術基盤機構)、内部の汚れはプロに任せるのが確実です。
まとめ:掃除機はフィルターとホースの強い味方
エアコン掃除における掃除機の正しい活用法を解説しました。
最後に重要なポイントを整理します。
- 掃除機で吸うのは「フィルター」と「ドレンホース(水漏れ時)」のみ
- フィルター掃除は必ず「外側(表)」から吸う
- 内部のフィンやファンは水分を含むため、掃除機で吸うのは厳禁
- ドレンホースを吸う時は、掃除機が水を吸わないよう布を挟んで短時間で行う
- 掃除後は掃除機自体のメンテナンスも忘れずに
日頃から掃除機でフィルターのホコリを取ることは、カビ予防と節電への近道です。
しかし、内部にこびりついたカビや黒い汚れは、掃除機の吸引力ではどうすることもできません。
もし、掃除機をかけても「臭いが取れない」「効きが悪い」と感じたら、それは内部クリーニングのサインです。
無理に自分で触って故障させる前に、一度プロのクリーニングでリセットすることをおすすめします。


