「エアコンの設定温度と室温が合わない…」「設定温度26℃なのに肌寒い(または暑い)」そんなお悩みはありませんか?
その不調、もしかしたら「エアコンの温度センサー」の場所や汚れが原因かもしれません。
この記事では、エアコンの温度センサーがどこにあるのか、その仕組み、メーカーごとの違い、そして効きが悪い時の原因切り分けから対処法、修理費用の相場まで、あなたの疑問をまるごと解決します。
エアコンの温度センサーはどこにある?
エアコンが室温を正確に把握するために、温度センサーは非常に重要な役割を担っています。主な設置場所は「室内機」と「室外機」の2箇所です。
基本は室内機の吸い込み口
お部屋の温度を直接測るメインのセンサー(室温サーミスタ)は、室内機がお部屋の空気を吸い込む部分に設置されているのが一般的です。
- エアコン本体の前面パネルを開け、フィルターを外した奥
- 熱交換器(アルミフィン)の近く
- 吸い込み口(ルーバーとは別の、空気を取り込む格子部分)の内部
なぜこの場所なのでしょうか? それは、お部屋の空気が必ず通る場所であり、現在の室温を最も正確に感知できるからです。
室外機のセンサーの場所と役割
室外機にも複数の温度センサーが搭載されています。これらは主に、効率的な運転や機器の保護のために使われます。
| センサーの種類 | 主な場所 | 役割 |
|---|---|---|
| 外気温サーミスタ | 室外機の側面や背面の吸込口付近 | 屋外の温度を検知し、運転効率を調整する |
| 配管サーミスタ | 室内機と繋がる冷媒配管部分 | 冷媒ガスの温度を監視し、異常がないかチェック |
| 圧縮機サーミスタ | コンプレッサー(圧縮機)付近 | エアコンの心臓部であるコンプレッサーの過熱を防ぐ |
リモコンや別ユニットのセンサー(上位機種)
一部の上位機種では、エアコン本体だけでなく、リモコン本体に温度センサーが内蔵されていることがあります。
このタイプは、エアコン本体から離れた場所(人が実際にいる場所)の温度を優先して空調をコントロールできるため、より快適な室温調整が可能です。
また、床や壁の温度を測る赤外線センサーや、人の動きを検知する人感センサーと連動して、室温センサーの情報を補正している機種も増えています。

【メーカー別】温度センサーの位置に違いは?
「うちのエアコン(パナソニック製、ダイキン製など)はどこ?」と気になる方も多いですよね。
主要メーカーでも基本の位置は同じ
結論から言うと、パナソニック、ダイキン、三菱、日立、東芝、シャープなど、主要メーカーのほとんどが「室内機の吸い込み口付近」に室温センサーを設置しています。
メーカーによって、センサーの形状や取り付け位置が数センチ異なることはありますが、お部屋の空気を吸い込む場所にある、という基本原則は変わりません。
最も確実な方法は、お使いのエアコンの取扱説明書の「各部のなまえ」や「お手入れ」のページを確認することです。センサーの位置が図解されている場合があります。
人感センサーと室温センサーは別物
よくある誤解として、「人感センサー」を「室温センサー」と混同してしまうケースがあります。
- 室温センサー (サーミスタ):空気の温度を測る。基本的に内部にあり、外からは見えにくい。
- 人感センサー (赤外線センサーなど):人の動きや位置、体温を感知する。本体の前面やルーバー付近に「目」のように付いており、外から見える。
「人を検知して風向きを変える」といった機能は人感センサーによるもので、室温そのものを測っているセンサーとは役割が異なります。
エアコンが効かない?センサーが誤作動する主な原因
温度センサーの仕組みは、温度によって電気抵抗が変わる「サーミスタ」という電子部品でできています。このサーミスタが正しい温度を測れなくなると、エアコンは効かなくなります。
原因1:ホコリやカビによる汚れ
最も多い原因がこれです。
センサーは空気の吸い込み口にあるため、フィルターを通り抜けた細かいホコリや、内部で発生したカビが付着しやすいのです。
センサーがホコリの「服」を着てしまうと、空気の温度が正しく伝わらず、鈍感になってしまいます。
- 冷房時:センサーが冷えにくいため「まだ暑い」と誤判断し、設定温度より冷えすぎてしまう。
- 暖房時:センサーが温まりにくいため「まだ寒い」と誤判断し、設定温度より暖めすぎてしまう。
※逆のパターンとして、内部の熱交換器の温度を拾ってしまい、すぐに運転を止めるケースもあります
原因2:センサー周辺の環境の問題
センサー自体は正常でも、設置環境によって誤作動することがあります。
- センサーの真下に熱源がある:テレビや冷蔵庫、照明器具などの熱を吸い込んでしまい、「部屋は十分暖かい」と誤判断し、暖房が効かなくなる。
- 直射日光が当たる:窓際への設置で、センサーに日光が当たると、室温より高い温度を感知し、冷房が効きすぎる(または暖房がすぐ止まる)。
- 家具で風が遮られている:エアコンの風がセンサー周辺に正しく循環せず、局所的な温度を拾ってしまう。
効きが悪い時の3つの対処法
「効かない!」と思ったら、以下の3ステップで原因を切り分けて対処しましょう。
対処法1:エアフィルターの徹底的な掃除
まず、センサーの故障を疑う前に、エアフィルターが目詰まりしていないかを確認してください。
フィルターが詰まると、エアコンは空気を正常に吸い込めません。その結果、センサーが正しい室温を感知できなくなるだけでなく、エアコンの効率が極端に低下します。
掃除機でホコリを吸い取り、汚れがひどい場合は中性洗剤で水洗いし、よく乾かしてから戻しましょう。これだけで劇的に改善するケースは非常に多いです。
対処法2:センサー周辺の環境改善
フィルターを掃除しても改善しない場合、前述の「環境の問題」がないかチェックします。
- エアコンの真下にあるテレビや棚を移動させる。
- 直射日光が当たる時間帯は、カーテンやブラインドで遮光する。
- エアコンの風を遮る家具がないか確認し、サーキュレーターで室内の空気を循環させる。
対処法3:センサー本体の掃除(※非推奨・自己責任)
フィルターを外し、奥を覗き込んだ時に、センサーらしき部品に明らかにホコリが絡みついている場合、それを取り除きたくなりますよね?
しかし、センサー本体の清掃は非常にリスクが高く、推奨されません。
センサーは繊細な電子部品です。綿棒などで触れただけで配線が切れたり、角度が変わってしまったりして、完全に故障する可能性があります。

・エアダスターや掃除機で直接ノズルを当てる(衝撃で破損します)
・洗剤やパーツクリーナー、冷却スプレーを吹きかける(基板がショートします)
・綿棒やブラシで強くこする(断線します)
どうしてもホコリが気になる場合は、エアコンクリーニングの専門業者に内部洗浄を依頼するのが最も安全で確実です。
故障かも?修理費用の相場と依頼先
フィルター掃除や環境改善でも直らない、またはエラーコードが表示されている場合は、センサー自体の故障や基板の不具合が考えられます。
温度センサーの故障の修理費用目安
センサー(サーミスタ)の部品代自体は数百円~数千円と安価ですが、交換には専門技術者による分解・作業が必要となるため、技術料や出張費がかかります。
一般的な修理費用の相場は以下の通りです。
- センサー(サーミスタ)の交換のみ:約8,000円 ~ 15,000円
- 制御基板の交換が必要な場合:約20,000円 ~ 35,000円
※あくまで目安です。メーカーや機種、保証期間、依頼する業者によって費用は変動します。必ず事前見積もりを取りましょう。
どこに頼む?メーカー vs 専門業者
修理の依頼先は、主に「メーカー」か「エアコン専門の修理業者」になります。
| 依頼先 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| メーカー | 純正部品で安心、技術力が高い | 修理費用が割高になる傾向、対応が遅い場合がある |
| 修理専門業者 | 費用が比較的安い傾向、対応が早い場合がある | 業者の技術力に差がある、古い機種は部品がない場合も |
保証期間内であれば、迷わずメーカー(または購入した販売店)に連絡してください。保証期間が過ぎている場合は、複数の業者に見積もりを依頼して比較検討するのがおすすめです。
よくある質問(Q&A)
A1. 絶対にやめてください。
センサー交換はエアコン内部の複雑な配線と基板を触る専門作業です。感電やショート、火災の原因となり非常に危険です。
また、ネット情報にあるようなセンサーの「バイパス(無効化)」や「延長」といった改造は、エアコンの制御を破壊し、コンプレッサーの連続運転による過熱や故障、最悪の場合は火災につながるため、絶対に行わないでください。
A2. 使用厳禁です。
前述の通り、エアダスター、冷却スプレー、洗剤、パーツクリーナーなど、あらゆるスプレー製品をセンサーや電子基板に吹きかけるのは故障の元です。センサーが反応しなくなるか、基板がショートして高額な修理費用が発生します。
A3. 室外機のセンサーは、室内機ほどホコリの影響は受けにくいですが、吸い込み口(フィン)にゴミや落ち葉が詰まっていると、外気温を正しく感知できず効率が落ちます。
室外機のセンサー自体を触る必要はありませんが、室外機の周りを整理整頓し、吸い込み口のフィンに詰まったゴミを(電源OFFの状態で)ほうきなどで優しく取り除くことは、エアコンの効率維持に有効です。
まとめ:センサーの場所を知り、まずはフィルター掃除から
いかがでしたか? 「エアコンの温度センサーはどこ?」という疑問について、その場所から不調の原因、対処法、修理費用まで詳しく解説しました。
- 場所:基本は室内機の「空気吸い込み口(フィルターの奥)」
- 効かない原因:多くは「フィルターの詰まり」か「センサー周辺の環境」
- 危険なこと:センサー本体の自己流の掃除や改造は厳禁
- 対処法:まずは「フィルターの徹底掃除」と「周辺環境の見直し」を実行する
- 最終手段:改善しない場合は「専門業者」に点検・修理を依頼する
エアコンの効きが悪いと感じたら、まずは最も簡単で効果的なエアフィルターの掃除から試してみてください。
それでも改善しない場合は、センサーの故障や他の原因も考えられますので、無理をせず専門家に相談しましょう。正しいメンテナンスで、この夏(冬)もエアコンを快適に使ってくださいね。
