「自宅でローストビーフを作りたいけれど、火加減が難しくてパサパサになってしまった」という経験はありませんか?
実はお持ちの炊飯器にある「保温機能」の温度を活用すれば、誰でも簡単に、高級レストランのような美しいロゼ色のローストビーフが作れます。
この記事では、炊飯器の温度特性を利用して、失敗なくジューシーに仕上げるための具体的な手順とコツを解説します。
炊飯器の保温温度はローストビーフ作りに最適?
そもそも、なぜ炊飯器の保温機能がローストビーフ作りに適しているのでしょうか?まずはその「温度の秘密」と、失敗しないための科学的な理由について解説します。
「高め」「低め」の温度設定の違い
一般的な炊飯器の保温温度は、雑菌の繁殖を防ぎつつ、ご飯の美味しさを保つために以下の温度帯に設定されています。
| 保温設定モード | 温度の目安 | ローストビーフへの適性 |
|---|---|---|
| 高め保温 | 約70℃〜74℃ | ◎ 最適(安全かつジューシー) |
| 低め保温 | 約60℃〜65℃ | △ 注意が必要(温度低下のリスクあり) |
ローストビーフ(牛肉)のタンパク質は、60℃前後から凝固し始め、65℃を超えると徐々に硬くなり始めます。しかし、食中毒の原因菌を死滅させるには一定の加熱が必要です。
炊飯器の「高め保温(約70℃)」は、お湯の温度低下を考慮すると、肉の中心温度を理想的な55℃〜60℃(ミディアムレア)に導くのに非常に適した熱源なのです。

なぜ「放置」で美味しくなるのか
鍋で煮込むと温度が高すぎて肉が縮んでしまいますが、炊飯器の保温は「ゆっくりと熱を伝える」低温調理に近い状態を作れます。
- 肉汁(旨味)を逃さない
- 端から中心まで均一な火通りになる
- 放置するだけなので手間がかからない
このように、炊飯器は単なる保温器具ではなく、優秀な低温調理器代わりになるのです。

【実践】炊飯器でローストビーフを作る5つの手順
ここからは、実際にスーパーで売っている牛もも肉ブロック(300g〜400g前後)を使った作り方を解説します。
準備するもの
- 牛もも肉ブロック:300g〜400g
- 塩コショウ:適量
- 耐熱性の密閉袋(ジップロック等):1〜2枚
- 沸騰したお湯:たっぷり
- 水:200ml程度(温度調整用)
手順1:肉を常温に戻す
調理の1時間〜2時間前には冷蔵庫から肉を取り出し、室温に戻しておきます。これは絶対に省略できない工程です。
肉の中心が冷たいままだと、お湯に入れた時に温度が急激に下がり、中まで火が通らず「生焼け」の原因になります。
手順2:下味をつけて表面を焼く
肉全体に塩コショウを強めに振り、フライパンで全表面にしっかりと焼き色をつけます。
旨味を閉じ込めるだけでなく、肉の表面に付着している雑菌を殺菌するために重要な工程です。側面もしっかり焼いてください。
手順3:密閉袋に入れて空気を抜く
焼いた肉をラップで二重に包んでから耐熱性の密閉袋に入れるか、直接密閉袋に入れます。
水を張ったボウルに袋を沈めながら封をすると、水圧で空気が抜け、真空に近い状態になります。空気をしっかり抜くことで熱伝導が良くなります。
手順4:炊飯器にお湯と肉を入れる
ここが温度管理のポイントです。
- 炊飯釜に肉(袋入り)を入れる。
- 肉が完全に浸かるまで沸騰したお湯を注ぐ。
- すぐに水(200ml程度)を加え、湯温を約75℃〜80℃に下げる。
- 浮いてこないように、耐熱皿などで重しをする。
沸騰直後の100℃のお湯だけで行うと火が通り過ぎてしまいます。少し水を足して適温にしてから保温をスタートさせましょう。
手順5:保温スイッチオンで放置する
蓋を閉めて「保温」ボタンを押します。
【放置時間の目安】
- 300g〜400gの場合:約30分〜40分
- 500g以上の場合:約50分〜60分
時間が来たらお湯から取り出し、常温で30分ほど休ませます。すぐに切ると肉汁が流れ出てしまうため、必ず休ませてください。

失敗しないための注意点
美味しく安全に食べるために、よくある失敗や疑問を解決しておきましょう。
これだけは避けて!食中毒のリスク管理
低温調理は温度管理を誤ると菌が繁殖するリスクがあります。
- 新鮮なブロック肉を使用する(成型肉や挽肉はNG)。
- 保温スイッチの押し忘れに注意(温度が下がると危険です)。
- 子供や高齢者、体調の悪い方が食べる場合は、加熱時間を長めに設定する。


よくある質問(Q&A)
A. ローストビーフのピンク色は「ロゼ」と呼ばれ正常ですが、ドリップ(赤い汁)が濁っていたり、生肉特有のブヨブヨした弾力がある場合は加熱不足です。その場合はラップをして電子レンジ(500W)で10秒〜20秒ずつ加熱して様子を見てください。
A. いいえ、絶対にやめてください。豚肉や鶏肉は内部まで完全に火を通す必要があり、牛肉よりも高い温度や長い加熱時間が必要です。食中毒のリスクが非常に高いため、必ず専用のレシピに従ってください。

A. 小さい炊飯器(3合炊きなど)は湯量が少なく、肉を入れた際にお湯の温度が下がりやすい傾向があります。3合炊きの場合は、放置時間を5分〜10分ほど長めに設定することをおすすめします。
まとめ:保温機能を活用して食卓を豪華に
炊飯器の保温機能を使えば、難しい温度管理を機械任せにできるため、驚くほど簡単に本格的なローストビーフが作れます。
最後に重要なポイントを振り返ります。
- 炊飯器の保温温度(約70℃)はローストビーフ作りの強い味方。
- 「肉を常温に戻すこと」が成功の8割を決める。
- 熱湯に少し水を足して温度調整をしてから保温する。
- 調理後は必ず休ませて、旨味を閉じ込める。
「今週末は何を作ろうかな?」と迷ったら、ぜひこの方法を試してみてください。放置している間に他の家事も片付き、夕食時には豪華な一皿が待っていますよ。
