夜静かになると聞こえる「キーン」「ピー」という高い音。
エアコンからのこの不快な音のせいで、「イライラして眠れない」「頭が痛くなる」といった悩みを抱えていませんか?
この音は通称「モスキート音」と呼ばれ、放置するとストレスの原因になるだけでなく、エアコンの不調のサインである場合もあります。
この記事では、なぜその音が発生するのかという原因を突き止め、誰でもすぐに実践できる5つの解消法を具体的に解説します。
エアコンのモスキート音の正体
そもそも、なぜエアコンから蚊の羽音のような高い音が出るのでしょうか。
主な原因は、機械的な振動や電子部品の性質によるものです。
電子部品のコイル鳴き
最も多い原因の一つが、「コイル鳴き」と呼ばれる現象です。
エアコン内部の基盤にあるコンデンサやコイルといった電子部品に電流が流れる際、微細な振動が発生します。
この振動周波数が人間の可聴域(聞こえる範囲)に入ると、「キーン」という高い音として聞こえます。
モーターやファンの劣化
長年使用しているエアコンの場合、内部部品の経年劣化が疑われます。
- 送風ファンの軸受け(ベアリング)の油切れ
- モーターの回転軸のズレ
- 内部パーツの緩みによる共振
これらが回転数に合わせて高音を発生させることがあります。
空気清浄機能の放電音
最近の高機能エアコンには、イオン発生装置や自動お掃除ロボットが搭載されています。
特に「プラズマクラスター」「ナノイー」「ストリーマ」などの空気清浄機能は、放電によって空気を浄化するため、仕様上「ジー」「チリチリ」「ピー」といった微細な音が出ることがあります。
実践!音を消す5つの対処法
原因がわかったところで、実際に音を止めるための手順を紹介します。
業者を呼ぶ前に、以下の5つを順番に試してみてください。
1. コンセントの抜き差し
まずはエアコンのシステムをリセットします。
電子回路の一時的なエラーや、インバーター制御の不具合が解消される場合があります。
- エアコンの運転を停止する
- 電源プラグをコンセントから抜く
- 10分以上放置して完全に放電させる
- 再度プラグを差し込み、運転する
プラグを抜いてすぐに差すのではなく、内部の電気が抜けるまで少し待つのがポイントです。
2. フィルターと内部の掃除
フィルターがホコリで目詰まりしていると、空気を吸い込む際に余計な負荷がかかり、ファンモーターが唸りを上げます。
また、風の通りが悪くなることで「ヒュー」という風切り音(笛鳴り現象)が発生することもあります。
- フィルターを取り外し、水洗いして陰干しする
- 自動お掃除機能付きの場合は、ダストボックスのゴミを捨てる
- 吹き出し口のルーバー(羽)にホコリが溜まっていないか確認する
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3. 付加機能をオフにする
前述の通り、空気清浄機能やイオン発生機能が音源になっているケースは非常に多いです。
リモコンの設定で、以下の機能を一時的に「切」にしてください。
-
- 空気清浄 / イオン / ナノイー / プラズマクラスター
- 内部クリーン / 内部乾燥
- 自動お掃除機能
- 人感センサー(ムーブアイなど)
特定の機能をオフにして音が止まれば、故障ではなくその機能の作動音(仕様)であることが特定できます。
4. 設定温度と風量の調整
エアコンがフルパワーで運転しているとき(急速冷房・暖房時)は、インバーター周波数が高くなり、モスキート音が出やすくなります。
- 設定温度を室温に近づける(負荷を下げる)
- 風量を「自動」ではなく「弱」または「静音」に固定する
負荷を下げて安定運転に移行させることで、高周波音が収まるか確認しましょう。
5. 室外機の振動対策
意外な盲点ですが、室外機の振動が壁や配管を伝わって、室内機から音が聞こえているように錯覚することがあります。
- 室外機の上に物を置いていないか確認する
- 室外機が傾いていないか確認する
- ホームセンターなどで売っている「防振ゴム」を室外機の足の下に敷く

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実はエアコンではない可能性
「エアコンの電源を切っても音が聞こえる気がする」
そんな場合は、エアコン以外の発生源を疑う必要があります。モスキート音は発生源の特定が難しい音です。
他の家電や充電器
エアコンの近くにある他の電気製品から音がしていないか確認してください。
- スマホやPCの充電器(ACアダプター)
- LED電球の基盤
- Wi-Fiルーター
- 24時間換気扇
特にACアダプターは、古くなるとコイル鳴きが発生しやすい代表的な製品です。
超音波式の害虫駆除器
ご自身や近隣の部屋で、ネズミや害虫を駆除するための「超音波発信機」を使用していませんか?
これらの機器は、まさにモスキート音のような高周波を常時発生させます。集合住宅の場合、隣の部屋や上下階からの音が壁を越えて聞こえている可能性もあります。
賃貸物件でのトラブル回避術
賃貸にお住まいで、上記の対策をしても改善しない場合は、管理会社や大家さんへの相談が必要です。
費用負担のトラブルを避けるために、以下の手順で進めましょう。
管理会社への伝え方
単に「音がうるさい」と伝えるだけでは、「神経質な入居者」と思われて対応が後回しにされる恐れがあります。
具体的に被害状況を伝えましょう。
- 「キーンという高周波音で頭痛がして眠れない」(健康被害を強調)
- 「フィルター掃除や再起動を試したが直らない」
- 「10年以上前の機種で、経年劣化と思われる」
生活に支障が出ていることを伝えるのが、迅速な対応を引き出すコツです。
(参照:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」)
修理か買い替えかの判断基準
持ち家の場合、修理するか買い替えるかの判断に迷うところです。
目安となる基準をまとめました。
| 使用年数 | おすすめの対応 | 理由 |
|---|---|---|
| 購入後1〜5年 | メーカー修理 | 保証期間内の可能性が高い。 部品保有期間内。 |
| 6〜9年 | 見積もり次第 | 修理費が高額なら買い替え。 高機能機種なら修理もアリ。 |
| 10年以上 | 買い替え推奨 | 寿命および部品在庫なし。 省エネ性能の差で元が取れる。 |
特に10年以上前のモデルは、修理してもまた別の場所が壊れる可能性が高いため、最新の省エネモデルへの買い替えが経済的にもメリットがあります。
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よくある質問(Q&A)
エアコンのモスキート音に関して、よく寄せられる疑問にお答えします。
気のせいとは限りません。モスキート音(高周波音)は、一般的に若い人ほど聞こえやすく、加齢とともに聞こえにくくなる特性があります。また、聴覚の感度には個人差があるため、家族には聞こえなくても、あなたにだけ聞こえているという状況は十分にあり得ます。
一時的に接触が変わり音が止まることがありますが、根本解決にはなりません。むしろ衝撃で基盤が割れたり、ファンの軸が歪んだりして、故障が悪化するリスクがあります。叩くのは絶対にやめましょう。
単なる振動音であれば、直ちに発火する危険性は低いです。しかし、「焦げ臭いにおいがする」「電源コードが異常に熱い」「煙が出る」といった症状を伴う場合は、内部ショートなどの深刻な故障の可能性があります。すぐに使用を中止し、電源プラグを抜いてください。
まとめ
エアコンのモスキート音は、一度気になりだすと精神的なストレスにもつながる厄介な問題です。
最後に、この記事の重要ポイントを振り返ります。
- まずはコンセントを抜き、10分放置してリセットする
- フィルター掃除で負荷を減らす
- 空気清浄などの「付加機能」をオフにしてみる
- 室外機の防振対策を行う
- 改善しなければ、経年劣化による寿命の可能性が高い
「たかが音」と我慢せず、早めに対処することが快適な生活への第一歩です。
まずは今日紹介した「自分でできる5つの手順」から試してみてくださいね。
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