「エアコンのリモコンにある『電流カット』って何のためにあるの?」
「本体の電流カットランプが点滅しているけれど、これって故障?」
エアコンを使っていると、このような疑問や不安を感じることはありませんか?
実は「電流カット」には、「ブレーカー落ちを防ぐ便利な機能」としての意味と、「エアコンの状態を知らせるサイン」という2つの側面があります。
この記事では、電流カット機能の正しい使い方から、ランプが点滅したときの対処法、そして電気代への影響まで、知っておくべき情報をすべて網羅して解説します。
エアコンの電流カットとは
まず、「電流カット」という言葉が持つ基本的な機能について解説します。これは主に、エアコンが消費する電力の「最大値」をコントロールする機能です。
最大電流を制限する仕組み
エアコンは、運転を開始した直後や、設定温度と室温の差が大きい時に、最も多くの電気を使います。
電流カット機能をONにすると、この「フルパワー運転」の上限を強制的に抑えることができます。例えば、通常なら20A(アンペア)近く使うパワーを、15A程度に抑えて運転するイメージです。
- ブレーカーが落ちるのを防ぐ
- 他の家電との併用をしやすくする
- 室外機の音を抑える効果も期待できる
メーカー別の名称一覧
この機能はメーカーによって名称が異なります。主要メーカーの呼び方は以下の通りです。
| メーカー | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日立 | 電流カット | 本体にランプ表示がある機種が多い |
| ダイキン | パワーセレクト | 電流を約50%カットなど詳細設定が可能 |
| パナソニック | 電流切替 | 最大電流をレベル別に設定可能 |
| 三菱電機 | 電流カット | 機種により「セーブ運転」と呼ばれることも |
日立のエアコンの点滅・点灯
「電流カット」で検索される方の多くが気にされているのが、日立製エアコン(白くまくん)などで見られる「電流カット」ランプの点灯や点滅です。これは故障なのでしょうか?
点灯している場合
「電流カット」のランプが常時光っている(点灯している)場合は、故障ではありません。
これは単に、リモコンの設定で「電流カット機能」がONになっていることを示しています。もし部屋が冷えにくいと感じる場合は、リモコン操作でこの設定を解除すればランプは消え、フルパワー運転が可能になります。
点滅している場合
ランプがチカチカと点滅している場合は、エアコンが「一時的な制御中」であることを示しています。
- 暖房運転の開始時: 準備運転(予熱)をしています。温風が出るまで待ちましょう。
- 霜取り運転中: 室外機についた霜を溶かしています。10分〜15分程度で通常の暖房に戻ります。
- フィルター掃除中: 自動お掃除機能が作動している場合があります。
基本的には故障ではないため、電源プラグを抜いたりせず、しばらく様子を見てください。ただし、長時間(30分以上)点滅が続く場合や、冷房なのに点滅する場合は、不具合の可能性があります。

電流カットのメリット
では、設定としての「電流カット」にはどのようなメリットがあるのでしょうか。正しく使うことで生活の質が向上します。
ブレーカー落ちの回避
最大のメリットは、契約アンペア数を超過による停電(ブレーカー落ち)を防ぐことです。
例えば、30A契約の家庭で、エアコン(起動時15A)と電子レンジ(13A)とドライヤー(12A)を同時に使うと、合計40Aとなりブレーカーが落ちてしまいます。
ここでエアコンを「電流カット(最大10Aに制限)」に設定しておけば、合計使用量を抑え、他の家電と一緒に使いやすくなります。
契約アンペアを下げる節約術
電流カット機能を常時活用することを前提にすれば、電力会社との契約アンペア数(基本料金)をワンランク下げられる可能性があります。
- 50A契約 → 40A契約へ変更
- 基本料金の削減が可能
電流カットのデメリット
一方で、能力を制限することによるデメリットも存在します。ここを理解していないと「エアコンが効かない」という不満につながります。
冷暖房の立ち上がりが遅い
最大パワーを出せなくなるため、スイッチを入れてから設定温度になるまでに時間がかかります。
特に、外気温が35℃を超えるような猛暑日や、氷点下の真冬の朝などは、パワー不足でなかなか部屋が快適にならないことがあります。
電気代が安くなるとは限らない
「電流をカットする=電気代が安くなる」と直感的に思いがちですが、実はそうとは限りません。
パワーを抑えて運転すると、設定温度に到達するまでの時間が長くなります。結果として「弱めの電力×長い時間」運転することになり、トータルの消費電力量は変わらないか、逆に増えてしまうケースさえあります。

電流カットと省エネモードの違い
よく似た機能に「省エネモード(エコ運転)」がありますが、これらは役割が異なります。
| 機能名 | 主な目的 | 制御の内容 |
|---|---|---|
| 電流カット | ブレーカー落ち防止 | 最大電流値の上限を強制的にカットする |
| 省エネモード | 電気代の節約 | 設定温度を自動調整したり、センサーで人の動きを検知して無駄を省く |
ブレーカーが心配なときは「電流カット」、快適さを保ちつつ無駄をなくしたいときは「省エネモード」と使い分けましょう。
よくある質問(Q&A)
電流カット機能について、ユーザーが抱きがちな疑問に先回りして回答します。
まずは「小(制限が緩い方)」から試すのがおすすめです。それでもブレーカーが落ちる場合や、キッチンで多くの家電を使う時間帯だけ「大」に変更するなど、状況に合わせて調整しましょう。「大」にすると冷暖房能力がかなり落ちるため、真夏・真冬は注意が必要です。
はい、使用可能です。ただし、除湿運転自体が温度を下げる機能を含むため、電流カットを併用すると除湿能力も弱まる可能性があります。梅雨時などで素早く湿気を取りたい場合は、設定をオフにするのが無難です。
リモコンにボタンがない、またはメニュー画面に項目がない場合、その機種には搭載されていません。その場合は、エアコン起動時にドライヤーやレンジの使用を控えるなど、人間側でタイミングをずらす工夫が必要です。
まとめ:電流カットで安心な生活を
電流カット機能は、うまく使えば「突然の停電」というストレスから解放される素晴らしい機能です。しかし、闇雲に使えば「部屋が冷えない」という不満にもつながります。
最後に記事の要点をまとめます。
- 電流カットは「最大パワー」を抑えてブレーカー落ちを防ぐ機能
- 日立などのランプ点滅は「準備中」や「霜取り」のサイン(故障ではない)
- 電気代そのものを大きく下げる機能ではない
- 真夏や真冬は、無理に設定せず快適さを優先するのも重要
- 省エネモードとは目的が違うので使い分ける
ご自宅の契約アンペア数や、普段使う家電の状況に合わせて設定を見直してみてください。それだけで、これまでよりも安心して快適にエアコンを使えるようになるはずです。
