「エアコンを使いたいけれど、電気代の高騰が気になってスイッチを入れられない…」
「28度設定なら安いと聞くけれど、実際いくらかかるの?」
毎月の電気料金の請求書を見て、ため息をついていませんか?猛暑が続く中、無理な我慢は体調を崩す原因になります。実は、エアコンの電気代の仕組みを正しく理解すれば、快適さを損なわずにコストを最小限に抑えることができます。
この記事では、6畳用エアコンを28度設定で1時間使用した場合の正確な電気代算出から、明日から実践できる具体的な節約術までを網羅的に解説します。
これを読めば、電気代の不安から解放され、賢く涼しい夏を過ごすための「正解」が分かります。
6畳用エアコンを28度設定で1時間使用した場合の電気代はいくら?
6畳用エアコン(冷房能力2.2kW)を28度設定で使用した場合の電気代を、最新の電気料金単価(目安単価31円/kWh)を基に算出します。
結論から言うと、室温が安定した状態であれば1時間あたり約5円前後です。
安定時と最大時の料金比較
エアコンは常に一定の電力を消費するわけではありません。「起動直後」と「設定温度に達した後」では、消費電力に大きな差があります。
| 運転状態 | 消費電力目安 | 1時間の電気代 |
|---|---|---|
| 起動時(フルパワー) | 450W〜600W | 約14.0円〜18.6円 |
| 安定時(28度維持) | 130W〜200W | 約4.0円〜6.2円 |
※公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価(31円/kWh)にて計算。(参照:全国家庭電気製品公正取引協議会)
エアコンの電気代が高くなるのは「室温を下げる時」です。一度28度まで下がり、その温度をキープする運転になれば、扇風機数台分程度の電気代で済みます。

1ヶ月つけっぱなしのコスト試算
では、仮に1日10時間、30日間使用した場合の月額はどうなるでしょうか。
- 1日あたりの目安: 起動時1時間(18円)+ 安定運転9時間(45円)= 約63円
- 1ヶ月(30日)の目安: 63円 × 30日 = 約1,890円
いかがですか?「思ったよりも安い」と感じたのではないでしょうか。もちろん外気温や家の断熱性能に左右されますが、28度設定であれば月2,000円以下で快適な睡眠や生活環境を手に入れられます。
つけっぱなしとこまめな消灯の境界線
「こまめに消した方が節約になる」というのは、昔のエアコンの常識です。現在のインバーターエアコンにおいては、頻繁なオンオフは逆効果になりかねません。
30分ルールを目安にする
メーカー各社の実験データや専門家の見解を総合すると、「30分以内の外出ならつけっぱなし」が最も経済的です。
- コンビニやゴミ出し:つけっぱなし推奨
- 1時間以上の買い物:電源オフ推奨
室温が上がった部屋を再度冷やすには、安定運転時の5〜10倍のエネルギーが必要です。30分程度の不在であれば、弱運転で温度を維持させた方がトータルの消費電力は少なくなります。
除湿と冷房はどっちが安い?
「ドライ(除湿)の方が電気代が安い」と信じて使い続けていませんか?実は、除湿の「方式」によって電気代は大きく異なります。
弱冷房除湿と再熱除湿の違い
お使いのエアコンがどちらのタイプかによって、冷房とのコスト関係が逆転します。
| 機能 | 仕組み | 電気代比較(対冷房) |
|---|---|---|
| 弱冷房除湿 | 弱く冷やして湿気を取る | 冷房より安い |
| 再熱除湿 | 冷やした空気を温め直す | 冷房より高い |
一般的な安価なモデルは「弱冷房除湿」が多いですが、上位機種には「再熱除湿(寒くならない除湿)」が搭載されています。再熱除湿は空気を温める工程が入るため、冷房よりも電気代が高くなります。

電気代を劇的に下げる5つの裏技
設定温度を守る以外にも、少しの工夫で効率を上げ、電気代を削減する方法があります。
1. フィルター掃除で年間25%削減
環境省のデータによると、フィルターが目詰まりしていると冷房効率が下がり、約5%〜25%も無駄な電気を使います。
- 2週間に1回、水洗いか掃除機でホコリを取る
- 掃除後は日陰でよく乾かす
2. 風量は「自動」一択
「微風」や「弱」は、設定温度に達するまでに時間がかかり、結果的に電気代がかさみます。「自動」設定なら、最初は強風で一気に冷やし、その後は微風に切り替えるというプロの運転をエアコンが勝手に行ってくれます。
3. サーキュレーターで空気を攪拌
冷たい空気は床にたまります。サーキュレーターを天井に向けて回し、空気を混ぜることで体感温度が下がります。これにより、設定温度を1度上げても涼しく感じられ、約13%の節電効果が期待できます。
4. 室外機を日陰にする
室外機が直射日光で熱くなっていると、熱を捨てる効率が悪くなります。すだれや日除けカバーを使い、室外機に影を作ってください。ただし、吹き出し口をふさがないよう注意が必要です。
5. 古いエアコンは買い替え検討
10年前のエアコンと最新機種を比較すると、省エネ性能は大きく向上しています。
- 10年前の機種(期間消費電力量):約800kWh〜900kWh
- 最新の機種(期間消費電力量):約600kWh〜700kWh
年間で数千円〜1万円近く電気代が変わることもあります。古い機種を使い続けるランニングコストも考慮しましょう。
よくある質問(Q&A)
読者から寄せられることの多い疑問に、先回りして回答します。
就寝時は「28度」だと暑くて起きてしまうことがあります。おすすめは「26度〜27度」設定にし、風を体に直接当てないことです。また、「切タイマー」を使うと切れた後に室温が上昇し、熱中症のリスクがあるため、熱帯夜は「朝までつけっぱなし」の方が安全かつ快適です。
設定温度を無理に下げる前に、まずは「風量を上げる」か「扇風機を併用」してください。風が体に当たるだけで体感温度は2度ほど下がります。それでも暑い場合は、我慢せず設定温度を下げましょう。健康が第一です。
部屋の広さに対して能力が大きすぎるエアコンを使うと、設定温度にすぐ到達して停止し、またすぐに稼働するという「オンオフ」を頻繁に繰り返すことになり、効率が悪く電気代が高くなる傾向があります。部屋の広さに合った畳数のモデルを選ぶのが鉄則です。
まとめ:28度設定と自動運転で賢く節約
今回は「6畳用エアコンを28度設定で1時間使用した場合の電気代」をテーマに、具体的なコストと節約術を解説しました。
- コストの目安: 28度安定時は1時間あたり約5円前後。
- 操作のコツ: 30分以内の外出はつけっぱなし、風量は「自動」にする。
- モード選択: 迷ったら「冷房」。再熱除湿は使用を控える。
- メンテナンス: フィルター掃除と室外機の日除けは必須。
電気代を気にしてエアコンを止めるのではなく、「効率よく使う」ことこそが最大の節約です。
まずは今の設定温度を確認し、フィルターのホコリをチェックすることから始めてみてください。その小さな行動が、来月の電気代とあなたの快適な生活を大きく変えるはずです。
