夏の猛暑や冬の厳しい寒さ。エアコンなしでは快適に過ごせませんが、「今月もエアコンの電気代が高い…」と請求書を見てため息をついていませんか?
「エアコンの電気代、一ヶ月で一体いくらかかっているんだろう?」「他の家と比べて高いのかな?」そんな疑問や不安を感じている方は多いはずです。
この記事では、エアコンの一ヶ月あたりの電気代の平均や、電気代が高くなる原因、そして今日からすぐに実践できる具体的な節約術10選を徹底解説します。
最後まで読めば、あなたの家のエアコン電気代を賢く抑えるヒントがきっと見つかります。
エアコンの電気代、一ヶ月の平均は?
まず、気になる「一ヶ月のエアコンの電気代」の平均を見ていきましょう。エアコンの電気代は、冷房と暖房のどちらを使うか、お住まいの地域、世帯人数などによって大きく変動します。
冷房と暖房で電気代は変わる
エアコンは、一般的に冷房よりも暖房の方が電気代は高くなる傾向があります。
これは、外気温と設定温度の差が大きいほど、エアコンが消費する電力が大きくなるためです。例えば、夏に外気温35℃を28℃にする(差7℃)よりも、冬に外気温5℃を20℃にする(差15℃)方が、より多くのパワーを必要とします。

特に冬場の暖房費が電気代を押し上げる大きな要因になるんですね。暖房の使い方を工夫することが、年間の電気代節約に直結しますよ。
世帯人数別の電気代平均
総務省の家計調査(2023年平均)によると、世帯人数別の「電気代」の月平均は以下の通りです。これはあくまで家庭全体の電気代であり、エアコンのみの金額ではありませんが、目安として参考にしてください。
| 世帯人数 | 一ヶ月の電気代(平均) |
|---|---|
| 1人 | 7,100円程度 |
| 2人 | 11,800円程度 |
| 3人 | 13,700円程度 |
| 4人 | 14,500円程度 |
(参照:総務省統計局 家計調査)
エアコンが稼働する夏(7月〜9月)や冬(12月〜2月)は、これらの平均額よりも高くなる家庭が多いと予想されます。
エアコンの電気代を計算する方法
ご家庭のエアコン電気代を具体的に知りたい場合、簡単な計算式で概算できます。計算に必要なのは「消費電力」「電気料金単価」「使用時間」の3つです。
1時間あたりの電気代の計算式
電気代の計算は以下の式で行います。
消費電力(kW) × 使用時間(時間) × 電気料金単価(円/kWh) = 電気代(円)
例えば、消費電力が800W(0.8kW)のエアコンを、電気料金単価が31円/kWhのプランで、1日8時間使った場合の1日の電気代は以下のようになります。
0.8kW × 8時間 × 31円/kWh = 198.4円
一ヶ月(30日)の電気代は?
上記の例で一ヶ月(30日間)使用した場合、
198.4円 × 30日 = 5,952円
これが一ヶ月の電気代の目安となります。
消費電力と電気料金単価の確認方法
- 消費電力(WまたはkW)
エアコン本体の側面や底面に貼られているシール(銘板)や、取扱説明書に記載されています。冷房時・暖房時で数値が異なるので注意しましょう。 - 電気料金単価(円/kWh)
契約している電力会社の「検針票(電気ご使用量のお知らせ)」や、電力会社の公式ウェブサイトで確認できます。
なぜ?エアコンの電気代が高くなる主な原因
「他の家よりもうちの電気代は高い気がする…」と感じる場合、いくつかの原因が考えられます。当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
設定温度が適切でない
設定温度を1℃変えるだけで、電気代は大きく変わります。冷房時は設定温度を低くしすぎ、暖房時は高くしすぎると、エアコンがフル稼働する時間が長くなり、電気代が跳ね上がります。
フィルターの掃除不足
エアコンのフィルターにホコリが詰まると、空気の通り道がふさがれ、部屋を冷やしたり暖めたりする効率が著しく低下します。
効率が落ちた分、エアコンは余計な電力を使って頑張ろうとするため、電気代が無駄にかかってしまいます。

環境省によると、フィルターを2週間に1回掃除するだけで、冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力削減になると言われています。最も手軽で効果の高い節約術ですよ!
エアコン本体の経年劣化
古いエアコンは、最新の省エネモデルと比べて電力効率が悪い場合があります。特に10年以上使用しているエアコンは、内部の部品が劣化し、本来の性能を発揮できていない可能性があり、電気代が高くなる一因です。
室外機の周辺環境が悪い
見落としがちなのが室外機です。室外機の吹き出し口の前に物を置いていたり、雑草が生い茂っていたりすると、熱交換の効率が下がり、無駄な電力を使ってしまいます。
部屋の広さとエアコンの能力が合っていない
「6畳の部屋に10畳用のエアコン」または「14畳の部屋に8畳用のエアコン」など、部屋の広さとエアコンの能力(畳数)が合っていない場合、無駄な電力を消費している可能性があります。
特に、広い部屋に能力の低いエアコンを設置していると、常にフルパワーで稼働し続けることになり、電気代が非常に高くなります。
エアコンの電気代の節約術10選
電気代が高くなる原因がわかったところで、今日から実践できる具体的な節約術を10個ご紹介します。
1. 適切な温度設定を心がける
環境省が推奨する室温の目安は、冷房時28℃、暖房時20℃です。無理のない範囲でこの温度設定を意識するだけで、大きな節約効果が期待できます。
2. フィルターは2週間に1回掃除する
前述の通り、フィルター掃除は非常に重要です。2週間に1回を目安に、ホコリを取り除きましょう。掃除機で吸い取るだけでも効果があります。
3. 自動運転(風量自動)を活用する
電気代を気にして「弱運転」に設定していませんか?実は、最初から「自動運転」に設定するのが最も効率的です。自動運転は、室温が設定温度になるまで一気にパワーを出し、その後は効率の良い運転に切り替えてくれるため、無駄な電力を消費しません。
4. サーキュレーターや扇風機を併用する
冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまりやすい性質があります。サーキュレーターや扇風機を使って部屋の空気をかき混ぜることで、室温のムラがなくなり、エアコンの効率がアップします。
- 冷房時:エアコンに背を向けるように置き、床にたまった冷たい空気を循環させる
- 暖房時:エアコンに向けて置き、天井にたまった暖かい空気を循環させる
5. 窓の断熱対策で熱の出入りを防ぐ
部屋の熱は、窓から最も出入りしやすいです。夏は遮光カーテンやすだれで日差しを遮り、冬は厚手のカーテンや断熱シートを使って冷気が入ってくるのを防ぎましょう。
6. 室外機の周りを整理整頓する
室外機の吹き出し口付近には物を置かず、風通しを良くしましょう。特に冬場、雪が積もる地域では、室外機が雪に埋もれないよう注意が必要です。また、夏場は「よしず」などで日陰を作ってあげると、運転効率が上がります。
7. タイマー機能を賢く使う
「おやすみタイマー」や「入タイマー」を活用しましょう。例えば、就寝時に1時間後に切れるタイマーを設定したり、起床時間の30分前に暖房が入るよう設定したりすることで、つけっぱなしを防ぎ、必要な時間だけ効率よく使えます。
8. 電力会社のプランを見直す
電気代そのものを見直すことも重要です。ご家庭のライフスタイルに合った電力会社のプランを選んでいますか?
例えば、夜間に電気を多く使う家庭なら夜間料金が安いプラン、日中は誰もいない家庭ならその時間帯の料金設定がどうなっているかなど、一度シミュレーションしてみることをお勧めします。電力自由化により、様々な会社から選べるようになっています。
9. 内部クリーニングを検討する
フィルター掃除をしてもカビ臭い、または効きが悪いと感じる場合、エアコン内部の熱交換器やファンが汚れている可能性があります。
内部の汚れは、フィルター詰まりと同様に運転効率を著しく低下させます。2〜3年に一度は専門業者による内部クリーニングを検討するのも、長期的な節約につながります。
10. 省エネモデルに買い替える
もし10年以上同じエアコンを使っているなら、最新の省エネモデルに買い替えるのが最も効果的な節約になる場合があります。購入費用はかかりますが、毎月の電気代が大幅に安くなることで、数年で元が取れるケースも少なくありません。
つけっぱなし vs こまめなオンオフ、どっちがお得?
「エアコンはつけっぱなしの方が安い」という話を聞いたことはありませんか?これは、半分正解で半分間違いです。ポイントは「外出時間」です。
結論:30分以内の外出なら「つけっぱなし」
エアコンは、電源を入れた直後(室温を設定温度に近づける時)に最も電力を消費します。
そのため、30分程度の短い外出であれば、電源を切らずに「つけっぱなし」にした方が、再び電源を入れて室温を大きく変動させるよりも、トータルの消費電力が少なくなる可能性が高いです。
逆に、1時間以上の外出になる場合は、こまめに電源を切った方が節約になります。

「30分ルール」と覚えておくと便利ですね!「ちょっとコンビニまで」といった外出ならつけっぱなし、ランチや買い物など1時間以上家を空けるならオフ、と使い分けるのが賢い方法です。
24時間つけっぱなしにした場合の一ヶ月の電気代は?
では、仮に24時間つけっぱなしにした場合、電気代はいくらになるのでしょうか?
エアコンは常に最大パワー(例:800W)で動いているわけではなく、設定温度に達すると消費電力の少ない運転(例:100W〜300W)に切り替わります。仮に平均消費電力を300W(0.3kW)として計算してみましょう。
0.3kW × 24時間 × 31円/kWh = 223.2円(1日)
223.2円 × 30日 = 6,696円(一ヶ月)
これはあくまで一例ですが、思ったよりも高くないと感じるかもしれません。最新の省エネ機種で、気密性の高い住宅であれば、こまめにオンオフするよりも安くなるケースも十分にあり得ます。
よくある質問(Q&A)
最後に、エアコンの電気代に関するよくある疑問にお答えします。
機種や使用状況によりますが、10年前のモデルと最新の省エネモデルとでは、年間の電気代が数千円から1万円以上変わることも珍しくありません。特に使用時間の長いリビングのエアコンなどは、買い替えによる節約効果が大きくなります。
これはエアコンの機種によります。主に「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、注意が必要です。
- 弱冷房除湿:弱い冷房運転をしながら湿度を取るため、冷房より電気代が安くなることが多いです。
- 再熱除湿:一度冷やして除湿した空気を、再び暖め直して室温を下げずに放出します。この「暖め直す」工程で電力を多く使うため、冷房よりも電気代が高くなります。
ご自宅のエアコンがどちらのタイプか、取扱説明書で確認してみましょう。
選ぶ際は「省エネ性能」を示す表示に注目しましょう。
「省エネ基準達成率(%)」の数値が高いものや、星の数で示す「多段階評価」の星が多いモデルほど、省エネ性能が高く、電気代が安くなるエアコンと言えます。
また、部屋の広さに合った畳数(能力)のモデルを選ぶことも非常に重要です。
フィルター掃除は「必須」ですが、それだけでは不十分な場合があります。フィルターを通過した細かいホコリやカビが内部の熱交換器やファンに付着するためです。
節約術9でも触れた通り、効きが悪くなったり、臭いが気になったりした場合は、内部クリーニングをお勧めします。効率が回復し、電気代の節約につながります。
まとめ:エアコンの電気代を理解して賢く節約しよう
記事の要点
- 一ヶ月の電気代は世帯や季節で変動。暖房の方が高くなりがち
- 電気代は「消費電力 × 時間 × 単価」で計算できる
- 高い原因は「設定温度」「フィルター汚れ」「能力不一致」など
- 節約術は「自動運転」「フィルター掃除」「プラン見直し」など10選が効果的
- 30分以内の外出なら「つけっぱなし」も選択肢に
エアコンの一ヶ月の電気代は、使い方次第で大きく変わってきます。「高いな…」と感じていた方も、原因と対策を知ることで、賢く節約することが可能です。
まずはご自宅のエアコンの設定温度やフィルターの状態を見直すところから始めてみませんか?
この記事で紹介した「節約術10選」を実践し、厳しい夏や冬も、快適な室内環境と電気代の節約を両立させましょう。
