「夏の暑い日、エアコンをつけっぱなしにしたいけど、電気代がとんでもないことになりそう…」
「結局、1日(24時間)つけっぱなしにしたら、夏の電気代はいくらかかるの?」
こんな不安や疑問を抱えていませんか?
猛暑が続くと、エアコンなしでは快適に過ごせませんよね。しかし、電気代の請求を見て驚くのは避けたいものです。
この記事では、夏のエアコンを1日つけっぱなしにした場合の電気代の目安を部屋の広さ別に比較し、「こまめに消す」場合との違い、さらに今日から実践できる具体的な節約術まで詳しく解説します。
この記事を読めば、夏のエアコン電気代に関するモヤモヤが解消し、賢く快適に夏を乗り切る方法がわかります。
エアコンを1日つけっぱなしにした時の電気代
まず、最も気になる「1日つけっぱなしの電気代」をシミュレーションしてみましょう。
電気代は、エアコンの性能や設定温度、お部屋の環境によって大きく変わります。
電気代の計算方法と前提条件
エアコンの電気代は、以下の式で簡単に計算できます。
消費電力(kW) × 使用時間(時間) × 電力量料金単価(円/kWh)
この記事では、以下の前提条件でシミュレーションを行います。
- 電力料金単価:公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会が定める目安単価の31円/kWh(税込)(参照:公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会)
- エアコン機種:近年の一般的な省エネモデル(インバーター搭載)を想定
- 消費電力:各メーカーのカタログに記載されている「冷房時の消費電力(最小~最大)」の中間的な数値を参照

【広さ別】1日つけっぱなしの電気代目安
部屋の広さ(畳数)別に、1日(24時間)つけっぱなしにした場合の電気代目安を比較してみましょう。
| 部屋の広さ(目安) | 想定消費電力(冷房時) | 1時間あたりの電気代 | 1日(24時間)の電気代 | 1ヶ月(30日)の電気代 |
|---|---|---|---|---|
| 6畳用 | 約500W (0.5kW) | 約15.5円 | 約372円 | 約11,160円 |
| 10畳用 | 約650W (0.65kW) | 約20.2円 | 約485円 | 約14,550円 |
| 14畳用 | 約850W (0.85kW) | 約26.4円 | 約634円 | 約19,020円 |
※あくまで目安です。実際はエアコンが最も電力を消費する「起動時」以外は、消費電力が大きく下がるため、これよりも安くなるのが一般的です。
「つけっぱなし」と「こまめに消す」、夏の正解は?
「電気代がもったいないから、ちょっとの外出なら消したほうがいい」と思っていませんか?実は、夏に関してはその常識が当てはまらない場合があります。
エアコンが最も電力を消費する瞬間
エアコンの電気代が最もかかるのは、電源を入れた直後です。
エアコンは、暑くなった室温を設定温度まで一気に下げようと、フルパワーで運転します。この起動時の消費電力が非常に大きいのです。
一度室温が安定してしまえば、あとはその温度を維持するだけの「安定運転」に切り替わり、消費電力はぐっと下がります。
外出時間で判断(35分・1時間)
大手空調メーカーのダイキン工業が行った実験によると、非常に興味深い結果が出ています。(参照:ダイキン工業「つけっぱなしがお得という説は本当なのかを検証せよ!」)
日中(9:00~18:00)、外気温30℃以上の環境で比較したところ、以下の使い分けが最も経済的という結果になりました。
- 35分以内の外出:「つけっぱなし」の方がお得
- 1時間以上の外出:「こまめに消す」方がお得
30分程度エアコンを消すと室温が再び上昇し、次に電源を入れた時に「起動時のフルパワー運転」が必要になるため、結果的に電力を多く消費してしまうのです。
特に、外気温と設定温度の差が大きい猛暑日ほど、室温がすぐに上昇するため、「つけっぱなし」が有利になる傾向が強くなります。
夏のエアコンの電気代を抑える節約術5選
「つけっぱなし」が有効な場面がわかったところで、さらに電気代を抑えるための基本的な節約術を5つご紹介します。どれも今日からすぐに実践できることばかりです。
1. フィルター掃除を2週間に1回行う
最も簡単で、最も効果が高い節約術です。
フィルターにホコリが詰まると、エアコンは空気を効率よく吸い込めず、部屋を冷やすためにより多くのパワー(電力)が必要になります。
環境省によると、フィルターを月に1〜2回掃除するだけで、冷房時で約6%の消費電力削減になるとされています。(参照:環境省「COOL CHOICE」)
2週間に1回を目安に、フィルターのホコリを掃除機で吸い取りましょう。
2. 設定温度は28℃目安で「自動運転」
「弱運転」が一番節約になると思いがちですが、実は「自動運転」が最も効率的です。
自動運転モードは、室温が設定温度に達するまではパワフルに運転し、その後は最も効率の良い運転(微風や送風)を自動で選択してくれます。
弱運転にし続けると、設定温度になるまでに時間がかかり、かえって電力を消費することがあります。
設定温度は28℃を目安にし、あとはエアコンの「自動運転」に任せるのがベストです。
3. サーキュレーターや扇風機を併用する
設定温度を下げなくても快適に過ごすための必須アイテムです。
冷たい空気は部屋の下に溜まる性質があります。サーキュレーターや扇風機を使い、部屋の空気をかき混ぜる(循環させる)ことで、室内の温度ムラがなくなります。
体感温度が下がるため、設定温度が28℃でも十分に涼しく感じることができます。エアコン単体で温度を下げるより、はるかに電気代の節約になります。

4. 窓やカーテンで断熱対策を徹底する
部屋が暑くなる最大の原因は、窓から入ってくる「日射熱」です。
夏の日中、室内の熱の約7割は窓から入ってくると言われています。
以下の対策で、外からの熱をシャットアウトしましょう。
- 遮光カーテンやすだれ、シェードを活用する
- 日中はレースのカーテンも閉めておく
- 断熱シートを窓に貼る
これだけでエアコンの効きが劇的に変わり、無駄な運転を防ぐことができます。
5. 室外機の周辺環境を整える
意外と見落としがちなのが「室外機」です。
室外機は、部屋の中の熱を外に逃がす(放出する)ための重要な役割を担っています。しかし、室外機自体が直射日光などで熱くなってしまうと、熱を逃がす効率が悪くなり、余計な電力を消費します。
- 室外機の周りに物を置かず、風通しを良くする
- 「すだれ」や「日よけカバー」で直射日光が当たるのを防ぐ
※ただし、吹き出し口を塞いでしまうと逆効果になるので注意してください。
「つけっぱなし」が損になる条件と注意点
「つけっぱなし」は常に万能というわけではありません。かえって電気代が高くなるケースや、知っておくべきデメリットも存在します。
古いエアコン(インバーターなし)の場合
「つけっぱなしの方がお得」という話は、「インバーター」機能が搭載されていることが大前提です。
インバーターとは、起動時にフルパワーで運転し、室温が安定したら自動で最小限のパワーに調整してくれる省エネ機能です。現在のエアコンはほとんどがインバーター搭載です。
しかし、製造から10年〜15年以上経過している古いエアコンや、インバーター非搭載のエアコン(一定速機)の場合、温度調節を「オン」か「オフ」でしか行えません。そのため、つけっぱなしにするとフルパワー運転(オン)の時間が長くなり、間違いなく電気代が高くなります。
古いエアコンをお使いの場合は、「こまめに消す」方が節約になります。
電気代以外のデメリット(乾燥・安全面)
つけっぱなしにすることで、電気代以外にも注意すべき点があります。
- 部屋の乾燥:冷房運転は空気中の水分を結露させて排出するため、長時間つけっぱなしにすると空気が乾燥しやすくなります。喉や肌の不調に注意が必要です。
- 自動掃除機能が使えない:多くのエアコンの「内部クリーン」や「フィルター自動掃除」機能は、運転停止後(オフになった時)に作動するよう設定されています。つけっぱなしだと、この機能が作動せず、内部にカビやホコリが溜まりやすくなる可能性があります。
- 安全面のリスク:長期間つけっぱなしにすることは、機器に負荷をかけ続けます。電源コードの劣化や、室外機周辺に可燃物があると、万が一の火災リスクがゼロではありません。また、落雷時に故障するリスクも高まります。
よくある質問(Q&A)
最後に、夏によくあるエアコンの疑問についてQ&A形式でお答えします。
これはエアコンの機種によって答えが変わりますが、ほとんどの場合「冷房(自動運転)」の方が電気代は安くなります。
- 弱冷房除湿:冷房と消費電力はあまり変わりません。
- 再熱除湿:一度冷やした空気を温め直すため、快適ですが電気代は冷房より高くなります。
「ジメジメを素早く取りたい」時だけ除湿を使い、普段は「冷房」の自動運転を使うのがおすすめです。
熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上)の場合は、我慢せずに「つけっぱなし」にすることを推奨します。
睡眠中に熱中症になる危険性があり、命に関わる問題です。「タイマーが切れた後に室温が上昇して目が覚める」→「寝苦しくて睡眠の質が下がる」という悪循環にも陥りがちです。
寝る時は、設定温度を28℃~29℃と少し高めにするか、「おやすみモード」を活用しましょう。つけっぱなしでも、安定運転に入れば消費電力はわずかです。
いいえ、お得にならない可能性が非常に高いです。
前述の通り、室温に応じてパワーを細かく調整できる「インバーター」機能がない古いエアコンの場合、つけっぱなしにすると電力を無駄に消費し続けます。製造から10年以上経過しているエアコンは、こまめに消す、または最新の省エネモデルへの買い替えを検討するのが賢明です。
エアコンは連続運転できるよう設計されているため、通常の使用で即座に故障したり火事になったりする可能性は低いです。
ただし、リスクはゼロではありません。フィルターのホコリ詰まり、電源コードの劣化、室外機周辺の環境不良、落雷などが、故障や火災の原因になることがあります。つけっぱなしにする場合でも、2週間に1度のフィルター掃除や、室外機周りの点検は必ず行いましょう。
まとめ
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- 夏のエアコン1日(24時間)つけっぱなしの電気代は、6畳用目安で最大約372円。ただし実際はこれより安くなる。
- エアコンは「起動時」に最も電力を消費する。
- 夏の日中、35分以内の外出なら「つけっぱなし」、1時間以上なら「消す」のがお得。
- 「つけっぱなし」が有効なのは「インバーター搭載」のエアコンが前提。
- 古いエアコンは「こまめに消す」方が節約になる。
- 節約の基本は「フィルター掃除」「自動運転」「サーキュレーター併用」「断熱」「室外機ケア」の5つ。
エアコンの電気代は、ちょっとした知識と工夫で大きく変わります。
「つけっぱなし」と「こまめ消し」を賢く使い分け、効果的な節約術を実践することで、電気代を抑えながら猛暑を快適に乗り切りましょう。
まずは一番簡単で効果の高い「フィルター掃除」から始めてみませんか?
