エアコンの取り付け費用を節約するため、DIYに挑戦しようと考える方は多いですよね。しかし、その作業工程で「真空引き」という専門的な作業が必要だと知り、「真空引きしないでも大丈夫?」「専用工具も必要だし、できれば避けたい…」と悩んでいませんか?
結論から言うと、真空引きをしないエアコンの取り付けは、重大な故障や性能低下に直結するため絶対にNGです。
この記事では、なぜ真空引きが必須なのか、もし真空引きしないで運転するとどうなるのか、その3つの重大なリスクを徹底解説します。さらに、「それでもDIYでやりたい」という方のために、必要な工具や正しい手順、そしてDIYのリスクを回避する最善策まで詳しくご紹介します。
なぜ必要?エアコン取り付けで真空引きが必須な理由
エアコンの室内機と室外機をつなぐ「冷媒配管」。この中を冷媒ガスが循環することで、部屋を冷やしたり暖めたりしています。
新品のエアコンを取り付ける際、この配管の中には私たちの周りにある「空気」や目に見えない「水分」が必ず入っています。
「真空引き」とは、真空ポンプという専用工具を使い、配管内の空気や水分をすべて強制的に抜き取り、内部を真空状態にする作業のことです。
この作業を省いてしまうと、配管内に残った空気や水分が冷媒ガスに混入し、エアコンの性能を著しく低下させるだけでなく、深刻な故障を引き起こす原因となります。

DIYで費用を抑えたい気持ちは分かりますが、この作業を省略したことで、かえって高額な修理費がかかるケースが本当に多いんです。まずは、そのリスクを知ってくださいね。
真空引きしないとどうなる?3つの重大な故障リスク
もし真空引きを省略し、配管内に空気や水分が残ったままエアコンを運転させると、以下のような重大なリスクが発生します。
リスク1:冷暖房の効率が著しく低下する
配管内に空気が残っていると、それが抵抗となって冷媒ガスのスムーズな循環を妨げます。熱を運ぶ効率が大幅にダウンし、「冷房がまったく効かない」「暖房が効かない」という症状の直接的な原因になります。
結果として、設定温度に到達させようとエアコンが無理に稼働し続け、電気代が余計に高くなることにも繋がります。
リスク2:エアコン内部の凍結や腐食
最も恐ろしいのが「水分」の混入です。配管内に残った水分が冷媒ガスと一緒に循環すると、毛細管(キャピラリーチューブ)という非常に細い部分で凍りつき、詰まりを起こします(内部凍結)。
さらに、水分は冷媒や冷凍機油と化学反応を起こし、酸性の物質を生成します。この酸が配管内部や部品を徐々に腐食させ、ガス漏れや故障の原因となります。
リスク3:コンプレッサーの破損とエアコンの寿命短縮
空気の混入による圧力異常や、内部の腐食・凍結は、エアコンの心臓部である「コンプレッサー(圧縮機)」に深刻なダメージを与えます。
コンプレッサーが焼き付いてしまうと、修理には数万円〜十数万円という高額な費用がかかります。これは、もはや修理ではなく「本体交換」を勧められるレベルの重大な故障であり、エアコン本体の寿命を劇的に縮めることになります。
当然ながら、このようなDIYでの施工不良が原因の故障は、メーカー保証の対象外となる可能性が極めて高いです。
真空引きしない方法(エアパージ)は絶対NGな理由
ネット上では「真空ポンプを使わずにガスで空気を押し出す」という情報が見つかるかもしれません。これは「エアパージ(ガス放出)」と呼ばれる古い手法ですが、現在のエアコンでこれを行うのは厳禁です。
かつての「ガス放出(エアパージ)」とは
かつて使用されていた古い冷媒ガス(R22など)の時代には、室外機に封入されているガスの一部を放出して、その圧力で配管内の空気を押し出す「エアパージ」という作業が許容されていた時期がありました。
しかし、この方法では配管内の空気を完全に抜ききることはできず、水分も除去できません。また、フロンガスを大気中に放出するため環境にも悪影響でした。
新冷媒(R32・R410A)でガス放出が厳禁な理由
現在販売されているエアコンのほとんどは、「R32」または「R410A」という新冷媒ガスを使用しています。
特に「R410A」は2種類のガスを絶妙なバランスで混合した「混合冷媒」です。もしガス放出(エアパージ)を行うと、そのガスの組成バランスが崩れてしまいます。
バランスが崩れた冷媒ではエアコンは正常に動作せず、性能低下や故障の直接的な原因となります。
そのため、ダイキン、パナソニック、日立などすべての主要エアコンメーカーは、取り付け説明書で「真空ポンプによる真空引き」を必須作業として指定しています。
それでもDIYしたい人へ:真空引きの現実と正しい手順
ここまで読んで、「リスクは分かった。それでもDIYで挑戦したい」という方もいらっしゃるかもしれません。
DIYで真空引きを行うには、専門の工具と正しい知識、そして失敗のリスクを受け入れる覚悟が必要です。
真空引きに必要な工具一覧(レンタルと購入の比較)
真空引きを伴うエアコン取り付けには、以下の専用工具が最低限必要です。
| 必要な工具 | 購入費用(目安) | レンタル費用(目安) |
|---|---|---|
| 真空ポンプ | 10,000円~20,000円 | 工具セットで 3日間 7,000円~12,000円程度 |
| ゲージマニホールド | 5,000円~10,000円 | |
| チャージングホース | 3,000円~5,000円 | |
| フレアツール(配管加工用) | 5,000円~15,000円 | (セットに含まれる場合あり) |
| トルクレンチ(2本セット) | 6,000円~10,000円 | (セットに含まれる場合あり) |
| 合計(購入) | 29,000円~60,000円 | - |
ご覧の通り、工具をすべて購入すると、プロに依頼する標準工事費(約13,000円~18,000円)を簡単に超えてしまいます。
レンタルで済ませる方法もありますが、一度きりの作業のために数日かけて工具の使い方を学び、失敗のリスクを負うことになります。
真空引きの作業手順ステップ
真空引きは、以下の手順で行うのが基本です。
- ステップ1:室内機と室外機を設置し、冷媒配管を接続する
- ステップ2:室外機のサービスポートにゲージマニホールドと真空ポンプを接続する
- ステップ3:真空ポンプの電源を入れ、最低10分~15分以上稼働させる
- ステップ4:ゲージマニホールドのバルブを閉じ、ポンプを止める
- ステップ5:そのまま5分~10分放置し、ゲージの圧力が戻らない(真空状態が維持されている)ことを確認する(※圧力が戻る場合はガス漏れの疑いあり)
- ステップ6:真空状態が確認できたら、室外機のバルブ(液管→ガス管の順)を開けて冷媒ガスを流す
- ステップ7:素早くホース類を取り外す
DIY最大の難関:フレア加工とトルク管理
真空引き以前に、DIYで最も失敗が多いのが「フレア加工」と「トルク管理」です。
- フレア加工
配管の接続部分は、フレアツールという工具でラッパ状に広げる加工が必要です。この加工が不十分だったり、傷がついたりすると、接続部から冷媒ガスがゆっくりと漏れ続けます。 - トルク管理
接続部のナット(フレアナット)は、「トルクレンチ」を使って規定の強さで締め付ける必要があります。締め付けが弱ければガス漏れし、強すぎるとフレアが割れてガス漏れの原因になります。
これらの作業は非常に繊細で、プロの技術者でも細心の注意を払うポイントです。DIYでの失敗は、数ヶ月後に「エアコンが冷えない」という形で発覚することが多く、結局プロに高額なガス充填や再工事を依頼することになります。
DIYよりプロ依頼が賢明な理由:費用とリスクを徹底比較
エアコンの性能を100%引き出し、安全に10年以上使い続けるためには、最初からプロの取り付け業者に依頼するのが、最も賢明で結果的にコストパフォーマンスも高い選択です。
プロのエアコン取り付け料金相場
標準的な取り付け工事(配管4mまで、壁穴あけ1箇所など)の料金相場は以下の通りです。
- 家電量販店や引越し業者: 15,000円 ~ 20,000円
- ネットの専門業者・マッチングサイト: 13,000円 ~ 18,000円
※隠蔽配管やコンセント増設、高所作業などがある場合は追加料金が発生します。
DIY失敗時の修理費用はいくら?
もしDIYに失敗した場合、以下のような費用が発生する可能性があります。
- ガス漏れによる冷媒ガス再充填: 20,000円 ~ 40,000円
- 配管の再加工・取り付け直し: 15,000円 ~
- コンプレッサーの交換: 50,000円 ~ 150,000円(ほぼ本体買い替え)
費用・リスク・安心感、どれを選びますか?
DIYで工具をレンタルしても約1万円かかります。プロの標準工事費との差額はわずか数千円です。
その数千円を節約するために、工具の使い方を学び、数時間を費やし、ガス漏れや水漏れ、数万円の修理リスクを負いますか?
プロに任せれば、わずか1~2時間で、確実な真空引きと施工が行われ、万が一のための「工事保証」まで付いてきます。どちらが賢明な選択かは明らかですよね。
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よくある質問(Q&A)
A. ありません。
室内機と室外機を配管で接続するタイプのエアコン(セパレートエアコン)は、全メーカー・全機種で真空引きが必須です。配管工事が不要な「窓用エアコン」や「ポータブルクーラー」などは例外です。
A. 真空ポンプを稼働させる時間は、最低でも10分~15分程度です。
これは配管の長さや外気温、湿度によって変わります(湿気が多いと時間がかかります)。ポンプ稼働後の「真空状態の維持確認(放置テスト)」も含めると、全体で20分以上かかるのが丁寧な作業です。作業時間があまりにも短い業者は注意が必要です。
A. はい、新品の取り付け時以上に重要です。
一度取り外したエアコンは、配管内に空気が混入する可能性が非常に高いためです。また、配管内に古いオイルや汚れが残っている場合もあるため、移設・再設置の際は必ず真空引きを行う必要があります。
A. すぐに問題が出なくても、長期的なリスクがあります。
真空引きが不十分でも、最初は冷えることがあります。しかし、内部に残った水分や空気が徐々にエアコンを蝕み、「数年後に効きが悪くなった」「寿命が短くなった」という形で現れることが多いです。今問題がなくても、エアコンの性能は100%発揮できていない可能性が高いです。
まとめ:エアコンの性能を100%引き出すために真空引きは必須
今回は、エアコンの取り付けで真空引きしない重大なリスクについて、具体的な理由と対処法を解説しました。
記事の要点をまとめます。
- エアコン取り付け時の「真空引き」は必須作業であり、省略は絶対NG
- 真空引きしないと「冷えない(電気代UP)」「内部凍結・腐食」「コンプレッサー破損」のリスクがある
- 新冷媒(R32等)では、昔の「ガス放出(エアパージ)」は故障の原因になるため厳禁
- DIYは工具費用(購入で3万円~)がかかる上、ガス漏れや水漏れなど失敗のリスクが高すぎる
- DIYの失敗による修理費用は、プロの工賃より遥かに高額になる
エアコンは高価な買い物です。その性能を最大限に発揮させ、10年以上安全に使い続けるためにも、取り付けはDIYにこだわらず、信頼できるプロに任せることを強くおすすめします。
「ユアマイスター」のようなサービスを活用して、お住まいの地域で信頼できるプロを見つけ、万全の状態で快適なエアコンライフをスタートさせてくださいね。

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