「900VAの発電機を買ったけど、どの家電なら安心して使えるんだろう?」
「消費電力が900W以下の家電なのに、なぜか動かない…」
アウトドアやDIY、そして万が一の停電時に心強い味方となる900VAクラスの発電機。コンパクトで便利な一方、使える家電には意外な「落とし穴」があるのをご存知でしたか?
この記事では、900VAの発電機で使える家電について、多くの方がつまずくポイントを徹底的に解説します。結論から言うと、家電が使えるかどうかを見分けるカギは「消費電力」だけではありません。
この記事を最後まで読めば、家電選びで失敗することなく、あなたの発電機を最大限に活用できるようになりますよ。
900VA発電機で使える家電の基本|VAとWの違いは?
まず、一番最初に疑問に思うのが「VA(ボルトアンペア)」と「W(ワット)」の違いですよね。これ、少し専門的に聞こえますが、実はそんなに難しく考える必要はありません。
結論:900VA≒900Wと考えてOK
家庭で使うような一般的な家電の場合、「900VA」は「900W」とほぼ同じと考えて大丈夫です。つまり、900VAの発電機は、最大で900Wまでの電力を供給できる能力がある、と理解しておきましょう。
そのため、繋ぐことのできる電気機器の最大消費電力は合計900Wまで、というのが基本ルールになります。
ただし家庭用コンセントと同じ感覚で使うのは危険
「じゃあ、消費電力900W以下の家電なら何でも使えるんだ!」と思ってしまうかもしれませんが、そこが大きな落とし穴です。
発電機には「最大出力」という限界があります。家庭のコンセントのように無限に電気が湧いてくるわけではないため、消費電力が少しでも900Wを超えると、安全装置が働いて停止してしまったり、最悪の場合、発電機や家電の故障に繋がったりする可能性があります。
【最重要】使える家電を見分ける鍵は「起動電力」にあった!
消費電力900W以下の家電が動かない…。その原因のほとんどは「起動電力」にあります。
結論として、お使いの家電の「起動電力」が900Wを超える場合、たとえ消費電力が900W以下であっても、その家電は900VAの発電機では使えません。
起動電力とは?なぜ消費電力より大きくなるの?
起動電力とは、その名の通り、家電が動き始めの瞬間にだけ必要とする大きな電力のことです。
特に、内部にモーターやコンプレッサー(圧縮機)を搭載している家電は、動き出すためにより多くのエネルギーを必要とします。車が静止状態から動き出すときに、一番アクセルを踏み込むのと似ていますね。
機器によっては、表示されている消費電力の3倍〜4倍もの起動電力が必要になるケースもあるため、注意が必要です。
起動電力が大きい家電の代表例
以下のような家電は、特に起動電力が大きくなる傾向があります。
- 電子レンジ
- 冷蔵庫(家庭用・小型問わず)
- エアコン、クーラー
- ドライヤー
- 掃除機
- 電動工具(電動ドリル、電動のこぎりなど)
- ポンプ類
- 高圧洗浄機
【一覧表】900VA発電機で使える家電・使えない家電の目安
では、具体的にどのような家電が使えて、どのような家電が使えないのでしょうか。あくまで目安ですが、一覧表にまとめてみました。
※実際の消費電力や起動電力は、お使いの製品のメーカーや型番によって異なります。必ず取扱説明書やメーカー公式サイトで確認してください。
そのまま使える可能性が高い家電
これらは起動電力が消費電力とほぼ同じ「抵抗負荷」と呼ばれるタイプの家電です。合計900Wの範囲内であれば、問題なく使えることが多いでしょう。
電気機器 | 消費電力(目安) | 起動電力(目安) | 900VAでの使用 |
---|---|---|---|
スマートフォン充電器 | 5W | 5W | ○ |
ノートパソコン | 25W | 25W | ○ |
白熱電球 | 100W | 100W | ○ |
液晶テレビ (32V型) | 140W | 140W | ○ |
小型電気ポット | 450W | 450W | ○ |
ハロゲンヒーター | 800W | 800W | ○ |
注意が必要な家電(要起動電力確認)
モーターを搭載しているため、起動電力の確認が必須の家電です。製品によっては900Wを超える可能性があります。
電気機器 | 消費電力(目安) | 起動電力(目安) | 900VAでの使用 |
---|---|---|---|
扇風機 | 35W | 50W | ○ |
小型クーラー | 200W | 800W | ○ |
ミキサー | 220W | 260W | ○ |
小型冷蔵庫 | 60W | 240W | ○ |
電動ドリル | 550W | 600W | ○ |
使えない可能性が非常に高い家電
消費電力、または起動電力のどちらかが900Wを大幅に超えるため、900VAの発電機ではほぼ使えません。
電気機器 | 消費電力(目安) | 起動電力(目安) | 900VAでの使用 |
---|---|---|---|
ホットプレート | 1300W | 1300W | × |
電子レンジ | 1100W | 1430W | × |
ドライヤー | 1200W | 1440W | × |
掃除機 | 1000W | 1300W | × |
家庭用冷蔵庫 | 260W | 1000W | × |
エアコン (12畳用) | 1200W | 2200W | × |
どうしても消費電力の大きい家電を使いたい場合は?
「キャンプで電子レンジを使いたい」「DIYでパワーのある電動工具を使いたい」など、どうしても900VAの出力では足りない場面もありますよね。そんな時は、以下のような方法を検討してみましょう。
より出力の大きい発電機を選ぶ
最もシンプルで確実な方法です。使いたい家電の起動電力に合わせて、1600VAクラスや2500VAクラスの発電機を選ぶことで、利用できる家電の幅がぐっと広がります。
家電のレンタル・サブスクを利用する
「たまにしか使わない家電のために大きな発電機を買うのは…」と感じる方には、家電のレンタルサービスがおすすめです。最新の家電を手軽に試すことができ、保管場所にも困りません。
今は便利なサービスがたくさんあるので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

不要な家電は買い取ってもらう
新しい発電機の購入資金や、より省電力な家電への買い替え資金にするために、今使っていない家電を売却するのも一つの手です。出張買取や宅配買取など、手軽に利用できるサービスが増えています。

900VA発電機を安全に使うための3つのポイント
ここでは、発電機と大切な家電を長く安全に使うためのポイントを3つご紹介します。
1. 必ず家電の「起動電力」をメーカーに確認する
何度も繰り返しますが、これが最も重要です。取扱説明書に記載がない場合は、面倒でもメーカーのサポートセンターに電話やメールで問い合わせて、正確な起動電力の数値を確認しましょう。「たぶん大丈夫だろう」という安易な判断が、思わぬトラブルの原因になります。
2. 延長コードの選び方に注意する
発電機から家電まで距離がある場合、延長コードを使いますよね。しかし、一般的な家庭用の細い延長コードを使うと「電圧降下」が起こり、家電が正常に動作しないことがあります。特にイベントなどで安定した電力が必要な場合は、電圧が低下しにくい20Aなどの太い延長コードを選ぶと安心です。
3. 複数の家電を同時に使わない
900VAの発電機は、基本的に一度に一つの家電を使うことを想定して設計されています。もし複数の家電を同時に使う場合は、それらの消費電力の合計が900Wを超えないように厳密に管理する必要があります。タコ足配線などは極力避けましょう。
【厳選】初心者におすすめの900VAクラスの発電機3選
ここでは、数ある900VAクラスの発電機の中から、特に評価が高く初心者でも扱いやすいモデルを3つ厳選してご紹介します。
【手軽さNo.1】ホンダ EU9iGB(エネポ)

出典:ホンダ
特徴:
何と言ってもカセットコンロ用のガスボンベで動く手軽さが魅力です。ガソリンの保管や扱いに不安がある方には最適。キャスター付きで移動もラクラク、デザインもおしゃれでキャンプサイトに映えます。
【定番で安心】ヤマハ EF900iS

出典:ヤマハ
特徴:
軽量・コンパクト設計で、プロからレジャーユーザーまで幅広く支持される定番モデル。静音性にも定評があり、夜間や住宅地での使用にも配慮されています。信頼性と性能のバランスが非常に良い一台です。
【コスパ重視】新ダイワ ieg900BG

出典:新ダイワ
特徴:
プロ用工具メーカーとして知られる「やまびこ」のブランド。ホンダやヤマハに比べて知名度は低いかもしれませんが、堅牢な作りと安定した性能で、コストパフォーマンスに優れています。こちらもカセットボンベ式で扱いやすいモデルです。
900VA発電機の家電利用に関するQ&A
最後に、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
消費電力700Wクラスの電子レンジは、実際の最大消費電力が1000Wを超え、起動電力はさらに高くなることがほとんどです。そのため、残念ながら900VAの発電機で使える可能性は極めて低いです。使えたという実験報告もありますが、保証はできずリスクが伴います。
インバーターとは、電気の波形を整え、家庭用コンセントと同じくらい高品質で安定した電気を供給する装置のことです。インバーター搭載の発電機なら、パソコンやスマートフォンなどの精密機器も安心して充電・使用できます。
その発電機が安定して連続で出力できる電力のことです。「最大出力」とは異なり、この定格出力の範囲内で使用するのが、発電機を長持ちさせる基本です。
夜間の使用は騒音に注意し、周囲のキャンパーに配慮しましょう。また、排気ガスには一酸化炭素が含まれるため、テント内や車内での使用は絶対に禁止です。換気の良い屋外で使用してください。
非常に役立ちます。スマートフォンの充電、情報収集のためのテレビやラジオ、照明の確保など、最低限の電力を確保できるだけで安心感が大きく違います。いざという時のために、燃料の備蓄と定期的な動作確認をおすすめします。
はい、必要です。長期間使わない場合でも、定期的にエンジンをかけて動作確認をすることが重要です。また、オイル交換やプラグの点検など、取扱説明書に記載されたメンテナンスを行いましょう。
モデルによって異なります。自動車用の無鉛レギュラーガソリンを使用するタイプと、家庭用のカセットガスボンベを使用するタイプが主流です。ご自身の使い方に合わせて選びましょう。
最近のインバーター発電機は静音設計が進んでいますが、それでもある程度のエンジン音は発生します。製品スペックの「騒音レベル(dB)」を参考にし、エコモードなど静かに運転できる機能がついているモデルを選ぶと良いでしょう。
はい、この記事で紹介しているような「インバーター搭載」の発電機であれば、家庭用電源と同レベルの安定した電気が供給されるため、問題なく使用できます。
コードが長くなればなるほど電圧は低下しやすくなります。明確な限界はありませんが、できるだけ短く、そして太いコードを使用するのが理想です。10m程度までを目安にすると良いでしょう。
まとめ:正しい知識で900VA発電機をフル活用しよう!
今回は、900VAの発電機で使える家電について、最重要ポイントである「起動電力」を中心に解説しました。
もう一度、大切なことをおさらいしましょう。
- 900VAの発電機では、消費電力と起動電力の合計が900Wを超える家電は使えない。
- 特にモーターやコンプレッサーを内蔵した家電は「起動電力」に要注意。
- 使う前には必ず、家電メーカーに正確な起動電力を確認するのが一番確実。
このポイントさえ押さえておけば、「買ったのに動かない…」といった失敗を未然に防ぐことができます。まずは、あなたが発電機で使いたいと思っている家電の起動電力を調べてみることから始めてみましょう。
正しい知識を身につければ、900VA発電機はあなたの趣味や暮らし、そして「もしも」の時の強力なパートナーになってくれるはずです。この記事が、あなたの発電機ライフをより豊かにする一助となれば幸いです。
あなたの「こんな家電も使えたよ!」という経験も、ぜひ下のコメント欄で教えてくださいね!
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