「チャンネルは変わるのに、なぜか音量ボタンだけが一切反応しない…」
電源も入る、番組も変えられる。それなのに音量だけが変わらないと、「壊れたのかな?」と不安になりますよね。
実はこの症状、テレビの故障トラブルの中で最も多い現象の一つであり、リモコンを買い替える前に「ある操作」をするだけで直るケースが8割以上です。
この記事では、家電のプロが「音量だけ効かなくなる本当の原因」を解明し、初心者でも3分でできる「復活手順」を徹底解説します。
※2025年12月16日 記事の内容を最新の情報に更新しました。
なぜ「音量だけ」効かない?5つの主な原因
「他のボタンは使える」という点が、原因特定のための最大のヒントです。主に以下の5つのどれかに当てはまります。
1. 接点ゴムの摩耗・汚れ(最有力)
最も多い物理的な原因です。
リモコンの中で最も酷使されるのが「音量」と「選局」ボタンです。
長年の使用により、ボタン裏の導電性ゴムがすり減ったり、手垢や油分が内部基盤に浸透して絶縁膜を作ったりすることで、電気信号が遮断されてしまいます。
2. HDMI連動(リンク機能)のエラー
意外と知られていない盲点です。
テレビとレコーダー、またはサウンドバーなどをHDMIケーブルで接続していませんか?
「HDMI連動機能(レグザリンクやブラビアリンクなど)」が誤作動を起こすと、「音量操作の権限」が迷子になり、テレビのリモコンを押しても反応しなくなることがあります。
3. 電池の電圧不足
「他が動くから電池は大丈夫」というのは誤解です。
電池残量がギリギリになると、リモコンは全ての信号を送れなくなるのではなく、「信号が微弱」になります。
たまたま音量の信号だけが弱くなり、テレビに届いていないケースがあります。
4. テレビ本体のシステムフリーズ
最近のスマートテレビは、スマホやPCと同じコンピュータです。
バックグラウンドでのアプリ更新や、長時間の稼働によりメモリ不足に陥ると、「音量を変える」という処理だけが追いつかなくなることがあります。
5. 特殊モード(チャイルドロック等)の設定
稀なケースですが、誤操作により「操作ロック」や「ホテルモード(音量制限)」がかかっている場合があります。
この場合、画面に「操作できません」等のメッセージが出ることが多いです。

分解不要!音量ボタンを復活させる5つの手順
修理や買い替えを検討する前に、家にあるものだけでできる復旧作業を行いましょう。効果が高い順に紹介します。
手順1:電池を回す・「アルカリ」に換える
まずは基本の確認です。
電池をセットしたまま指でくるくると回してください。端子の表面についた目に見えない酸化膜が削れ、接触が良くなります。
それでもダメなら、新品のアルカリ乾電池に交換します(マンガン電池や充電池は電圧が低いため、動作確認には不向きです)。
手順2:ボタンを強く「連打」する
これはプロも現場で行う裏技です。
- 電池を抜きます。
- 効かない「音量ボタン」を、親指でグリグリと押し込むように20回ほど連打します。
- 電池を入れ直して確認します。
これにより、ボタン内部の接点に付着したカーボン汚れや酸化膜が物理的に剥がれ落ち、通電が復活することが多々あります。
手順3:完全放電(リセット)を行う
テレビとリモコンの両方をリセットします。
テレビのリセット
テレビの電源が入っている状態で、コンセントを抜き、約2分放置してから挿し直します。
リモコンのリセット
電池を抜き、リモコンの適当なボタンを数回押して内部の電気を空にします。その後、1分ほど放置してから電池を戻します。
手順4:スマホカメラで「赤外線」を目視する
リモコンが物理的に死んでいるかを判定します。
- スマホのカメラを起動します(iPhoneはインカメラ推奨)。
- カメラに向かってリモコンの音量ボタンを押します。
- 画面の中で発光部が「ピカピカ」と光れば正常です。
もし「チャンネル」ボタンでは光るのに、「音量」ボタンだけ光らない場合は、ボタンの故障(寿命)が確定です。
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手順5:HDMIケーブルを一時的に抜く
HDMI連動(CEC)のエラーを疑います。
テレビに繋がっているレコーダーやゲーム機のHDMIケーブルをすべて抜き、テレビ単体の状態で音量が変えられるか試してください。
これで直る場合は、外部機器とのリンク設定が悪さをしています。各機器の「HDMI機器制御」をオフにするか、再接続してください。

メーカー別:特有の症状とリセット方法
サーチコンソール等のデータで検索数が多い、主要メーカーごとの傾向と対策をまとめました。
| メーカー | 傾向と対策 |
|---|---|
| REGZA(東芝) | 検索数が最も多いメーカーです。ボタン接点の劣化が起きやすいため、「手順2:連打」が有効です。 本体のリセットは「本体電源ボタンを長押し(約10秒)」で再起動がかかります。 |
| BRAVIA(ソニー) | Android TV搭載機はアプリのフリーズが原因になりがちです。 リモコンの「電源」ボタンを「再起動メニュー」が出るまで長押し(約5秒)してください。 |
| AQUOS(シャープ) | 音量と選局が同時に効かなくなる事例があります。 リモコン裏面の蓋を開けたところ、あるいは裏面に小さな「リセットボタン」がある機種は、爪楊枝で押してください。 |
| VIERA(パナソニック) | 「音声案内機能」が誤動作している場合があります。 本体電源ボタンを長押ししてリセットし、それでもダメな場合は電池を抜いて一晩放置すると直ることがあります。 |
最終手段:アルミホイル法と買い替え
上記すべてを試しても「音量ボタンだけ反応しない(カメラでも光らない)」場合は、接点が完全に摩耗して寿命を迎えています。
分解してアルミホイルを貼る(自己責任)
リモコンを分解し、効かなくなったゴム接点の裏側に「アルミホイル」を小さく切って両面テープで貼り付けます。
アルミが電気を通すため、驚くほど感度が復活します。ただし、分解時に爪を折るリスクがあるため、あくまで買い替えまでの「つなぎ」と考えましょう。
「汎用リモコン」への買い替えがベスト
修理に出すと5,000円以上かかることもありますが、現在は「各メーカー対応の汎用リモコン」が非常に優秀です。
- 設定不要ですぐ使える
- 純正品の半額以下(1,000円~2,000円程度)
- ボタンが大きく、純正より使いやすいことも
特に「エレコム」や「オーディオテクニカ」などの製品は信頼性が高くおすすめです。ストレスを抱え続けるより、新しいリモコンで快適さを取り戻しましょう。
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よくある質問(Q&A)
A. リモコンの構造によりますが、プラスチックを溶かす成分が入っているもの(KURE 5-56など)は絶対に使用しないでください。使用する場合は必ず「プラスチック対応」「電子部品用」の接点復活剤(ドライタイプ)を綿棒につけて塗布してください。
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A. それはリモコンの故障ではなく、テレビ側の設定でロックがかかっているか、HDMI接続機器側で音量を制御する設定になっています。テレビの「設定」メニューから「音声出力」を確認し、「テレビスピーカー」に切り替えてください。
まとめ:まずはコンセントリセットから
テレビリモコンの音量だけが効かない原因と対策を徹底解説しました。
記事の要点を振り返ります。
- 原因は「接点の摩耗」か「HDMIリンクのエラー」が多い
- まずは電池を回し、ボタンをグリグリ連打してみる
- テレビのコンセントを抜き、3分放置してリセットする
- それでもダメなら、安価な「汎用リモコン」へ買い替える
音量調節は毎日何度も行う操作です。
反応の悪いボタンをイライラしながら押し続けるよりも、この記事で紹介したリセット方法を試し、それでもダメならサクッと新しいリモコンにしてしまうのが、時間もストレスも節約できる賢い選択です。
ぜひ、快適なテレビライフを取り戻してくださいね。


